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嘘にまみれる毎日

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毎日一つ嘘をつきます。誰も傷つけない嘘を。
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2023年9月の記事一覧

【嘘】月弦琴

【嘘】月弦琴

この楽器は、月弦琴という。
月との間に三十本の弦を繋ぎ、それらをはじいて音を奏でている。

一般的な弦楽器は、地球上で弦が空気を揺らし音を出し、その空気の振動を音として認識している。
しかし月弦琴の場合、それとは大きく異なる特徴を持つ。

なにしろ、地球と月との間には、空気の無い宇宙が隔たっている。音になるのは、いわゆる大気圏内の弦によるものだけだ。
実際は、宇宙との間に明確な境などは無く、グラデ

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【嘘】林檎が教える世界の真実

【嘘】林檎が教える世界の真実

空から沢山の林檎が落ちてきた。
いつまでたっても万有引力の存在に気付かない人類への、これはヒントのようだ。
そうしてようやく、人類は完全に理解した。
アップルパイの美味しさと、その強烈な引力を。

【嘘】たまには本気で走りたかったんだろう

【嘘】たまには本気で走りたかったんだろう

明日が今日を追い越してゴールした。
今日は「約束と違うじゃないか」と戸惑っているけれど、いつまでも同じ速度に甘えていた方が悪いな、と思った。
無理やり引っ張られて苦しそうな明後日は少し可哀相かも。二日間頑張ってね。

【嘘】渦巻く跡

【嘘】渦巻く跡

おでこに指紋の跡が残って消えなくなった。
顔を洗っても洗っても、渦巻きか消えない。
これはおそらく、考えるときにおでこに親指をぐっと当てるのが癖になっている。

そう思っていたのだけれど、実はこれ、ぐるぐると考えていたものが、おでこを通って親指に転写されてるのかもしれない。

ぐるぐる、ぐるぐると考えて、ぐるぐる、ぐるぐると跡が残る。感情が渦を巻き、そして指紋が造られる。

【嘘】美しい声の主

【嘘】美しい声の主

昨日から頭の中で綺麗な音楽が流れ初めて、それがずっとループしている。
寝ても夢で鳴り続けて、少ししか眠れなかった。
あまりに眠たかったのか、人生で一番の大あくびが出た。
すると口からウグイスが出てきた。
この子が歌っていたんだな。 

そういえば夢の中にいたね。

【嘘】苺のケーキと猫の尻尾

【嘘】苺のケーキと猫の尻尾

嫌な事があってストレスがたまった日は、苺のケーキをホールで買って、無心でむさぼり食う事にしている。

でもせっかくだし、何かを祝いたいと思ったから調べてみた。
どうやら今日は、猫の尻尾の記念日らしい。

丸まって寝ている猫の尻尾をそっと撫でてみる。
ゆっくりと揺れる尻尾で、ストレスはどこかへいった。

ケーキは少しだけ食べた。
残りは明日ゆっくりと食べようと思う。

【嘘】ミント味の不思議

ガラスペンっていいよね。
なんか気になって、特に書く用事は無いんだけども、ネットで注文して取り寄せてみた。

あ、インクを忘れてた。これじゃ、カリカリと紙を引っ掻くだけだ。
仕方ない、テーブルの上にたまたま置いてあった蜂蜜に漬けよう。
どんどんと染みてきた。
ペンから指から身体の中に溶け込んでる。

そして、自らを作り出している数多の二重螺旋はしっかりと甘く仕上がった。
蜂蜜人間の誕生だ。

口の

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【嘘】指の隙間の空

【嘘】指の隙間の空

電気を付けたまま布団の上で仰向けになり、目をあけたまま両手のひらで目を覆う。
なるべく光が入らないように指をしっかり閉じ、隙間が無いようしっかりと覆う。

どんなに工夫しても、指の隙間から漏れる光が赤く見える。
予定では、真っ暗な中に少しの光が入る様子は夜空になるはずだったのに、見えた景色は夕焼け空だった。

しばらくそうやって、指の隙間が作る夕焼けを眺めていたら、懐かしい道が見えた。

小学校の

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【嘘】夕方のくしゃみ

【嘘】夕方のくしゃみ

くしゃみをしたら五時三十五分になった。
と、同時に秒針が落ちた。
風習に倣って屋根の上に投げた。
丈夫な大人の秒針が生えてくるように、という意味が込められたおまじないらしい。

それまではしばらく五時三十五分のままだ。

【嘘】美味しい色

鮮やかな虹色のさつま芋が掘れた。
綺麗だけど、全く美味しそうではない。
さつま芋も「もっと美味しそうな色があるよね」って寂しそうに言ってた。
わかってても、自分じゃどうしようもないんだ。
綺麗なんだからもっと誇って良いのに。

【嘘】錆びた自転車

【嘘】錆びた自転車

高校生の頃からずっと、数十年間、同じ自転車を使っている。
すっかり錆びて、ギコギコと音を立ててぎこちなく走る、ポンコツな相棒だ。
元々は真っ白ないわゆるママチャリで、大きめな前カゴと曲がったハンドルがとても可愛らしい、大切な友達だ。

タイヤとブレーキとチェーンは何度も替えたけれど、それでももう限界が近い。もう、立ち漕ぎをしないとまともに進めない。もはや歩いた方が速くて楽なのだが、それでもこいつに

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【嘘】熱とテレビ

【嘘】熱とテレビ

子どもの頃は、熱が出ないと学校を休めなかった。
そして、熱が出ると世界はぐわんぐわんと回っていた。大人になってから知ったが、これは不思議の国のアリス症候群と言われるものらしい。
だから、子どもの頃の休みの日の記憶はいつだって、ぐるぐると回った世界だ。

平日昼のテレビ番組は、普段見ることが出来ない。学校を休んだ時だけ見れた番組は特別で、ふわふわで、奇妙な思い出となっている。
それが夢だったのか、本

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【嘘】凍ったお茶

【嘘】凍ったお茶

なぜだろう。ペットボトルのお茶の最後の数口が飲みきれない。
いつもいつも、少しだけ残して冷蔵庫に入れて、それを忘れて、新しいお茶を買ってしまう。
そのお茶もあと少しだけが飲みきれず、冷蔵庫にしまう。
そして気がつく。

この冷蔵庫はもう、数口だけ残ったお茶で隙間なく、一杯だ。

仕方がない。冷凍室に入れよう。
凍ったお茶はきっと、首元を冷やすのに役に立つよね。

【嘘】百まで数えて

【嘘】百まで数えて

掃除をしていたら入浴剤が出てきた。
いつ買ったのか全く記憶に無い。水色のパッケージに灰色字で『懐かしい香り』と書かれていた。
気になったので汗もかいていないが風呂に入ろう。
ちゃっちゃか風呂掃除を終え、お湯を溜める。

膝下くらいまで溜まったので、あとは入りながらでいいか。
袋を開け湯船に入浴剤を入れる。炭酸は入ってないタイプのようだ。暗めの橙色だ。
香りは、いまいちピンとこない。焦げ臭い気がする

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