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7年続けた店を壊してつくりなおした話

こんにちは、川野優馬です。

先月2024年の10月に、下北沢で7年コーヒー屋としてやってきた店舗を壊して、1からリニューアルをしました。

なんで壊してつくりなおしたのか、今どんなコーヒー屋をつくりたかったのか、お店の改装の大変だったところなど、そんな話を今回は書いてみます。


店をつくりなおした背景

今回つくりなおしたお店が、2017年の4月からつづけてきた下北沢のLIGHT UP COFFEEです。もともとLIGHT UP COFFEEは2014年に吉祥寺ではじめて、この下北沢店が2号店という立ち位置でした。

シンプルにいうと、奥に置いていた焙煎機を引っ越しさせてスペースが空いたのと、DIYでつくった内装を作り直したいというのと、この後にも書く「カウンター接客」のお店をつくりたい、というのが、店を壊してつくりなおした理由です。もうちょっと詳しく書いていきます。

改装前の下北沢店。店の奥に焙煎機を置いて、小さいスペースですが焙煎しながらコーヒーを提供していました。

下北沢の店はもともと焙煎所として奥で焙煎しながら、手前は小さく2席だけの客席という形でしばらく運営していたんですが、2023年になってさらに大きい焙煎機が必要になり、三鷹に新焙煎所をつくってそこに大きい22kgの焙煎機を設置して、その焙煎機の横に下北沢で使っていた5kg焙煎機も一緒に並べる形でお引っ越ししました。そのため、下北沢店にはもう焙煎機能がなくなり、生豆や資材やオンラインで発送する商品の保管も必要なくなり、一気にスペースが空いたんです。

三鷹の焙煎所。左が今まで下北沢で使っていたフジローヤルの5kg焙煎機、右が新しく設置したProbatの22kg焙煎機。並べると5kgですら小さく見えますね、、。

同時に、内装も一新したいと思ってました。始めた当初は内装費用を極限まで節約しようと、ほとんどDIYでつくりました。木材を買ってきて、素人ながら設計図的なものを書いて、みんなで切ってつなげていって、、という感じでカウンターを作り、棚を作り、店にしていきました。ただ7年も経つとDIY感がかなり目立ってきて、改めてプロの力で居心地の良いきれいな空間にしたいと、改装することにしました。


つくりたかった店

つくりたかったのが、カウンターテーブルでした。

コーヒー屋に行く理由っていろんな動機があると思います。例えばおいしいコーヒーが飲みたい、これはモノ = 商品が目的ですね。あとは友達と行きたい、これは一緒に過ごす時間が目的だったりします。その中で意外と大きいと思うのが、人に会いに行きたい、店員さんと話したいという目的です。

自分自身、コーヒー屋に行くときに、例えば明日このエリア通るから久しぶりにここに寄ってみようかなと思ったときに、真っ先にそのお店の友人に連絡します。というかその人が立ってる店に行きたくていこうと思い立つ流れなのかもしれません。そして、その人がその日店に立ってないと聞いたら、別の立ってる日に改めて行くくらい、人に会うことが目的に自分はコーヒー屋に行ったり通ったりするな〜と思いました。

まあこの辺は人それぞれなのかもしれないのですが、実際僕たちがコーヒーを提供して、そのコーヒーをおいしいと思ってもらえるかどうかって、とってもそのバリスタにかかっています。バリスタの抽出技術ももちろん非常に大事なのですが、そのバリスタの愛想の良さ、どんな声をかけるのか、どんな気遣いをするのか、という印象で、飲む人の気持ちも大きく変わります。

例えばよくある話だと、ラーメン屋に入ってラーメン頼んだら厨房から店長がアルバイトを怒鳴る声が聞こえてきて、それでおいしかったはずのラーメンもおいしく感じなくなってしまったというような話があります。その場に立っている人の力で、その空間の人たちの居心地や気持ちよさは大きく変わっていきます。

それがコーヒーという仕事の面白い所だし、人の力でコーヒーの魅力を伝えるというバリスタの大きな役割だと僕は思うんです。だからこそ、もともと狭い空間でバリスタとお客さんの距離が近かったという旧下北沢店の個性もそのまま継承しつつ、バリスタに会いにいきたくなる、お客さんとバリスタが気軽に会話できる、コーヒーの魅力を楽しく伝えることができる、という理由で、カウンターでの接客ができるお店にしようと今回のリニューアルで思いました。

もっとカウンターについて語ると、、(語りたいことが山ほどあって抑えきれないのですが笑)、ワインバーとかにいくとけっこう隣の知らないお客さん同士が話したり、誰かが開けたボトルを隣の人にも分けたり、みたなことがよくあります。もちろんアルコールという特性や、飲む時間帯などもコーヒーとは違うのですが、そうやってカウンターでコミュニティができている様子を見ると、羨ましくも思っちゃうんです。

