【前編】呪いから愛を探して【作られたヤングケアラー】
家族が純粋にくれたはずの愛が
毒と化してしまい
物理的に離れていても
もう会えなくても
私の心を縛る時があるのは
否定できない。
あまり、私をどうであれ
愛してくれた人を『毒』とは
言いたくないし
どうしようもなかった所があるのも
知っているのだけど。
結果として、私は
自分がしんどくても壊れても、
人の世話を当たり前にするように
言ってしまえば
『ヤングケアラーになるように』
作られた。
そうなってしまった。
【前編】呪いから愛を探して【作られたヤングケアラー】
ついに実子が(母視点)
じんましんを主に、連日の不調。
近所の内科に向かう。
「もしかしたら妊娠してるかも」
内科医は近くの産婦人科を紹介した。
早速、受診。すると・・・
結婚して5年。
なかなか子宝に恵まれず
「次でできなかったら養子を」と
話し合っていた時に、やっとできた。
急いで実家へ行き
夫、両親、妹に報告する。
手放しで喜ぶ両親。
妹は「おめでとう」と言い、静かになる。
看護師だからか、早速
体調変化や産後のことを考えてくれている。
夫は・・・ど、う、して?
あなたが望んだ、あなたの子なのに・・・・・
破水したのに(叔母視点)
朝、目を覚まし
里帰りしている姉の様子を見に行く。
「なんか、びしゃびしゃやわ」
姉の布団を確認する。・・・!
「行くで!病院!もう産まれるかも!」
姉に声をかけつつ、自分も用意する。
ナプキンを手渡す私に
姉から返ってきた言葉は
「明日、検診やからその時でも・・・」
ええわけあるか!!!
放っといたら、あんたも娘も死ぬで!
渋る姉を車に乗せ、病院へ。
簡単な診察後、姉はすぐに分娩室へ。
やはりあれは破水だったのだ。
破水したのに(母視点)
予定では、まだ先なのに。でも
妹が連れてきてくれてよかった。
・・・って寒すぎるやろ!ん?
分娩室がまだ暖まっておらず
部屋に入り、寒さを感じた瞬間
陣痛が嘘みたいになくなった。
中で骨が押される感覚もない。
どうやら、寒くて
生まれるのをやめようとしているらしい笑
いや、もう破水しとんねん!やめんな!
・・・・・なんとか、また陣痛が来た。
2001年3月9日11時33分 女の子誕生
実親≠名付け親≠育ての親
初産にしては、とんでもなく
スピード&安産だった母。
しかし、産後の経過はあまり良くなく
生まれた我が子も小さすぎて保育器へ。
母は、娘の命名権を
妊娠判明から、全ての面倒を見てくれた
自分の妹に渡した。
だから、私の名付け親は叔母。
母は、なかなか体調が安定せず
私のそばにいてくれたものの
私の世話をきちんと出来る状態ではなかった。
父は、仕事。育休をとれたのにとらない。
体調を崩している妻と小さい我が子を置いて
海外出張を自ら入れる。
だから、私の育ての親は
母方は祖母・叔母・伯父、父方は大叔母。
そして、師匠(柴犬)が私の
遊び相手兼護衛に任命された。
※人間サイドが、犬のベッドに私を寝かせて
ベッドをとられた犬が非常に不服そうに、
でも敵(父)から私を守ろうと
寄り添ってくれていた。
引っかかる言葉たち
私は色々な事情が複雑に絡みながらも
愛されたと思う。
でも、かけられた言葉。
間違いではない内容もあるだろうが
私が『私』を失う材料になった言葉。
・・・もともと、世話をしないといけない数に
ばあちゃんは入ってなかったと思うけど?
ばあちゃん、それは自分の娘に言って?
おばあちゃん子な孫には、きついて。
家の外でならまぁ分かるけど
家の中で甘えられないなら
どこで甘えたら良いんですか?
そりゃ社会に出ればそうだろうし
父は家業の手伝いをしていたから
社会人生活が10歳頃から始まってしまったけど
私は幸いにも、そういう状態ではないし
結果までの努力を認めてやれるのは
親だけじゃないの?
・・・じゃあ、私は誰に
抱きしめてもらえるの?
しーちゃん(伯父嫁)なら
抱きしめてくれると思ったのに。
これらは、まだ序章だった。
呪いのように
言葉の通り、底なしの愛で
全く感情的にならず常に落ち着いて
私を包んでくれた祖母。
祖母は、母が感情を昂ぶらせ
私に当たる度に、こう言った。
意味は、分かっていなかった。
「うん、わかった」と肯定していた。
約束だから
私が15歳になった頃
祖母が認知症を発症し、介護が必要になった。
もちろん、私も介護を担った。
全身に違和感を覚えながら、祖母の体を支え
叔母からのとまらない愚痴を聞き
母からの八つ当たりを食らった。
伯父夫婦が介護を放棄したせいで
『せざるを得なくなった』状態になっただけで
私は、私が介護を担うことについて
自分のやりたいことを諦めることについて
なんの疑問も持っていなかった。
だって、ばあちゃんの孫は
私しかいないんだから。
甘えちゃダメなんだから。
少しでも役に立たなければ
無価値なんだから。
ばあちゃんと、約束したんだから。
かあちゃんがどんなになっても
悪いようにしないって。
母を支え続けるって約束したんだから。
見事に、大人たちが望んだ形になった。
自分に厳しく、常に人に尽くすことを考え、
無理だろうが嫌だろうが私情は関係なく
全てを受けとめて、全てを受け入れる。
『私』の選択として、責任を持って。
・・・ばあちゃん、大好きだよ。愛してる。
でも、ばあちゃんの言葉が
ほかの何よりも残酷だ。
ばあちゃんとじいちゃんが
自分たちでやらないといけなかったんだよ?
だって、母の両親は2人でしょ?
私は母の親にはなれないよ・・・
母に親からの愛情は、あげられないよ。
後編に続く
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