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ツアーオペレーターの存在を知っていますか?

 海外のパッケージツアーや団体旅行に欠かせない存在がツアーオペレーター。
 パッケージで海外に行ったら、空港で「◎◎ツアー」というプレートを持った係員が迎えてくれ、そのまま手配された車に乗ってホテルへと(早朝に着くところは観光へ)流れていきます。これは全部手配されているから。

 個人だと、面倒な公共交通で、さらにターミナル駅についてもスーツケースを引きずってホテルまで行かなくてはなりません。タクシーだと国によっては客引きがあったりとこれまた面倒。空港からホテルまでは海外旅行の一つのハードル。それをスムーズにしてくれているのがツアーオペレーターです。

 ほかにも現地観光やガイド、オプショナルツアーの造成や手配、ホテルやレストランの予約など、現地に関わるさまざまなお世話を担う、いわば海外旅行の「安心安全」を担っている影の立役者。かつては旅行会社が自社の現地法人でやっていた時代もありましたが、今は日本から来るツアーや団体の手配だけでは賄えない状況で、委託する形が多いです。

 現地オペレーターは取材コーディネートをしてくれることも多く、私も車の手配してもらったり、視察旅行でお世話になることもありました。現地では、日本の旅行会社からの高い要求、現場の日本人客のクレーム、いろいろな間にたって、大変な様子も目の当たりにしてきました。それでも、滞在中、安全に日本人のお客さんが現地を楽しんで帰ってもらえるよう、あれこれ手を尽くしてくださる。

 例えばA社、B社、C社、D社から申し込んでも、空港で待っている現地オペレーターが2社だったりして、AとC、BとDのお客さんが一緒にホテルまで運ばれたり。つまり、日本のどの旅行会社で申し込んでも、現地で世話を焼いてくれるのはオペレーターさんなわけです。
 
 ある人が大手オペレーターから独立して、大手旅行会社との取引がまだなく、メディア販売(店舗を持たずに新聞広告などで安く集客する会社)を相手にしていたのですが、とても面倒見が良く現地の人脈も厚い人で、メディアの安いツアーできていたのに、結果大量送客されてきた大手の旅行会社より、手厚いサービスを受けていたことも。結局は人なのです。

 ある時、現地視察でメモを取らない旅行会社の人がいたのでたずねると、「オペレーターに聞くからいい」と。他のことでも「オペレーターにやらせるから」という人もいて、そういう関係性なのかと少々驚いたこともあります。だから、オペレーターの人たちって、人が好きで明るくて、柔軟性があって我慢強くて、という人が多いのです(それでないとやっていけない)。対等な関係性に見えないのは旅行業だけではなく、日本らしいとは思うのですが、正直どうなんでしょう。

 そんなツアーオペレーター、1年以上も日本からの送客がなく、大変な状況にあります。現地での転職者も出て、今後各地で日本語ガイドも減ってくるのでは? 旅行会社のパッケージツアーがこれまで異常に安かったのは、効率化などいろいろな要因がありますが、ツアーオペレーターの頑張りによるところも大きかったと思います。

 今、航空会社、ホテルなども大変ですが、航空会社は貨物や国内もあるし、ホテルも国内需要が見込めます。でもツアーオペレーターは海外の手配によって利益を出すので、GoTo事業の恩恵もありませんでした。

 世界から見ると、今日本のマーケットより中国の方が大きいし、お金も落とす。他のアジアも経済力がついて伸びている。今までのように日本人対応に力を入れてくれるところは相対的に減っている。コロナが開けたらツアーの形も変わるでしょう。デフレの日本で安いサービスを享受しすぎて、今後、それを海外旅行に求めることはほぼできなくなると思った方がいいと思います。

 海外の空港に着いて、ホテルまで何のトラブルもなく無事に辿り着けるのには、ツアーオペレーターさんの努力があるのです。コロナで気がついた当たり前が当たり前でないこと、海外ツアーにおいては、オペレーターさんもそのひとつであると、知っておいて欲しいと思い、投稿しました。

 早く自由に海外に行ける日が来ますように。

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