WARでは本当の価値は測れない
今季ここまで33本塁打116打点をマークし、強力ヤクルト打線を牽引しているバレンティン。
しかしバレンティンのWARの数値はわずか0.1と、本塁打数と打点数からはにわかに信じがたい数字となっています。
まずそもそもWARとは何かというところからですが、そのポジションの代替可能な選手に比べてどれだけ勝利数を上積みしたかを表す指標です。
代替可能な選手とは一二軍の当落線上の選手という認識で良いと思います。
詳しくは下記リンクをご参照ください。
バレンティンのWARの数字がこれだけ低く出ているのは、レフト守備でのマイナスが非常に大きいのと、本塁打数と打点数ほどセイバー的には打撃指標は高くでていないため、守備面の大幅マイナスを回収できていないためです。
しかし本当にバレンティンという選手がWAR0.1相当の選手でしょうか?
私は断じて違うと思います。
WAR0.1なんてほぼ一二軍の当落線上の選手で控えレベルの選手の数字です。
果たして控えレベルの選手が30本塁打100打点を記録することができるでしょうか。
普通に考えたらそんなことは有り得ません。
前を打つ坂口・青木・山田が3人とも規定打席越えで3割打っているため、走者を置いた状態で回ってきやすく、足もあるため球種を絞りやすいなどの好条件が揃っていることを差し引いても、納得できない数字です。
ではなぜこのようなことが起こってしまうのかというところですが、外野の守備力の重視のしすぎと、従来の打撃三部門の数字が考慮されていないことだと思っています。
まず外野の守備力の重視のしすぎについてですが、確かにバレンティンのレフト守備は酷いものですが、その穴が投手を大きく苦しめるほどのものには思えません。
ましてやレフトというポジションですから、正直晩年ラミレスや金本級の守備力じゃなければ、現状のバレンティンの打撃力があれば問題ないように思います。
次に従来の打撃三部門の数字が考慮されていない点です。
所謂いい打者というのは必然的に打撃三部門と呼ばれる打率・本塁打・打点は高いものになっていきます。
柳田だって山田だって丸だって鈴木誠也だってそうでしょう。
バレンティンも打率こそ.270前後ですが、本塁打と打点は両リーグで見てもトップクラスの数字でいい打者の一角には必ず入ってくるでしょう。
しかしWARを算出する際に打撃面にこの三部門はまるで考慮されていません。
普通は打撃三部門の数字が良ければ自然とその他の打撃指標も伸びてくるものですが、今季のバレンティンのようなイレギュラーケースも中には起こりえます。
そうなると上記のように守備面でのマイナスを打撃指標で埋め合わせかつプラスをもたらすことは難しくなるわけです。
グダグダと述べてきましたが、結局WARはいい打者かどうかを測るのではなく、総合的に見ていい選手かどうかを測る指標ではありますがね。
ただ野球において打撃は守備走塁と違い、3割成功すれば良いとされるものですから、もっと指標内でも重視されてもいいのではないかと思う次第です。
野手と投手関係なく同じ土俵の中で実力を測ろうとするWARという指標の根本の考え方にはとても共感していますし、そのような指標は必要なように思います。
しかしこのようにまだまだ不完全な部分も多い指標ではありますから、旧来の指標も用いつつ選手の総合的な価値を測るのが現状ではベストになるでしょう。