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それでもと立ち上がるための物語と音

この前の飲み会で、「アジカンのどこが好きなの?」と聞かれた。そういえば、なんで好きなんだろう。好きになったんだろう。

ぼくが彼らを好きなのは、彼らの音楽が、抗う音楽だからだ。いまここから、前に進もうとする力を感じるからだ。

うまくいかない現状に、世間の空気に、社会からの圧力に、そして自分のなかに宿る無力感と虚しさに抗うような音楽に強く惹かれる。

彼らの音楽は、ぼくをつき放すわけでもなく、応援するわけでもなく、かといって、そっと隣にいるわけでもない。真正面から、焦り、歪んで、劣等感や無力感を呼び起こす。

隠していたかったネガティブな感情に触れ、ぼくはその感情を再発見する。音楽は、その感情を昇華してくれる。
どうしようもない日々に、まだここからだと、抗う力を与えてくれる。

歪んだギターと落ち着いたベース、弾けるドラムと、力強い歌声は、無力感に打ち勝つ勇気を与えてくれる。

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先日、友だちに紹介された本がある。「この本、いひがしは、絶対気にいると思うよ」と渡されたのは、花田菜々子・著『出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』という本だ。
書店員が出会い系サイトに登録し、そこで出会った人に合わせて本を紹介するという実話に基づいた小説だ。想像以上におもしろかった。読み終わる頃には、自然と胸が暖かくなり、「ぼくもぼくの人生を選んで生きていこう」という思いにあふれた。
それはこの物語が、抗いの物語であり、復活の物語であったからだ。
夫との関係の悪化、仕事への絶望と無力感、その中で、なにか変えたいと、新しい世界に飛び出した。そこで、いろんな人と出会い、今までにない経験をする。
新しい世界での彼女の武器は「本が好き」で、「本を紹介する」こと。彼女は武器を持ち、磨き、冒険をくぐり抜け、大きな課題に直面する。自分との戦いだ。
最終的に彼女は、自分のやり方で、自分の選択によって、自分の人生を勝ち取る。
その過程はまさに、スターウォーズだ。
自らの使命に気づき、力を得て、より大きな課題を超える。
彼女は、武器がライトセイバーではなく、本だった。
これは、書店員版のスターウォーズの物語といってもいいのかもしれない。

さらに、ぼくは、彼女の物語から、よりスターウォーズとは異なる感覚も覚える。
好きなことや得意なことを武器にできること。もしかしたら、冴えない自分も、現状に抗い続け、一歩踏み出せるのではないかということ。そんなことを、より身近に感じるのだ。

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油断すると、結局そうだよね、どうせ無理だよという沼に入る。相手のせいにし、周りのせいにし、環境のせいにする。周りの目を気にして焦り、人と比べ無力感を抱く。
ぼくは、そんな日々に、抗いたい。ぼくは、ぼくの選択で、自分の人生を歩みたい。その方が楽しい。
アジカンや、抗い、復活する物語は、ぼく自身がそうありたい態度であり、弱い自分と向き合わせてくれる。なにか、小さな火種を起こしてくれる。ここからスタートだと勇気をくれる。
だから、好きなんだ。

#日記 #アジカン #読書 #であすす

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