嘘にまみれる毎日

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本

毎日一つ嘘をつきます。誰も傷つけない嘘を。

冬の雲はあまり食べ応えが無い。口の中ですぐに溶けて無くなってしまう。
そのくせ、取るの難しいからと、なにかと高価だ。専門家曰わく、繊細な味なんだそうだ。

俺はあの弾力があって大量で、雑に美味しい夏の雲が好きだ。パチパチするのも良いね。

毎年この時期、季節が変わる瞬間、空の遠くからドップラー効果により不思議な音が聞こえてくる。

とーー、－－ん。

その音は切なさで満ちているので、どうしても子供の頃を思い出す。
冬もこんなには速くなかったのに。

昨晩は、扉を開ける夢を見た。
扉をくぐり抜け、目が覚めた。
いや、目が覚めたのだと思っているのだが、扉をくぐり抜けたという実感しかない。

目を瞑ると、扉がある。
おそらく、まだ夢の中なのだろう。

くぐり抜けると今度こそ、目が覚めるだろうか。

一昨日、星の並びを見ていたら、逆上がりの練習をする少年の姿が浮かんだ。それを逆上がり座と名付けたのだが、少年はちっとも逆上がりが出来ないので、命名に失敗したな、と思っていた。

今日、また夜空を眺めると、少年は逆上がりを諦めて滑り台で遊んでいた。

思い出座に改名しよう。

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