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2020年 二軍守備得点まとめ

おおよそ半年前、下記noteにて補殺数や刺殺数といったNPB公式にあるデータから、2019年の各球団の二軍守備得点を算出してみました。

2020年の守備データについては、イレブンスポーツによる二軍戦の映像配信が進んだ影響もあってか、DELTA社が下記のようにUZRの算出を始めたようです。

ただ情報の出し方としては断片的で、一軍UZRのように網羅的に公開されていないのが現状です。
ですので、2020年についても守備得点という形で、二軍を主戦場とした選手たちの守備力を推定していきたいと思います。

1.算出方法

算出方法については、以前のnoteに詳細は記してあるのでそちらに譲りますが、RRFという公式記録として残されている補殺数や刺殺数をベースとして、実際に記録された補殺/刺殺数と期待される補殺/刺殺数を比較し、平均的な選手よりどれだけ失点を防いだのかを算出するという方法をもって算出していきます。

内野手についてはゴロを捌いた際に記録される補殺、外野手についてはフライを捕球した際に記録される刺殺をベースに用い、各選手が実際に記録した補殺数/刺殺数と期待値の差に、ゴロアウトの得点価値である0.72、フライアウトの得点価値である0.84をかけ合わせることで、守備得点を導きました。
なお外野手については、補殺数も得点価値を1.0点として守備得点に加え、内野手についても、今回から失策抑止力を測るため、各ポジションで記録された失策数とその期待値の差に、失策の得点価値を0.3点をかけ合わせる形で算出し、守備得点に加えています。

加えてここに補正として、左腕投手の投球イニングによる補殺補正と、内外野でのアウト数の偏りによる刺殺補正を実施し、それをトータルしたものが以下で算出されている守備得点となります。

なお捕手については、盗塁阻止の成績が不明なため、捕逸数を基にしたブロッキングと、失策数を基にした失策抑止の2つの面から守備得点を算出しました。

2.各球団のポジション別守備得点

早速各球団別のポジション別の守備得点を概観していきますが、ここで名前を出している選手は、該当ポジションを200イニング以上守ったorチーム内最多イニング出場者に限定しています。

※なお守備イニングについては、Y⚾M(@yuta_m89)さんの下記資料を参照させて頂きました。

ソフトバンク

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一軍出場はありませんでしたが、ドラフト1位ルーキーの佐藤直樹が、CFで守備得点5.5と高い守備力を発揮しています。
20盗塁を記録し盗塁王を獲得するなど、走と守のレベルの高さは見せ付けただけに、あとはOPS.653に終わった打撃をどれだけ一軍レベルまで引き上げられるかが、活躍のカギとなってきそうです。

その他では、本塁打打点の二冠に輝いたリチャードは両コーナーを平均レベルでは守れており、今季二軍でOPS.827とブレイクした水谷瞬野村大樹といった若手がプラスの数値をマークしているのは、ポジティブな要素です。
またここには名前がありませんが、谷川原健太が2Bで10.6という高守備得点をマークしているのも見逃せません。
珍しい捕手と2Bを兼ねる選手ですが、OPS.775は昨年から約.200アップと、打撃面も昨年から成長しており、今後が楽しみな選手です。

一方、一軍でも実績のある上林誠知や、首位打者を獲得した三森大貴が低い数値に終わっているのは気になるところです。
特に三森は昨年も-11.1と低い数値に終わっており、一軍定着に向けては守備面のレベルも引き上げる必要がありそうです。

中日

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中日と言えば、一番の注目は石川昂弥になるでしょうが、3Bで守備得点6.1と非常に高い数値を叩き出しています
二軍でのOPSは.754と打力の高さも折り紙付きのため、一軍定着は時間の問題と言えましょう。

昨年はSSで守備得点-15.2と苦しんだ根尾昴でしたが、今年は様々なポジションを守り、SSでは大幅にマイナスを減らし、2Bではプラスの数値をマークするなど、打撃面のみならず守備面でも成長の跡が見て取れます。
石川、根尾のドラフト1位コンビの今後は、守備面でも大いに期待できそうです。

他にも、本格外野挑戦1年目ながらCFで12球団4位の数値を叩き出した岡林勇希、全ポジション中最高の12.8ものプラスをLFで生み出した滝野要など、高い守備力を見せた選手が多く、打撃面を含めてもプロスペクトの多い中日の今後は明るいのではないでしょうか。

オリックス

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オリックスでは、球界屈指のプロスペクトでもある太田椋に注目が集まりますが、二軍では2Bに回る機会が多く、不慣れなためか-6.9と決して良いとは言えない数値に終わってしまいました。
本職のSSはわずか28イニングと守備イニングが少なく、SS守備については何とも言えませんが、同じSSを本職とする紅林弘太郎との共存をどう考えていくかは、オリックス編成陣の腕の見せ所でしょう。

