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2022年のコーヒー業界の予測と体感
こんにちは。新年最初のnoteです。
今回は今年2022年のコーヒーを取り巻く環境や動きについて、コーヒー屋をやっている僕が感じることや予測を含めて書いてみたいと思います。
1.動きとチャレンジの1年
今年コーヒー屋を始めようと準備している方も非常に多いと感じます。僕の周りでもたくさんの方が今年開業しようと動いていますし、すでに店舗を持っているコーヒー屋の新店舗、新業態での展開なども含めて、出店の動きが大きい1年になると勝手に予測・期待しています。
なんとなく僕の体感なんですが、2020年はコロナがやってきて、打ち崩され落ち込んだ1年だったのだと思います。そして2021年は混沌の中自分を見つめ直した1年。働き方や仕事自体も変わっていく中、本当に自分がやりたいことは何だったのかと見つめ直した方も多いのではないでしょうか?僕たちもコーヒー屋としてどうあるべきか見つめ直し、できることを磨いた1年でした。
そして2022年は、いざアクションする1年。本当にやりたいことに向かって転職や独立に動く方も多い気がします。その中で、ずっとやりたいと思っていたコーヒー、バリスタという仕事、コーヒー屋に向けてチャレンジする方も多いと感じます。
東京にも地方にも新しいコーヒー屋が増えるのではないでしょうか。美味しいコーヒーが楽しめる場所が増えていくのが楽しみです。
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2.ロースターの商社的活動
焙煎を行うコーヒー屋にとって、商品はコーヒー豆でしかなく、どんな生豆を仕入れるのか、ということが品質をとってもお店のコンセプトをとっても、一番の要になります。
2022年に入って今、いい生豆を日本で仕入れるのが少し難しくなってきたと感じます。コーヒー生豆は、生産国の輸出業者が現地の生産者のコーヒーをロットごとに仕入れ取りまとめ、その中から消費国の商社が選び仕入れ、届いた国内倉庫の在庫の中からロースターが選び買わせていただく、という流通が最も多い主なルートです。こうした商社さんは複数いて、マイクロインポーターと呼ばれるような非常に小さい規模の商社や個人レベルでの活動から、経験と規模を重ねた安定感ある商社まであり、様々な商社さんの努力があるからこそ僕たちは美味しいコーヒーを提供できているんです。
それが今、コロナの影響で生産国からの輸送に遅れが生まれてしまったり、量やタイミングに制約が生まれてしまったり、良いと評価される豆は売り切れが続出していたり、そしてその中で小さな生豆商社さんはいくつか活動を縮小・休止したりということも起きてしまっています。
コロナの影響もあり、良いコーヒー生豆を仕入れるのが日本では少し難しくなってきている気がする。生豆の仕入れこそコーヒー屋の美味しさの根本だし、これから伸びるロースターはきっと必ず商社的機能を備えていくと思う。
— 川野優馬 | LIGHT UP COFFEE代表☕️ (@yuma_lightup) January 9, 2022
1つ目で書いたように、今年店舗拡大するロースターも多いとすると、ロースターにとって品質の良いコーヒーを安定的に供給するための仕入れ力ということが、一歩進むための大きな壁になってきます。そこで、これからロースターが商社機能を備えたり、商社と組んだ活動をすることで、国内在庫からだけではなく、産地の輸出業者のリストなどからより幅広くまとまった量を仕入れる動きが生まれてくるはずです。すでに周りのロースターでも成長しているロースターはみな、商社的活動に身を乗り出し、仕入れの段階から工夫・改善を行っています。
これまでコーヒー屋といったら、焙煎豆を仕入れて抽出して出す、というバリスタの仕事が核と思われていたところから、最近になって焙煎を自ら行ってブランドごとの色を出して提供してきたのが、これからはそもそもどんな豆をどう仕入れるか、という仕入れのところまで守備範囲が1レイヤーずつ上がってきている印象です。
やっぱりコーヒーは仕入れるところから、そして最終的には産地でつくるところからやっていくからこそ、一貫性を持っていいものを継続的に提供できることになるんだと思います。
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3.コーヒー体験のチル化と多様化
2022年はもっともっとコーヒーの体験がゆるいものになってくると感じます。これはとても良い意味で、10年前はまだ珍しかった「シングルオリジン」や「浅煎り」「スペシャルティ」といったものがある程度日常的になってきたということです。
一度はシングルオリジンコーヒーを飲んだことのある方が増えたおかげで、コーヒー屋に行くスタンスも、物珍しさ、新しさというよりかは、より毎日の中に溶け込んだ形で、気張らずに楽しめる文化が増えてきていると感じます。
そして消費そのものへの気持ちも、気持ちを上げていく、テンションを上げていくような消費から、気持ちを落ち着かせてリラックスするような消費がより求められていると感じます。サウナやキャンプや温泉といった、チル的な消費にコーヒーも一部入っていると思います。店舗側としても、新しい提案として語るのではなく、より日常的な伝え方になってきているのもあるので、豆の違いを頭で理解する前にゆるーく「なんかうまい」と感じるような、気軽なコーヒー体験が増えていくと思います。
また、コーヒーと何かの掛け合わせのような、多様な体験も増えていくと感じています。お菓子やお酒との組み合わせ、飲み比べやコース、食の体験としてのコーヒーなど、ストイックにコーヒーの味にフォーカスするだけではなく、コーヒーを通してどんな広がりのある体験にできるか、という意識が店舗側にも広がってきていると感じます。近いところだと、日本酒やクラフトビール、ナチュラルワイン、お茶やカカオとの組み合わせの店舗や提案ももっと増えていくのではないでしょうか。
1つ目で話したように、今年以降コーヒー屋を出したいと思っている方も、コーヒーと美味しいパンを出す、景色の良い場所でコーヒーをやる、といったようなコーヒー以外の軸を持ったコンセプト設計をしていることが多いと感じています。
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まとめ
ざっくりとこんなことを今コーヒーをやっている立場として感じています。2022年はコーヒー業界にとっても、僕にとっても、僕らのコーヒー屋にとっても、わくわくする動きの多い楽しい1年になると思います。
コーヒー好きな方も、みんなの動きに注目して、もっともっとコーヒーを楽しんでいきましょうね!
さいごに
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去年僕らの仕事を見つめ直したnoteもよかったら。