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夢蒟蒻
2019年3月27日 23:35
沢山の紫色の蛇が、月に向かって泳いでいくのが見えた。それらはそのまま月を覆い、そして、紫色に光った。夜空にまん丸と浮かぶそれは、今までも変わらずに、そうやって光っている。
2019年3月16日 01:53
インクが切れた。ボールペンは跡を残すのみで、少しも色を落とさない。今日買ったこのボールペンも、目に映るものの名前を全て書き上げる日には耐えきれなかったか。まる。まる。まる。まる。まる。跡でよいから、続きを書く。まる。まる。まる。まる。まる。
2019年3月14日 23:49
眠くなるにつれて、時計がぐるぐると回り始めた。なるほどあれは、世界の時間を表現してるのではなく、私の人生を表していたのか。夢では、白兎が時計を手に急いでいた。
2019年3月13日 14:35
夜空の写真を現像し、月だけを綺麗に切り取る。その月の穴を太陽に掲げると写真の空も明るくなる。こうすることで昼間の星を見る事が出来るのだ。切り取った月はちゃんと空に返さないと、夜が来なくなるから気をつけて。
2019年3月11日 02:22
ペットボトルのコーラを振り続けると、蓋を飛ばし吹き出して、その泡は天まで上る。真っ黒な液体は空を染め上げ、そして、夜になる。夜空はシュワシュワと泡立ち、星々は瞬いている。
2019年3月10日 02:10
なにとなしに撮った公園での写真が、凄く綺麗に仕上がった。世界はこんなに綺麗なのか、と驚く程だ。うっとりみとれていると、気が付いたら日が暮れていた。画像から目を離す。すると景色は写真に負けないくらい綺麗だった。ああ。これも、写真なんだ。そう理解した。
2019年3月9日 04:14
ドーナツの穴をくぐると、見たことの無い景色が広がっていた。チョコレートの山やグミの池、空には飴玉が光ってる。夢のようなお菓子の世界。でも、磯辺餅が無いから、帰ってきた。
2019年3月8日 01:54
空間の濃度の差により世界は流れ、あらゆる存在がそれに身を委ねている。その流れに上手く乗る『空間乗り』というレジャースポーツが生まれた。そして、あえて危険な流れを選びスリルを楽しむプレイヤーには、ブラックホールが最高のスポットとなった。事象の地平線を跳び超え、時間の渦を滑り、物理法則と戯れる。来年のオリンピックのハーフパイプもさぞかし盛り上がることだろう。
2019年3月7日 02:44
朝から食パンに乗って空高くを飛んでいた。朝ご飯を食べ忘れたので、食パンを少し食べることにした。美味しいので、少しだけのつもりが食べ過ぎてしまった。食パンは落ちる。どんどんと高度が下がる。危ない。と思ったら、牛乳の池に着水出来た。食パンがもっと美味しかった。
2019年3月6日 01:30
星々に名前を付けては、夜な夜な語りかけていた。そして時々、餌を与えたりしていた。「ペットは飼い主に似るんだってね」友人がそう言うので、夜空を見上げると、俺にそっくりの星座があった。もう。可愛いんだから。
2019年3月5日 02:55
あれは、七歳だったか。その日は強い雨で、小学校からの帰り道が分からなくなったのだ。気が付くと見知らぬ景色。怖くて、だから、走った。傘はもう、ちっとも役割を果たせず、俺はびしょ濡れになった。そして、小さな鯨に出会う。小学生の俺と同じ背丈で、びしょ濡れの鯨。