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とても短いお話

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超短編小説。気が向いたら書きます。
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2018年1月の記事一覧

シマウマ

新しく塗り替えられた、ペカペカと白く輝く横断歩道を見ると、それはそれは、とっても懐かしい気持ちになる。

小学生の頃に、と言えば、皆も少しばかりの経験があるかもしれないけれど、その日は、こんな妄想をして遊んでいたのだ。

道に引かれた白線の上だけを歩く。それ以外は底無しの奈落の谷だから、歩いたら駄目。落ちちゃう。死んじゃう。

学校からの帰り道、歩道の白線の上を慎重に歩き、横断歩道はピョンピョンと

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伝承

埼玉県秩父市の一部の地域で古くから伝わる伝承に、とある妖怪が登場する。

体は小さく、酷く痩せこけ、目が異常に大きく、顔の殆どの面積を眼球が占め、普段はめったに姿を見せないが、指先から血を流す子供を見つけると猛スピードで走ってやってくる。そして顔をめいいっぱい近づけ、笹をねだるのだ。
その地域は笹が多く生えている。故に葉で指先を切る子供が多い。妖怪は指先の怪我を見ると、笹が近くに有ると理解し、やっ

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