例えば、レジで注文するときだけの会話で、コーヒーは離れた席でそれぞれが飲む、みたいな形が一般的なカフェスタイルで、パーソナルスペース的には居心地はいいのですが、それだと知らない人同士で話すきっかけはないし、出したコーヒーもおいしく楽しめているのかバリスタ側もなかなか把握しにくてもどかしいこともあります。カウンターだとバリスタがお話を振ったりしてみんなで話したりとか、2杯目として、1杯のドリップを半分ずつにして2人で分けてもらったりなんかも気軽にできたらいいなと思っていました。

こんなふうにして、その人にしかできないサービス、その人だからできるコーヒーの伝え方がカウンターだとよりできる気がしました。人によって興味も違うし会話の仕方も違うし空気感も違います。だからこそその人それぞれにお客さんもつくし、自分だからこの仕事ができている実感もバリスタは感じられると思うんです。僕はそれがすごい大事なことだと思っていて、人としてそれぞれ価値を発揮して、それを実感して、楽しくやりがいをもってコーヒーを提供できる職場にもなるだろうと、カウンター接客をどこまでコーヒーでやれるか試してみたくいました。


リニューアル

というわけで、8月末に解体をしました。これもちょっとびっくりしたのですが、DIYで汗水垂らしながら1ヶ月かけてつくったお店が1日で全部解体されて、こんなに店ってすぐ無くなるんだって思いました笑

9月丸々改装工事で、10月頭に無事リニューアルオープンをすることが出来ました!

1階は念願のカウンター席5席。近すぎない程よい距離感のカウンターで、四角い空間に対して斜めにカウンターが向いていることもあって、奥の席でも手前の席でもどこも広く感じて居心地がいい感じになっています。

2階も借りていて2階は物置になっていたのですが、ここも全部改装して客席にしました。1階とは対照的に2階はゆったりコーヒーを楽しめる空間にしようと、1人かけのソファー席と、友達同士話しながらコーヒーも楽しめる大テーブルを置いて、合計12席にしました。壁の色も床も茶色にして、落ち着くトーンにしてもらいました。

ゆったり2階席。僕のお気に入りは大テーブルの奥側左の席です。
良い感じのソファ(ラウンジチェア)席


お店の改装のあれこれ

改装で大変だったのは、予算(そりゃそうだと思いますが笑)と、スケジュールと、導線やオペレーションの確認でした。

お金のあれこれは次のnoteで書こうと思っているのでぜひ読んでもらえたらと思っています。

(次のnote書きました!)

スケジュールとしてはお店の売上に打撃が少なくてリニューアル後に一気に来てもらえるような日程で、工事とリニューアルオープンをしたいと絶妙に調整していました。10月9日に、年1回東京ビッグサイトで開催される大きなコーヒーの展示会があって東京にコーヒー関係の人やコーヒー好きの方々が集まるので、そのタイミングになんとか間に合わせてオープンするようにしました。


年1回のSCAJ、今回7万5000人の人が来場したそうです。このイベントに合わせてオープンが間に合いました。

導線とオペレーションは、バリスタの働きやすさ、コーヒーを作って提供するまでの機材の配置、ものの配置など。何度もバリスタメンバーと打ち合わせを重ねつつ、配置もできるできないを設計士さんと議論しつつ、とにかく調整をし続けました。細かい話ですが、エスプレッソマシンの右にグラインダーを置くのか左にグラインダーを置くのか、豆はどこに保管しておくのか、で結構動きも変わります。製氷機や冷蔵庫はどの棚の下にあるのが理想か、見栄えや水道の位置、動きやすさなど細かく擦り合わせていきました。

最終的にカウンターをスッキリさせるために、豆はあらかじめ全てはかっておいて、カウンターのバリスタの手元の引き出しに収納して、オーダー入ったらその場でさっと挽いて、横の給湯器でお湯をとってすぐドリップを始められる体制になりました。その背中ではエスプレッソマシンがあって、淹れてる様子どちらもカウンター席から見ることができるベスト配置になりました。細かく調整してくれた設計士さんに感謝です。


こうやって、思い入れのあったお店ですが、今思う理想の形に生まれ変わることが出来ました。

やっぱり店が良いってとても嬉しい。コーヒーが美味しいのは前提として、どんな空間で、どんな人のもとで飲むかで大きく印象は変わるはずです。そしてお店づくりって改めて楽しい!!

バリスタも、飲みに来てくれるお客さんも、心地いい場所になっていたら嬉しいな。


またお店作りについてnote書いていきます。


ちなみにこの下北沢店はここにあるので、もし興味持った方いたらぜひ、、、カウンターでも2階のゆったり席でも楽しんでみてね。


川野優馬


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