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「隠居を受け入れる」とは?

第二の人生、老後の人生、隠居生活など言い方は変われど定年退職後の人生に変わりはない。
しかしそれらの言葉の印象は同じではない。
これまで「言葉などどうでもいいだろう」と思わなくもなかった。

定年退職後の人生を楽しむために!


多くの人よりも早く定年退職した私は先ず「第二の人生」という言葉を選んだ。
その時点では61歳という年齢だったから「老後の人生」や「隠居生活」ではないと思っていた。
定年退職をした時点でまだ老人という認識も自覚もなく、ましてや隠居するなど考えてもいなかった。

第二の人生とは

「第二の人生」と検索すれば、「これまで歩んできた人生に区切りをつけ新たな人生を歩み始める」といった内容の説明が多い。

それまでの人生のように生活や子育てなどの責任のためにサラリーマンとして働いていた人生ではなく、第二の人生は価値観をも変えて自由に生きてやろうと考えていた。

価値観とは収益目的第一ではなく楽しむことを第一の目的とした人生だ。
しかし第二の人生の明確な人生プランを持っていたわけではない。
振り返ればその辺りの考え方が迂闊だったと言えるのかもしれない。

その頃は敢えて忙しい日常を装っていた。
装うと表現したのは、見かけだけでも忙しそうにして自身の心も紛らわしていたに違いなかったからだ。

以前このNoteでも書いたように「老後の暇は人生の敵」だと考えていた。
それは暇な時間ができると、ネガティブな感情で脳が侵されるからだ。

私の中で第二の人生とはアクティブでなければならないと戒めていたからでもある。
定年退職したシニアであることに間違いはないが、悠々自適にのんびりしたいわけではないというのが本心だった。

定年退職後の期間を三段階に分けるなら

あくまでこれは個人的な私の感情の動きを文章にしたもので、誰にも当てはまるものではない。
しかし思い当たる人も多いはずだ。

清々したと感じる情緒が安定した第二の人生突入期間は定年退職後の半年間だ。
それが過ぎると理由もなく落ち着かない時期に突入する。

退屈過ぎて、いてもたってもいられず再度仕事に復帰する人もいるようだ。

私は社会からの疎外感を感じたり、生産性のない日常に嫌気がさすといった感情に苛まれることもあった。

この期間は予想外に長く3年以上に及んだ。
私の場合はパンデミック期間と重なったことで長引いたんだと理由付けている。

その後にやってくるのが情緒も安定して楽しいと感じる老後人生だ。
この感情の変化は90度の角を曲がったように急に変わるのではない。

色分けするとしたら、グレーのグラデーションから徐々にゆっくりと柔らかい暖色に変わっていくといったイメージだ。

最初の第二の人生突入時期の半年から次のグレー期間への変化は早かったが、第二段階から第三段階への変化は分かりずらかった。

もちろん現在も生産性のない日常を送っているが、憂鬱な感情は湧いては来ない。
平凡な日常ながら新しいことへの好奇心も持って楽しく暮らしている。

悠々自適で落ち着いた感情を維持できているのには意外な切っ掛けもある。

受け入れることこそが悠々自適な感情に繋がる

個人差が大きいと感じるのは、人にはそれぞれ性分があり人生には波があるからだ。

何度も書いているが、私の場合は50代が激動の時代だった。
仕事でも大きな責任がのしかかり、家庭では大きな事件が勃発して心が休まる日はなかった。

60代になって定年退職をし、急にその激動から解放されたと言うわけだ。
先ほど書いたグレー期間が長かったのは何もパンデミックだけのせいではない。

理屈っぽい私の性分も大きく災いしているに違いないのだ。

最近特に落ち着いた日常を送れるのは、ある言葉を受け入れたところにも大きな変化があったようだ。
それが「隠居」という言葉だ。

振り返って見ても、定年退職した時点で隠居生活をしていたことに変わりはない。
しかしその言葉に抵抗していたのも事実だ。
「自分は隠居したのではない」と言い聞かせていたのだ。

ブログやこのNoteを書いているお蔭でこれまでに2回番組の出演依頼を受けた。
そのどちらも隠居生活というテーマだった。
どちらの依頼も諸事情でお断り申し上げたが、その時も私にしてみれば隠居という言葉は予想外だった。

「人から見れば自分は悠々自適な隠居生活の中にいるんだ」と改めて自覚させられたと言うわけだ。
受け入れていたつもりだったが、いまだに隠居という言葉に抵抗している気になった。

しかしこのNoteでも堂々と隠居と書いたことで完全に「隠居生活」を受け入れることができた気がしている。
「隠居生活」を受け入れたことで随分と楽になったように感じるのは、隠居なのだから生産性のない日常も社会からの疎外感もあって当たり前だと思うからだ。

こうなれば正々堂々と隠居生活を楽しんでやろうと思う所存だ。

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