季節が。
なにもしてなくても時間は進んでいくし、立ち止まってるのは自分だけなんだと思い知ると、よけいに、歩けなくなる。進めなくなる。
立ち止まっていても、何も変わらないし、よけいに、苦しくなる。つらくなるだけなのに。
あの最悪の夜のことを思い出そうとしては、蓋をして、ちょっとだけ開けてみよう、と思っては、やめて、の繰り返しをしている間に、すっかり涼しくなっちゃった。
2回目の夏を一緒に過ごせずに、ひとりになって、夏を感じることもないまま、ひきこもりになった。
全部消えた、なにもかも、なくなった。
夏の間は、ほぼ外に出られなかった。何かを見るたび、聞くたびに、あたまが勝手に記憶の蓋を開けてきたから、気付けば泣いていたし、ごはんは味がしなかった。
通院を頑張っていたときも、玄関→車→病院→車→玄関だけだったから、暑い夏を感じないまま、涼しい、寂しい秋になっていた。
10月になってから、2回だけ、出掛けた。というか、母がわたしを連れ出した。いやだったから、車から降りなかった。久しぶりに出た、外の世界は、涼しくて、寂しかった。
一緒に秋を迎えられなかった。大切なイベントが終わったら、試験が終わったら、温泉に行きたかった。
夏も一緒に居られなかったんだから、秋だっていないし、冬になってもいない。もう、ずっと、永遠に、一緒の季節を感じることはない、ってことが、本当に悲しくて苦しい。もう人生が交わることはない。他人以上に他人。
来てくださって、ありがとうございます。なにか感じていただけましたら、今後もなんとなく、ふらっと、見に来てやってください。