得失
安いタバコに火をつける午後。
「明日は誕生日かぁ」なんて思いつつも、
相も変わらず退屈で、人に言われたことだけをただ乗りこなす毎日です。
24歳になる。
思い出だけはやさしいもので、あのころからなんにもできないまま、何にもなれないままで年だけが過ぎた。
人の心に傷つきながらも、いつか必ず救われるって、今日までこうして祈ってきた。
満員電車の中では化粧で塗りたくったOLが学生のときの話なんかをついこないだのことのように喋っていた。
あの頃は…なんて喋る人間には絶対なりたくないって思ってたけど、いつの間にか自分も過去にしがみついていて、自然と受け入れている。
なんだかなぁって思いながら、「これが大人になるってことなのか」と言い聞かせてタバコを灰皿に押し付ける。
振り返った時、思い出が今日までの自分をありのままに教えてくれているだけ。
そう、自分が今どこにいるのかなんてちっともわからない。
「いつからオレはこんな冷たい奴になったのだろうか?」と日々感じる毎日。
辿り着くことに必死で、歳を重ねるごとに縮こまり喉がつまって息が続かない。
あのころに得たものは、しょうもないプライドに変わり、最近得たものは不確かなものばかり。
失うものだけが増えて、自分にはもうなにも残ってないんじゃないか?
それでも自分は自分でしかなくて、思い出で回る過去は全部自分の為、自分のせいだ。
24歳。
今大切にしているものだけは失わないようにしよう。
そう思いつつも2本目のタバコに火をつけ、大切な寿命を縮めている。
2022.11.8 PM01:36
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