その紅林ですが、17失策と失策の多さが目立ちましたが、単純なレンジ評価だとプラスの数値に転じるため、ポジティブに捉えられそうな結果と言えそうです。
9月以降一軍に定着した大下誠一郎も4.2とプラスの数値で、この辺りの若手が今後のチームの中心となっていくことを考えると、良い結果が出ているのではないでしょうか。

広島

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昨年はセンターラインを主に守った小園海斗羽月隆太郎大盛穂が大幅プラスの守備得点を記録しましたが、今年はその中で小園が前年の8.0から-5.1まで大きく数値を低下させてしまいました。
ただ羽月依然プラスの数値をキープし、大盛に至ってはCFで126.2イニングの出場ながら、9.0という非常に高い守備得点をマークしています。
今年の一軍UZRは両者ともマイナスでしたが、二軍成績を見ても素養はあると思われるので、今後の改善に期待したいところです。

新戦力では、入団前からスローイングの課題を指摘されていた宇草孔基、2Bをメインで務めた韮澤雄也、育成選手ながらいきなり7本塁打を放った木下元秀はいずれも、多く守ったポジションで目立った数値を残せませんでした。
ただその中でも韮澤は、SSだと137イニングで4.8とプラスの守備得点を記録しています。
SSの方が守備難易度が高いだけに、守備得点がSS>2Bとなっているのは意外ですが、来年以降どのような推移を見せるのか気になるところです。

阪神

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昨年SSとしては両リーグNo.1の守備得点をマークした小幡竜平ですが、今年も二軍ではプラスの数値をマークし、一軍のSSUZRでも2.2をマークするなど、相変わらず高い守備力を見せつけました。
内野陣の守備力がここ数年の課題だっただけに、そこを埋められる存在として今後も機能してくれそうです。

1Bで守備得点4.7を記録した板山祐太郎ですが、捕手以外の全てのポジションで出場し、かつCFで0.0を記録した以外は全てプラスの守備得点を記録するユーティリティーぶりを発揮しました。
中々一軍定着へのきっかけを掴み切れていませんが、この高い汎用性を前面に押し出して一軍定着を図りたいところです。

阪神で気になるのは、昨年多く入団した高卒の選手たちですが、井上広大RFで-6.1と守備力には課題を覗かせる一方で、遠藤成SSで177.2イニングを守り守備得点-4.3と少々苦しみましたが、2Bでは117イニングで守備得点3.3とまずまずの成績を収めました。
この結果や小幡という存在を考慮すると、遠藤については余程打撃で抜きん出ない限りは、2Bや3Bを主戦場とした方が良いのかもしれません。

楽天

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イースタンリーグ連覇を果たし、初のファーム日本一に輝いた楽天ですが、一番の注目は既に一軍昇格も果たしたチームNo.1プロスペクトの黒川史陽でしょう。
DELTA算出のUZRだとプラスの数値となっていますが、こちらの守備得点では-10.8と大幅なマイナスとなっています。
おそらく、より多くのゴロを捌いたわけではないものの、実際には得点価値の高い、難易度の高いプレーを多く決めた分、大きな差が生じてしまっているのでしょう。

黒川が大きなマイナスとなる一方、SSを多く守った村林一輝守備得点10.8とSSでは両リーグトップの数値を記録しました。
一軍には茂木栄五郎、小深田大翔と非常にレベルの高いSSがいますが、こと守備力という点は両者ともにUZRがマイナスと決して高くないため、この守備力を武器に一軍の舞台に殴り込みをかけていきたいところです。

横浜

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昨年のドラフトで単独1位指名に成功した森敬斗ですが、出場は全てSSと英才教育を受けましたものの、守備得点は-5.1と1年目に即結果を出すには至りませんでした。
OPS.540と打撃面も苦しんだ印象で、来年以降将来のコア候補として攻守両面でどれだけ適応を見せられるかは、横浜の将来を占う意味でも重要となってくるでしょう。

その他の選手を見ても、最高の守備得点が2Bを守った伊藤裕季也の4.3と、他球団と比べても高い守備力w発揮した選手が少ないですが、中でも外野手は宮本秀明細川成也に代表されるように、昨年から引き続き全体的にマイナスが目立ちました。
横浜スタジアムという外野のゾーンが狭い球場を本拠地とするため、外野守備自体はそこまで重要にならないでしょうが、今後リーグ優勝を狙っていくにあたっては、このようなあまり重要視されてこなかった部分にも目を向けたいところです。

