支援者側にいていいのか分からない【サバイバー・アダルトチルドレン】
両親と離れるまで
言うことが矛盾する。
怒鳴ればなんとかなると思っている。
両親は私を尊重してくれているとは思うし、2人の子どもで良かったと思っているが、さすがに良い家庭環境だったとは言えない。
就職が決まったタイミングで、叔母の家に転がり込んで穏やかな日常を手に入れた。ここまで、10年かかった。
支援者として得た自己認識
私は、高校1年生から教育ボランティアに参加してきた。専門学校は医療系だった。今の仕事は福祉関連だ。
最近、恐怖を感じることがある。それは『負の関係性の連鎖』を起こす可能性だ。既に起こしているかもしれない。
仕事・活動で、多くの生徒や支援者と関わり、触れた様々なケースに、専門学校で学んだ医療系の知識が結びつく。ここで「自分が大人たちから受けてきたことは『虐待』と表現できる」「私の家庭は、かなり壊れていた」と気づいたのだ。
虐待とは
児童虐待は4種類に分けられる。
(児童虐待防止法より)
詳しくはコチラのリンクから
【身体的虐待】
暴力をふるわれる。
【性的虐待】
直接的な行為だけでなく、誰かとそうするように仕向ける・それによって得た金品の利用も含む。
【ネグレクト】
子どもの正常な心身の発達を妨げる、長時間の放置・食べさせない。調子を崩しているのに、病院に連れていかない等。
【心理的虐待】
存在否定。家庭内暴力(DV)の目撃。
※子ども自身が直接受けていなくても、日常的に(DVを)目撃すれば、存在否定などをされた時と同等のダメージを受けるため
私の場合は、心理的虐待を受けていたと言える。
・日々、父が母に怒鳴るのを見る。
・母に「あんたが離婚するなって言ったから、離婚しなかったのに」と事あるごとに繰り返し言われる。
・父からは母の悪口、母からは父の悪口を聞く。
・言われることが大きく矛盾する。混乱していると、「理解しろ」と怒られる。
機能不全家族とは
本来の機能を果たしていない状態の家庭。
この家庭で育った人を『アダルトチャイルド』『アダルトチルドレン』と呼ぶことがある。
非常に抽象的だが、家庭の機能をここでは『子どもがじゅうぶん愛されて、受けとめられて、リラックスできる環境の用意』とする。
この機能・環境がいつでも用意可能だとは思わない。保護者も常に安定しているわけではない。
問題は、機能不全に陥った状態(愛されない・受容されない・リラックスできない)がずっと続いてしまうことだ。
私の家庭の場合だと・・・
・他人を信じないよう、過剰に言われる(家のことを話すな、絶対に弱みを見せるなと言われる):幼稚園前から
・指摘して良いのは大人だけ:文章を喋れるようになってから
・涙が流れたのを見られると「何も泣くことなかったやろ。うたれ弱いな」と責められる:5歳頃から
・目の前で両親が互いに罵り合い、顔を合わせていない時はそれぞれ私に、互いの悪口を言う:4歳頃から
たぶん、なるべくして・・・
別noteでは、私が『ヤングケアラー』『若者ケアラー』に該当していたことを書いている。
私が『ケアラー』と言われる状態にあったこと。心理的虐待を受けたこと。たぶん、なるべくしてそうなった。
父の過去
両親と妹の4人で暮らしていた。
家業の手伝いで、彼の社会人生活は10歳頃から始まっている。
中学2年生の時、父親が心筋梗塞で急逝。彼は家業を畳み、中卒で働きながら、電気工事士などの免許を取得したり、2歳下の妹を先に高校に行かせ、通信制高校に通ったり。
成人前、大怪我をし、働くのが困難になった時期は、妹とともに養護施設で一時過ごしていた、ケアリーバーでもある。
なんとか復帰し、生活を立て直せるか・・・というところで、母親が認知症を発症。仕事と介護の両立が始まった。
母の過去
祖母・両親・姉・兄・彼女・妹の7人家族。家の実権は、祖母が完全に握っていた。
両親は自分の体調が悪くても、祖母に「甘えだ。働け」と朝には家から追い出されていた。祖母は姉と兄しかいらず、彼女はネグレクトを受けていた。たったの数分でも目を離せば、自分が料理したもの・両親が自分に買ってくれたもの、全て祖母に持っていかれ、「ちゃんと見ていないのが悪い」と言われる。
高校入試で難関私立に受かったが、祖母に渡した入学手続きの書類や入学金の振込用紙が、後日そのまま出てきた。(祖母がなんの手続きもしなかった)
「1年、どうするか自分で考えて決めたい」と両親に伝えた。両親は快諾。しかし後日、「浪人なんてかっこうがつかない」と祖母と姉が勝手に専門学校への入学を決める。結局、現役で専門学校(1年制)と通信制高校(4年制)のWスクール。
成人し、今度こそ自分で自由に決められるかと思えば、今度は父親に自分のやることを否定されるように。内緒にして稼ぎ始めると、祖母がどこからか突き止めて「あの子に給料出さなくてよい」と仕事先に連絡し、収入がなくなった。
負の関係性の連鎖
なんとなくのイメージで良いのだが、以下の状態を聞いたことがあるだろうか。
『上司・先輩から受けた理不尽を、後輩に同じようにする』『虐待を受けた人が親になると、子を虐待する傾向がある』
一概には言えない。
反面教師にしている人もいるし、ケアやサポートを受けてコントロールしている人もいる。
でも、自分がもらった試しのないものを、誰かにあげることはできないのだ。
支援者側にいていいのか分からない
私は、どんなに無理だろうが、文句を言いながらでも結局やる。たぶん、もらった試しのないものでも、目の前にいる子が必要としていると感じたら、無から作り出してでも、あげる。
ただ、それは仮初めだ。私も、あまりにも無茶をしている。これではもたない。
どうすれば、本来は親からもらえるはずだったものを、もらえるのだろうか。もらえなくても良いから、どうすれば『たいてい親はこうする』を知れるのだろうか。頭の中に例題を増やすことができれば、最適な例題を選び、子どもの特性を考慮して、より適切な支援や情報を提供できると思うのだが・・・それも結局は仮初めだろうか。
私は支援者側にいていいのか分からないのだ。