捕手の立ち位置にも柔軟性を
昨日のパリーグCSファイナルステージ4戦目にて、打者・デスパイネの空振り後のフォロースルーが捕手・森の手首に直撃するというアクシデントが発生しました。
動画を見る限りはかなり痛そうで、骨折という最悪の事態も想定されましたが、トレーナーの診断は打撲なようで、本日の試合にも捕手としてスタメン出場しています。
このような外国人打者のフォロースルーが捕手の体に直撃するという事象は、決して珍しいケースではなく、ホワイトセルやバレンティンに代表されるように数年前から頻繁に発生しています。
逆に日本人打者のフォロースルーが捕手の体を直撃するという事象は、私の記憶の限りだと覚えがありません。
ここには、やはり外国人打者と日本人打者との間でフォロースルーの大きさが違うという点が大きいのでしょう。
外国人打者(特に長距離打者)は両手ではなく、片手で大きくフォロースルーをとる傾向があるように思います。
1枚目の写真がバレンティンのフォロースルーで、2枚目が柳田のフォロースルーの写真です。
上の2枚の写真は、単純に私の都合の良いような写真を使用しましたが、当然日本人打者にも、オリックスの吉田正尚のように片手でフォロースルーをとる選手もいますが、外国人打者の片手フォロースルーの割合と比較すると少ないのではないでしょうか。
アマチュアまでは、外国人打者と対戦するケースも年代別代表の国際大会くらいしかなく、基本的には日本人打者と対戦するため、プロ入りする捕手たちも日本人打者仕様の立ち位置となってしまうのではないでしょうか。
その結果、プロに入って初めて外国人打者と本格的に対戦し、それまでに染みついた前寄りの立ち位置を簡単に変えることが出来ず、外国人打者のフォロースルーが体に直撃する事態が起きているのでしょう。
立ち位置を簡単に変えられない理由としては、長年その立ち位置で守ってきたため、変えてしまうと感覚が狂ってしまうというのと、低め信仰の強い日本野球界の中だと、どうしても低めにボールを要求することが増え、その結果ボールが垂れる前に少しでも前でボールをキャッチしたいとの思いや、立ち位置を下げることで、盗塁阻止に影響が出るであるとか、様々挙げられると思います。
立ち位置を変えろと言っても、長年の感覚の部分は中々変えられないでしょうし、デメリットも上記のように様々あるのは事実でしょう。
ただどの打者に対しても、立ち位置を下げて守るべきというわけではなく、打者に応じて立ち位置を動かせば良いのではないかと思います。
とりわけ外国人打者と対戦する時に限って対策を敷けば、日本人打者との対戦時はフォロースルーの直撃の前例がほとんどなく、直撃するケースは考えづらいわけですから、それだけで対策は完了するわけです。
この問題に関しては、フォロースルーを大きくとる打者側に問題があるわけではなく、そこを察知して対策を敷けない捕手側に責任があるように思います。
現にMLBでは、片手フォロースルーの選手はNPBよりも多くいますが、フォロースルーが捕手に直撃ということはあまり耳にしたことがありません。
ここには、上記にも述べたように、アマチュアからの打者のフォロースルーの取り方に対する土壌が違うという点も大きいのではないでしょうか。
このような事情から、アマチュアレベルから根本的に捕手の立ち位置を変えていくのは中々難しそうですが…
いかに感覚の問題があろうとも、加速したバットが脳天を直撃したりすれば、いくらヘルメットをしていると言っても下手すれば命に関わることすら考えられますし、そこは自分の身の安全を第一に考えてもらいたいところです。
最後に2年前に里崎氏が、この件について評論したコラムのリンクを貼っておきます。