見出し画像

【雑記】落書き

少し開いてすぐ閉じて。そして、そこにある三角形を足の甲で蹴っ飛ばす。倒れた図形はたいてい直ぐに転がり落ちるんだけれど、今回ばかりは鮮やかなやられ顔をして、それが涙を誘っている。自ら演出するにしても泣くのはずるい。いつだってそうだ。滲むクレヨンは涙と手汗のせい。せっかくだから青色を使うけど、水って意外と青くないの。これはただの思い込み。思い込みの力という意味では、これもある種のプラシーボ的な効能を期待出来るのかな。思い出と記憶、その色は心と身体に絶大な影響を与える。
『昔描いた絵』というお題で絵を描いた事がある。その時はちっともテーマに沿った絵にならなかったけれど、今になってあれはしっかり『昔描いた絵』になった。時間をかけて完成した。完成させたのは何を隠そうこの世界だ。だからこの絵は世界との合作なのだ。そしてこの絵は嘘偽りなく世界の一部で、つまりは、この世界もまた全ての合作と言える。脳内の想像も頭に響く音楽も渦巻く無意識も全て、世界の一部で、むしろ、これこそが世界なんだと言い切ってしまえ。転がり落ちて消えていった図形も全部、もう見えなくなったけれども、実は溶けて伸びて散らばって、そこかしらに残ってる。無くそうとしたって無くならない。薄くなりすぎて「それはもう『無い』んじゃないかな」なんて嘘だよ。そんな事言ったら宇宙からみたら自分は存在しないことになっちゃう。薄くても少なくても見えなくても無くなってなんかない。これは優しさではなく逃げ場の無い辛く苦しい現実なのかもしれない。嫌だったら、あるかないかなんてもう気にしない。見えるもの感じるものが全てで、もう、ボンヤリしてよう。なんとなくいよう。見えなくしよう。すぐに閉じて蹴飛ばしてしまえ。泣いたって駄目だ。これは演出だ。

ありがとう