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嘘にまみれる毎日

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毎日一つ嘘をつきます。誰も傷つけない嘘を。
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2018年6月の記事一覧

【嘘】信号待ち

信号がとても綺麗なオレンジに光ったかと思うと、夜空から何頭もの鯨が泳いできた。

【嘘】矢と林檎と雨

矢文が届いた。頭の上に林檎を乗せていた所へ真っ直ぐと。物騒な。

文面は以下のとおり。

「逆さまに世界を見ると、落ちる物も落ちないぞ。」

なるほど。
林檎はまだ落ちない。ニュートンは怒る。

逆立ちを止めると、雨が降ってきた。
梅雨明けの雨だ。

【嘘】広告

ふと見た電車内の中吊り広告に「後ろを振り向くな!」というコピーが書かれていた。なんの広告なんだろうかとじろじろ見てみたが、どうにもわからない。周りのサラリーマン達も気になっているようで、その広告を凝視している。

誰も、振り向かない。

だんだんと後ろが気になってきた。
周囲のうずうずも伝わってくる。

静かに広告を見続ける。

すると、前に立つサラリーマンが、凄い勢いで振り返り、目を見開き、こち

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【嘘】夏

こうも日が長いと、日暮れ時はお祭りのように感じる。何故か明るい街。何をこんなにも熱気を持つのか。

ああ、そうか、わかった。これは夏という一つの大きなお祭りなんだ。
だから夕方に空を眺めると、いつだって花火が上がっているし、その後に手を見ると、必ず綿飴を持っているんだな。

【嘘】たんこぶ

頭をぶつけ、大きなたんこぶが出来た。
大人になってから、こんなに大きなたんこぶが出来たことはない。痛みと共に懐かしさを感じていた。すると、たんこぶが喋った。
「久しぶり。お互い、大きくなったな。」
俺は、これがすぐに小さくなることを知っているので、言葉が出なかった。

【嘘】ストロー

とても気温の高い夏の日は、熱々の珈琲を飲む。それも、決まってストローで飲む。
慣れていないと間違いなく火傷をするので、絶対に真似をしないでほしい。ストローを噛み、チビチビと飲む。

こうすると、ある思い出がよみがえるのだ。

出会ったのは、火傷するほど熱い黒猫だった。

【嘘】レッドカーペット

その特別な赤い道は、堂々と歩くのです。
けっして、下を向いたり、キョロキョロしたり、髪の毛を気にしたり、目をこすったりしてはいけません。前をしっかりと見て、適切な速度で着実に足を前へと運ぶのです。

やがて大きな口が見えるので、美味しく食べられなさい。

【嘘】万華鏡

号令があった。
誰かがこの万華鏡を覗くみたいだ。

欠片の一つである俺は、幾何学模様を描くために毎日練習をしてきた。

最後の予行練習が始まる。仲間達も筒の回転に合わせて完璧に動き、まるで宇宙のようだった。

覗きこんだのは少年。
少し回すとすぐにどこかへ行ってしまった。

【嘘】料理

ここ最近は金欠ゆえ、節約を心掛けている。
そこで発明した節約料理こちら。「数字ふりかけご飯」である。
数字の混ざり合いにより数多の味わいを見せる。時計を見て、文字を数え、距離を測り、集めた数字をご飯にふりかける。これがまた、美味いんだ。

だけど、数字じゃ腹は膨れない。

【嘘】口笛

土曜の朝は口笛の音色で目が覚める。
夢の中から聞こえているのか、現実に届いてきているのかがわからない。その音は意識がはっきりするにつれ、徐々になくなる。

今日は起きがけに、俺も口笛を吹いた。心地よくハモる事が出来た。
だけど次第に、俺の口笛の音だけが寂しく部屋に響いた。

【嘘】お土産

雨の日の電車は、どこにむかっているのかが、わからなくなる。窓の外は白く、うっすらと田んぼだけが見える。他人事のように電車はすすむ。

お土産をひざの上にのせて、目をつむり、昨日のできごとを思いだす。眠くはない。はっきりとした意識でお土産をなでる。

開けてはいけない。

【嘘】ばばぬき

久々に親戚が集まったので、ばばぬきをする事になった。
スイスイと手札は揃って、私が一番にあがった。声をあげて喜んだが、皆は無言で、ひたすらばばぬきを続ける。

ばばぬきは一向に終わらない。
誰一人揃えない。

おかしいと思い隣の叔母のトランプを覗くと、全て真っ黒だった。

【嘘】手段

必要な物は自分で作る主義だ。
肩幅を計る必要がある。
だから、肩幅用の定規を手作りする事にした。

正確性のため、肩の型を取る。
そして、その型の長さを計る。
肩幅の長さが解るので、それを元に定規を設計する。
出来上がれば、はれて肩幅の長さを計る事が出来るので、頑張ろう。

【嘘】スプーン

夜更かしをし、日が昇るまで起きていてしまった。

窓の外を見ると、朝日と一緒にスプーンが空に輝いていた。
スプーンは朝日をすくうと口まで運び、パクリと一口で食べてしまった。

真っ暗の夜に戻ったので、そろそろ眠ろうと思う。