暖候期予報(6~8月)
2月25日発表の暖候期(夏)予報です。
今年の夏はかなり暑くなりそうです。
1.一般向け
災害級の暑さ
夏(6~8月)の気温は西~北日本で高く、沖縄・奄美で平年並みか高い予想で、全国的に例年より暑くなるでしょう。チベット高気圧や太平洋高気圧が平年よりも北側に強く、日本付近はこの2つの高気圧に覆われて気温が高くなります。これには熱帯の海の温度が深く関わっています。
みなさん2018年の流行語大賞を覚えていますでしょうか。
年間大賞は「そだねー」
今年も大きな活躍を見せたカーリング選手たちが使っていた言葉です。
そのほかトップテンの中には「おっさんずラブ」や「eスポーツ」など
様々なジャンルから選ばれていますが、気象分野もランクインしており
それが「災害級の暑さ」です。
2018年は40℃以上を観測した地点が続出するなど危険な暑さとなりました。
7月の東日本の月平均気温は平年差+2.8℃と1946年の統計開始以降、最も高い気温でした。
その原因は、フィリピン付近の海面水温が高く対流活動が活発で、日本への太平洋高気圧の張り出しを強めたこと。さらに、偏西風が日本付近で北に大きく蛇行し、チベット高気圧も日本付近へ張り出しを強めたこと。この2つの高気圧に覆われて、大気全体の温度が上がったことに加え、晴れる日が多くなり強い日射の影響も強く受けたために猛暑となりました。
そして今年の夏について、どのような大気の状態になるか予測しているかというと、同じくフィリピン付近の海面水温が高く、対流活動が活発で、太平洋高気圧は北に張り出しが強く、偏西風は北寄りを流れるためチベット高気圧が北東側へ張り出しが強いとしています。あの災害級の暑さになった時と大まかな大気の流れは同じです。今年も熱中症に要警戒でしょう。
梅雨の雨は平年並み
梅雨期の降水量は全国的にほぼ平年並みの予想です。
2018年は西日本豪雨が発生した年ですが、その年はオホーツク海高気圧という日本の北にある冷たい高気圧の勢力が例年より強かったために、梅雨前線の活動がより活発化され、記録的豪雨につながりました。幸い、今年はその高気圧の勢力は例年より弱い傾向なので、そこまで大規模な豪雨に見舞われやすい状況であるとは思えません。しかし、局地的な話になれば別です。そこまでを約半年先に予測できる技術はありません。また同じエネルギー量をもっているのであれば、広範囲より局地的であるほうが、その勢いは強くなります。今年もどこかで大雨による影響が出てくるはずです。しっかりと備えをしておきましょう。
2.専門向け
熱帯
ラニーニャ現象は春には終息する可能性が高いとの予測であるが、SSTは熱帯太平洋中部で低く、西部で高い予測でラニーニャ的である。ただし、モデルを見ると西部は低温側に振れる可能性もまあまあ高く、今後の予測を注視する必要がある。
また、インド洋は西部は低く、東部で高い傾向。
SSTの分布に対応して、太平洋の中部~東部では対流不活発、インド洋やインドネシア付近では対流活発の予測である。
上層
シベリア~アリューシャンにかけては高気圧性循環偏差がみられ、日本付近では偏西風が北偏傾向。その高気圧性循環偏差で中心が2つあるように見えるが、西側はチベット高気圧の北東側への張り出しが強いことを示唆している。インド洋の対流活発が寄与していると考えられる。また台湾付近には低気圧性循環偏差が見られ、チベット高気圧は南東側への張り出しは弱い。
中層
500hPa高度は北極から北米側に偏り負偏差域となっており、正のAO。
これに伴い、日本付近は正偏差となっており、北からの歓喜の流れ込みは弱い。また、オホーツク海付近は負偏差。
下層
850hPa流線関数は本州付近は高気圧性循環偏差となっている。
これに対応して、海面気圧は本州付近は正偏差となっている。太平洋高気圧は北への張り出しが強い。また、オホーツク海は負偏差となっており、500hPa高度の負偏差に対応しているものと思われるが、これはオホーツク海高気圧が弱いことを示しており、南高北低になりやすいのかもしれない。
このため、西日本以北では850hPa気温は正偏差で、特に北日本で高い。
北からの寒気が流れ込みにくいこととも整合的。
また、顕著ではないが、台湾から日本の南にかけて負偏差がみられるが、これはこの海域の低いSSTが寄与していると考えられる。
また、梅雨期について海面気圧をみると、5~6月は本州付近は正偏差、南シナ海~日本の南には負偏差が広がる。熱帯の対流活発域がやや平年よりも北側に位置しており、これに伴い海面気圧の負偏差が広がっているとみられ、PJパターンにより、太平洋高気圧が強化され、正偏差が広がっている。南西諸島は梅雨入りが早ければ明けも早くなりそう。6~7月は負偏差域がさらに北上してる。季節進行は早い傾向で、梅雨末期にはモンスーンの強化により暖湿気の流入が強まり、梅雨前線の活動が活発化する恐れがある。