巨人

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ポジション別最多出場者だけピックアップすると、決して高くはない守備得点の選手が並びますが、多くの選手が出場機会を分け合いながら出場している関係もあり、ここに掲載している以外の選手で守備得点の高い選手は多くいます。
育成から支配下に昇格したウレーニャモタは、LFでそれぞれ7.8、7.6という守備得点をマークし、一軍昇格はありませんでしたが山本泰寛2B/3B/SSの3ポジションでプラスの数値をマークしました。

ただ若手に目立ってプラスの選手が少なく、開幕一軍も掴んだ湯浅大は、SSは昨年の-1.6から2.4とプラスに引き上げてきましたが、2Bは-11.9と大幅マイナスを記録し、2年目の増田陸SSでは-6.3、ルーキーの菊田拡和3Bで-6.9と軒並みマイナスが目立つ状況です。
今後は守備力アップも、若手選手たちの大きな課題になっていきそうです。

ロッテ

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選手のコロナウイルス感染を受け、急遽一軍昇格を果たした中でも、強烈なインパクトを残した藤原恭大ですが、二軍でも昨年-13.6と低迷した守備得点を1.0まで引き上げてきました
一軍でもCFのレンジ指標はプラスを示しており、守備力という点でも今後は非常に楽しみな存在です。

その他にも、ルーキーながら二軍で打率.344を記録した高部瑛斗は、RFで両リーグトップの守備得点10.5を記録し、楽天から移籍してきた西巻賢二2Bを199イニング守り守備得点7.6と、若手に高い守備得点を記録する選手が多いのは、ポジティブな要素です。

ただネガティブな一面がないわけではなく、そろそろ一軍のSSに定着してほしい平沢大河は、右ひじを痛めた影響もあってか、打撃だけでなく守備も低迷したものになってしまいました。
松田進2Bで大幅なマイナスを記録しており、二遊間の守備力という点は少々寂しいものになってしまっています。

ヤクルト

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ヤクルトで目立つのは、武岡龍世長岡秀樹という高卒ルーキーが務める二遊間コンビです。
武岡は主にSSを守り、守備得点9.7と楽天・村林に次ぐ両リーグ2位の数値を記録し、長岡は2Bで守備得点6.3、3Bで守備得点7.1と複数ポジションで高い守備力を発揮しました。
内野陣の守備力という点は、ここ最近のヤクルトの大きな課題の一つですが、彼らが順調に成長していけば、堅守の二遊間を形成できるかもしれません。

その他では、今年一軍で3本塁打と一軍でも一定の成果を見せた濱田大貴ですが、昨年に続いて今年も両翼での守備得点はプラスを記録しています。
一軍でのUZRは大幅マイナスと、まだ上では守備力を発揮できていないようですが、今後の適応に期待したいところです。

日本ハム

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昨年は内野各ポジションで、200イニング以上を守った選手の中で、プラスの守備得点をマークした選手は皆無と、守備が崩壊してしまっていましたが、今年はルーキーの上野響平SSで6.0という高い守備得点をマークしました。
まだ打撃に弱さはありますが、守備型の選手としてはこの上ないスタートでしょうし、中島卓也のように堅守のSSになれるか、注目したい選手です。

育成入団の宮田輝星も俊足を生かして、チームトップの守備得点8.3をマークするなど、プラスの要素もありましたが、マイナス面で気になるのは、LFを務めた海老原一佳-21.4とある意味記録的な数値を記録してしまっている点です。
打撃面では10本塁打/ISO.220を記録する長打力を持っており、長距離砲の少ない日本ハムの中では貴重な存在のように見えますが、支配下に昇格できないのにはこの守備面が大きく足を引っ張っているのかもしれません。

西武

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西武は、山田遥楓愛斗戸川大輔といったここ数年ファームでの出場機会の多い選手たちがプラスの守備得点を記録していますが、あまりグッと伸びてきた選手はいない印象です。
その中でも最も守備面で伸びてきたのが綱島龍生で、昨年は出場のなかった2Bとして今年は多く出場を重ね、守備得点7.5と適性があることを見せつけました
2Bには外崎修汰や山野辺翔といったライバルがいますが、まずは守備力をアピールして一軍入りを狙いたいところです。

ルーキーでは川野涼多岸潤一郎が多くの出場機会を得たものの、守備面では目立った成績は残せませんでした。
ただ両者とも決して悪い数値ではなかっただけに、来年以降の飛躍に期待がかかります。

3.まとめ

最後にポジション別守備得点トップ3、ワースト3と、各選手の守備得点をまとめたものを添付しておきます。

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2020年分も算出しましたが、この算出法はいわばUZRの劣化版のようなもので、黒川の例のようにUZRの数値との差異がどうしても生じてしまいます。
その点にはご留意頂き、参考程度に見て頂ければ幸いです。

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