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わたしにできることは何か

自ら命を断つ人って、どんな気持ちでその瞬間を迎えるのだろうか。

どんな景色を見ても、どんな人を見ても、どんな草木や花や空を見ても、何も感じなくなってしまうのだろうか。
どんな歌を聞いても、どんな本を読んでも、どんな言葉を言われても、何も響かなくなってしまうのだろうか。
夜寝る時はどんなに苦しかっただろうか。
どのくらいの時間をひとりで悩み続けていたのだろうか。
ひとりでいる時間は生きている心地がしたのだろうか。
人に会う時はどれだけ自分を隠していたのだろうか。
笑顔を見せるためにどれだけの感情を押し殺していたのだろうか。
明るく振る舞うことがどれほど辛かっただろうか。
食事も飲み物も喉を通らなくなってしまったのだろうか。
何かこの世の中に残したいことはあったのだろうか。
ご家族に申し訳ないと思っていたのだろうか。
その行動そのものが世の中に対するメッセージだったのだろうか。
命を断ったら楽になれると思ったのだろうか。

いくら考えてもわからない。
その人にしかわからない。
そうなってしまった以上、聞く術もない。

もう少し早く気づいていれば、どうにかできたかな。
少しでも楽に生きていくことができたかな。
死ぬのは今日じゃなくてもいいと思ってもらうことができたかな。

あくまで可能性の話でしかないし、いくら考えたって答えなんて見つからないけど、考えていくしかないんだ。
人が人として生きていくためには、人が考えていくしかないんだ。

今もどこかで誰かが苦しんでいるかもしれない。
名前も知らない遠い存在かもしれない。
いつも側にいる人かもしれない。
その誰かに手を差し伸べてあげるために考えるしかない。
普段の振る舞いからは見えない心の中を想像するしかない。
自分の態度や行動で不快に思う人はいないか想像するしかない。
想像するしかないのだ。
考えるしかないのだ。

わからなくても、見えなくても、感じるんだ。
どんな景色を見ても何も感じないなんて寂しすぎるから。
そんな生き方して欲しくないし、だからと言って死んで欲しくないから。

生きていてほしいから。

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