Magic Musings
マジックコンサルタントのRory Adamsによるエッセイ集で、数年前のサブスク購読者に無料で配布された小冊子です。
2022年の9月に書かれた22のエッセイが1つの本になっています。
テーマはTVマジシャン向けのアドバイスから既存プロットやマーケットアイテムに対する新しい視点など様々です。
どこかで見聞きしたことがあるテーマがないこともないですが、問題点を指摘するだけではなく解決案として具体的なアイデアをいくつか提示してくれます。
例えばインビジブルデックを例に挙げて、なぜ予言として1枚だけ裏返しているのかを考えなしに演じているマジシャンが多いことを指摘し、その上で予言として1枚だけ裏返っている理由付けの案を4つ挙げています。
また、「普通のトランプを使います」という奇妙なセリフにも警鐘を鳴らし、その問題をどう解消したらいいかということについても同様に具体案を提示しています。この問題については様々なところで言われている話ではありますが、やはり具体案をいくつも提示してくれる点は読む側からすると非常に参考になります。
既存プロットや道具に対する考えの話は、そんな使い方もあったかと思わされると同時にいかに自分が考えられていなかったかということを再認識させられました。
その他、CopperfieldやDavid Blaineなど著名マジシャンの話もあり興味深く読み進められました。(Copperfieldが自由の女神を消した当時26歳だったということが書いてあり驚愕しました)
各テーマ2〜4ページ程度で簡潔に書かれていて、軽い気持ちで読めるエッセイ集でおすすめではありますが、残り数冊しかなく売り切れれば絶版のようですので、気になる方はお早めに。
ここまで書いておいてなんですが、このエッセイ集の全ての記事はRoryのサブスクで読めますし、他の記事も興味深い視点のものが多いので、本という物体にこだわりがない方はサブスクに登録して読んだ方がいいと思います。
Roryの決定版と言える本が近々販売されるようでそちらも楽しみですね。