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【音楽】火鍋屋で偶然流れてきた曲にどハマりした話

10月のある日、客も店員も中国人ばかりで日本人がいない、ガヤついた川崎の火鍋屋に入ってしまい、「大変なところに来てしまった」と思いながら私たちは火鍋を食べていた。

麻辣つゆを「中辛」でオーダーしたところ、想定外の超激辛のつゆがなみなみとつがれてしまった。「甘口」にすればよかったと後悔の念にかられながら、真っ赤な鍋の中の羊肉をすくう。店員さんが、汗と涙をだらだらと流していた私たちに気づき、「辛スギル?」と片言の日本語で言ってつゆを薄めてくれた。

そんなとき、なぜか店内のBGMでエンドレスリピートされていた、というのがこの曲との出会い。

メロディーがやたら耳に残るのだが、店がガヤガヤしていたので何を歌っているかさっぱり聞こえない。シンプルで骨太なメロディー、こぶしの聴いたボーカルに少し懐かしさを感じたこともあり、きっとこれは中国の流行歌なんだろうなと思っていた。そしたら後で日本語の曲だとわかってびっくり。

流れていたのは「夜のストレンジャーズ」(通称「夜スト」)というコワモテのオジサン3人組ロックバンドの「新世界」という曲だった。後日改めて聴いて私はこの曲の歌詞に心を打たれた。簡単にいうと支配者が去り、焼け野原に朝日がのぼる。子どもも若者も大人も老人も、それぞれが思うように自由に生きろという内容。

曲もよい。転調がとても気持ちいいし、サビ部分の「そう 新世界」で「そう」が合いの手のように入るところにヤバい中毒性がある。ちょっとハワイアンミュージックみたいな心地よさも感じられる。とにかく何というか、心の琴線に触れたのである。

さて、ちょっと前なのだが、近くでこのバンドのライブがあると聞き、悩んだ末ひとり参戦してみた。
馴染みのアーティストのライブと違い、初めて行く演者のライブは緊張する。まずファン層が分からない。自分だけ年食ってて浮いてしまったらどうしよう。

ライブ会場の場末感がまたよい

結果、観客は皆めっちゃ大人だった。笑
30代~60代と年齢層は幅広く、男女比は半々くらいか。
いい年の大人たちが音楽に合わせて自由に気のままに、踊って楽しんでいるのを見るのが新鮮だった。
客の自由さが度を過ぎて途中、Vo.の三浦さんが怒ってしまうハプニングがあったが、会場から「そんな三浦さんが好きだー!」という男性の声が飛び、笑いが起きていた。

アルバムジャケットの原画が展示されていた。このイラストも良すぎる!

ライブは演奏も歌も素晴らしかった。三浦さんのダミ声はラフなのに不思議とやさしい。そして言葉を超える魂の叫びがある。

最新のアルバム「新世界」を買い、改めてゆっくり聴いてみると、メッセージ色の強い曲が多い。1曲目に収録された「平日」は陽気でのん気で楽しげで、ステップを踏みたくなるような曲だ。しかし途中で主人公が戦争帰りの元兵士で、これが反戦の歌であることに気づくと、ぎゅっと胸を締め付けられる。

ラストに収録された「コナン」も好き。この曲は生命と人生への力いっぱいの讃歌だ。でもそれは終わりがあってこその煌めきなのだと感じさせられる。アルバム「新世界」は聴いてみる価値がぜったいある。繊細な感性がないとかけない曲ばかりだと思う。

緊張しながら参戦したライブは、観客の自由さも相まって、体制への反抗や平和への希求といった、ロックの原点というべきものを改めて思い起こさせられた。

踊らずに終始おとなしく観ていましたがとても楽しかったです。
また行きたいな。
次は自分も踊ろうかな。笑


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