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Winners  厚川昌男賞8人の受賞者

オリジナリティのある作品とはどのようなものか。
この本にはその答えが凝縮されていると言っても過言ではありません。

本書は副題にある通り、厚川昌男賞(*)を受賞した8人による作品集で、一人3作品の合計24ものマジックが解説されています。

発行は1997年で約30年前の本ではありますが、名を連ねるのはヒロサカイさん、前田知洋さん、カズカタヤマさん、からくりドールさんなど、テレビなど表舞台でご活躍されている方々、谷英樹さん、石田隆信さん、藤原邦恭さん、岸本道明さんなど今なお素晴らしい作品を作り続けているクリエーターの方々でこれ以上ない程に豪華なメンバーが揃っています。

言及するまでもなく素晴らしい作品が揃っているのですが、いくつか特徴があるように感じました。

まずはダイレクトな現象やユニークな現象が多いということ。

手に握った指輪が消えてまた戻る、お札を割り箸で破り復活させるなど、シンプルで強力な現象の作品からカードケースに入れた万年筆が手を触れずに動き出しカード当てるという見た目の面白い現象の作品まで掲載されています。中にはマニアに向けて演じた方がウケそうなカードトリックなんかもありますが、それはそれでマニア心をくすぐられます。

次に仕組みに関して、マジック以外のアイデアがところどころで使われているということ。

CMの演出、パズル、アニメーションの原理などから着想を得た作品ありました。マジックの分野のアイデアだけから考えたら出ないような発想が多く、自身もマジックを考える際には参考にしたいものの、この辺りはその人のセンスとしか言いようがないものなので難しいところです。


その他にも日常生活で即興的にできるマジックや一人の女性に対して演じるためのマジックなど幅広いシーンで使える作品が多数載っており、プロからアマチュア、クリエーターなど様々な層の方に参考になる一冊と言えます。

*奇術愛好家であった小説家、泡坂妻夫さんがマジッククリエーターを集めコンテストを開き、独創的な作品を創った方に贈っていた賞のようです。

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