私が見た済州島!
最後に済州島に行ったのは10年以上も前になる。
ソウルにはよく行ったが済州島に行くことはあまりなかった。
済州島は昔から乞食、泥棒、門がなく、石と風、女が多いことから三無三多の島と言われている。
バランスの取れた男女の印象
済州島は地図で見ると福岡の西にある楕円形の島だ。
淡路島の3倍くらいの面積があり海が美しい島で、島の中心に標高1947mの漢拏山(ハルラサン)がそびえている。
済州島には一人で行ったことはない。
会社の先輩や友人らに誘われて行った。
「女性がよく働く島」
済州島は女性が多いというより女性がよく働いているという印象の方が強い。
市場に行っても食堂に入っても女性がよく動き回っている。
昼食に入った小さな食堂で、あまりにも忙しそうに片付けなどをして働いているアジュンマ(おばさん)を見て注文するのも気が引けるほどだった。
私たちを日本人だと見抜いたアジュンマが「ごめんなさい、ちょっと待ってね」と日本語で言うので待っていると手際よく片付けた後で急いで注文を取りに来てくれた。
一緒にいた私の友人が「おばちゃん一人でやってるの?」と聞くと今日は主人と二人だけなので手が回らないと言うことだった。
すかさず友人が「ご主人が料理を?」と聞くとアジュンマは当然のように「料理は私が作るんだよ」と言うので、「じゃあご主人は?」と聞くと「裏で寝てるんじゃないの」と平然と言ってのけた。
この時から女が働く島という印象が更に強くなった。
城邑民俗村でもこの島は女が働いて家を守っていると言うような説明があった。
済州島で事故に遭遇
済州島には鉄道がない。
観光は貸切タクシーや貸切バス、レンタカーなどだ。
最初に行った時はタクシー1台に乗ることができず、8人乗りくらいのワゴン車で移動することになった。
運転手は穏やかそうな40歳くらいの男性だった。
私は最後に乗り込みスライドドアを閉めてそのまま運転席の後ろの席に座った。
観光地を回りながら二車線道路を走っていた時だ。
右から乗用車が走って来るのが見えた。
私は咄嗟に足を上げた。
乗用車は止まることなく私が座っているところを目掛けて突っ込んできたのだ。
運転手は急ブレーキをかけ後ろを振り向いて「みなさん大丈夫ですか?」と聞いた。
運転手が咄嗟にハンドルを左に切って衝撃が和らいだのか、誰も怪我をしなかったのは不幸中の幸いだった。
韓国は車は右側通行だが他は日本と同じルールだ。
もちろん今回の場合も一車線の脇道よりも二車線の道路が優先だ。
しかも信号がある交差点ではなかった。
ワゴン車の運転手は道の脇に車を寄せ、すぐに下りて相手の車に駆け寄った。
乗用車を運転していたのは60代くらいの女性だった。
ワゴン車から降りた運転手は、乗用車の左に回り込んで「ケンチャナヨ?」と穏やかな口調で声をかけた。
その時だった。
助手席に乗っていた、おそらく運転していた女性の娘だろうと思われる人が下りてきて、あろうことかこちらの運転手に怒鳴り散らした。
言葉は聞き取れなかったが、おそらく理不尽な理由でお前が悪いと捲し立てているのだ。
それでもこちらの運転手は口調を荒げる訳でもなく冷静に振る舞っていた。
冷静でいられなかったのは後ろに乗っていた我々だった。
私の後ろの席で一部始終を見ていた友人は韓国語も分からないのに「何を寝ぼけたことを言ってるんだ!」「悪いのは明らかにお前の方だろう!」と日本語で叫んでいた。
この時の出来事も済州島の女性は強いと印象付けられた理由だ。
済州島の世界遺産と済州島の男性
火山活動によって生まれた済州島には三カ所が世界遺産に登録されている。
済州島の真ん中にそびえる漢拏山(ハルラサン)、東の海岸線に突き出た城山日出峰(ソンサンイルチュルボン)、その間にある万丈窟(マンジャングル)だ。
済州島の観光地を回っているとよく見るのがトルハルバンという石像だ。
どことなく愛嬌のある顔をしたアジョシ(おじさん)が帽子をかぶった姿をしている。
もちろん同じものはないが、済州島の男性のイメージをこれほどまでうまく表現したものはないと思えるほどだ。
あくまでこれは私の主観的な印象だということを前提に書くが、ワゴン車の運転手を見て感じたように済州島の男性は穏やかで優しい。
トルハルバンそのものだ。
城山日出峰に行った時に出会ったアジョシも優しい印象だった。
太刀魚がうまい店がないかと聞いただけなのに、城山日出峰を往復する時間や靴のことまで気遣って頂いた。
しかもまったく嫌味な感じはなくフレンドリーだった。
そのアジョシに聞いた店で太刀魚を食べたが最高に美味かった。
そこでも女将さんが店を切り盛りしていたが料金は想像以上に高かった。
韓国語のメニューにも料金が掲載されていたので日本人だと見掛け取りされたようでもなかった。
おそらく観光地価格だったのだろうが、そこでもやはり女性が稼いで一家を支えているんだろうなという印象だった。
優しい旦那さんはお手伝い程度なのだろう。
三無三多で言われているように済州島には女性が多い。
そのような状況から察すれば、男性は優しくしているだけで結婚相手に恵まれ一生懸命働かなくても食べて行けるのだろう。
穏やかに美しい自然の中で過ごしている済州島の男性が羨ましくもある。
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