「虫の目」 「鳥の目」 「魚の目」
ゆめちゃんのオタクをして来て約4年になる。ストーリーのベースは変わらないが中身の濃さゆえ多角的に切り取ることができる。今回記す内容もその1つである。私がオタクをしてきた中で間接的に感じ取ってきた部分。ライブアイドルとオタクの距離の近さゆえ表面上ではあるが見てきた面。思考の整理として残しておく。
2019年3月、「まッ」という新グループのオープニングメンバーとしてアイドル人生の歩みを始めた頃。曲を覚える。振りを覚える。ステージ上での立ち振舞。ファン対応。新規ファン獲得。誰もが通る道ではある。ライブアイドル文化が成熟し、すでにレッドオーシャンであったことが追い打ちをかけたのではないかと推察する。軌道に乗るのに半年以上用した気がする。ネームバリューあるグループの新メンバーだったら違ったのかもしれないけど。よく折れずに続けてくれたなと今振り返ると思う。
同年10月、同事務所の「ワガママきいて??」と兼任することになった頃。2つのグループを兼任し始めてからファン数は安定していたように見えた。ループしたくても全然撮れなかった時期があったのを記憶している。この時期にフォーカスしたいのはファン数ではない。兼任状態だ。同日にそれぞれのグループ別箱でライブがあったり。同じイベントで2つのグループのライブをこなしていたり。この時には本当壮絶であった。1つ目終わって特典会やって着替えて2つ目のライブやって特典会やって。みたいな。自分で望んでやっていたとしても凄すぎる。多い時で月に40本以上ライブに出演していた。しかもこの頃の「まッ」はゆめちゃんともう1人の2人体制だった。気持ちの切り替えが難しい時もあったんじゃないかな。本当にタフだなと思うし。よくやりきったと思う。
2021年6月「OVERFLOW」加入した頃。この頃は良いことがほぼなかった。この期間そのものが忍耐だった。私が見てきた中で一番底だったと思う。清楚系グループの王道アイドル曲っていうそれまでと系統がガラっと変わった。サブスク残ってるんで興味あればお聴き頂きたい。乃木坂とか48グループとかを手掛けている人が作っていて曲の完成度は素晴らしかった。アイドルビジネスって難しいなぁ、と痛感したのは系統が変わっただけで大多数のファンが離れていったことだ。私は顧客基盤をスライドさせてスタートできるものだと思ったが認識が甘かった。獲得するのに時間かかるが離れていくのは一瞬。厳しい世界だ。新規グループでアイドル未経験ばかりで構成されているのにチェキ券が2000円であることがファン獲得の足かせになっていた。6月に加入し8月頭に体調不良になり長期活動休止でそのまま11月に卒業。このグループでの実働は2ヶ月もない。この期間は特に何もなかったなって感じ。
2022年1月〜8月頃。
次の選択肢を模索していた待ちの忍耐期間。悩み、もがいていたように見えた。光明が差したのは4月に自身主催で開催した生誕祭。彼女にとってもファンにとっても久しぶりのステージ。恐らくアイドル復帰への想いを強くさせたに違いない。その後も焦らず、時間をかけて次の機会を窺っていた。
2022年9月、4つ目のグループ「100万ドルのフェアレディ」加入。新グループのオープニングメンバーでアイドル復帰。振り出しに戻った感はある。しかし、彼女の才能が奪われたわけではない。ここから這い上がれる。現在の“忍“耐は顧客基盤をスライドできなかったところ。新型コロナウイルスが追い打ちをかける。ライブアイドル業界はビジネスモデル的に大打撃を受けアイドルもオタクも淘汰した。オタクの母数の方が少ないため多アイドル少オタク状態が加速したように見える。何となくオタクの流動性がコロナ前ほどではなくなった気もする。これが新規獲得を一層厳しくしている。昔と違ってアイドルとしての経験値はあるが一筋縄ではいかない難しさだ。軌道に乗れれば爆発しそうな気がする。だが言葉にするのは簡単。現実はそうもいかない。
こうして整理してみると“忍耐”の連続であった。だから私はゆめちゃんを漢字一文字で表現するとしたら、と言われて忍耐の“忍“を挙げる。アイドルを表現するにはにつかない字だ。だが私が見てきたストーリーからするに敢えてこの字を挙げる。