暁山瑞希について考察。瑞希にとってボクとは
0.はじめに
こちらの記事にて各メンバーを軽く紹介・考察しているので、是非ご覧ください。
また、瑞希に関してはニーゴ全体考察にて軽くというかかなり芯の部分まで触れたので是非記事を見てほしい。
1.自己表現
瑞希は容姿が目立つため、普段であれば学校も乗り気ではないが、文化祭は少数派の存在が薄くなる。ボクがボクであるための表現を阻害されない状況が少しでも良い方面なのであれば、参加するのも当然だ。また、仲の良い杏に誘われているっていうのもあるだろうけどね。
では、杏は瑞希の隠し事に気づいているのだろうか。
瑞希からはちゃんとは話してはいないということが現時点でわかる。
どの程度話しているのかという点だが、杏は瑞希の不安要素ではないのでここは割愛させたいただく。
文化祭といえばクラスTシャツ。おそらく杏は瑞希に『文化祭だし、着よ~』くらいのノリだったと思う。ただ、瑞希にとって『クラスTシャツ』と『お揃い』は自己表現の足枷なのだ。
瑞希が瑞希でいるには、瑞希が領海に定めた範囲でないといけない。それらは領海範囲外であるということ。
そんな瑞希の前に、以前多数派意見を押し付けた2人組が再登場します。
瑞希はその場しのぎの理由で回避しますが、この2人組からの発言はやはり少数派に配慮してない言葉です。
瑞希にとってお揃いという感覚は経験が少ない、あるいは未経験であると思います。そもそも少数派がお揃いになる機会もないので遭遇率は限りなく0%に近いです。
そんな瑞希は屋上に行くと中学生からの友達の類に出会います。中学生の時と今の高校生の時では環境も状況も違う。中学生時代、華やかな文化祭という催し物に参加しない少数派の2人とって、それは傍から見れば「変な奴」だ。
でも、瑞希から見る類は『クラスTシャツ』を着て『お揃い』になって、文化祭に参加する多数派になっているのだ。
瑞希にとってニーゴは仲間というより「孤独な仲間」だ。そしてニーゴは居場所であり自己表現ができる場所だ。「孤独じゃない仲間」も見つけられるのだろうか。
簡単だった。というかもう既にいたのだ。屋上という少数派の場所が、いつしか多数派の場所に切り替わっていた。
多数派の海に瑞希はいる。クラスTシャツを着ることで、瑞希はよりその海の中心に入ることになる。
でも、瑞希は瑞希です。クラスTシャツは着てもアレンジを加える。そうすれば、多数派の海に飲まれながらも自分の存在感を打ち出すことができる。これがボクの文化祭
2.孤独と仲間
そんな瑞希のニーゴメンバーの大切さをMEIKOは改めて聞く。それでも瑞希はまだ『仲間』と表現する。
MEIKOはそんな3人たちとこれから、一緒にいられるといいわねと俯瞰する。瑞希は少し暗い表情で言葉を帰す。
昔みた桜の景色は良い思い出がない瑞希。『春は出会いの季節』でもあるし『春は別れの季節』でもある。そして子供たちの純粋な言葉というのは、時々刺さる。
瑞希の中でずっと一緒というのは重要な要素だ。瑞希は少数だったからこそ、そもそもずっと一緒にいれる人が少ないのだ。だから桜なんてものは瑞希にとっては綺麗ではない、わからない。
でも、今の瑞希はニーゴのみんなと見ることで綺麗に見えるようになったのだ。自己表現が出来て、孤独な仲間と一緒にいることで桜の美しさを感じることができる。
普通じゃないボクたちを桜が受け入れてくれる。この空間のひと時だけ。
3.『アイディスマイル』
そんなシークレット・ディスタンスのテーマソングを振り返る。
とあ氏による『アイディスマイル』
瑞希にとって、アイデンティティは譲れない。自分が存在することを表現するのに。
多数と少数が重なる、交わらないボクたちが面と向かって出会う。でも、やっぱりマイノリティから飛び越えられない。
どんなに道が塞がれても、秘め事は自分の大事なアイデンティティ。
ニーゴが惹かれ逢い、それぞれの存在をセカイに綴る。この状況を現状維持のままでいられるのか、でも期待するだけ無駄。ボクじゃ解決できない。アイデンティティを繋いでいられたなら…
今の瑞希にとって、どちらなのでしょうか。
ボクの気持ちは伝えても探しても必ず絡まる。諦めのリアルの距離、心の距離。
どれだけスタートに戻されても、アイデンティティは無くさない。
ニーゴに出会い、ボクを表現できる場、ずっとこのままでいられるのかな。ずっと…それに憂鬱する日々。秘め事をこうやって繋いでいられたならまだ…
作り物は何ができるだろう、ボク?それともボクじゃないお揃い?創作している時笑えてるのに…
ボクがボクである境界が滲めば、未来はどうなるかわからない。伝えても、今の状態じゃどうにもならない。
ニーゴの想いを表現して、ボクたちの存在証明。これを続けることができるのだろうか。でもやっぱり期待するだけ未来に後悔する。ボクに蓋をする。アイデンティティを繋いでいられるなら…
ボクは痛いのか、居たいのか
4.信頼と書いて未来
自分と向き合えていない自分を嫌う。みんなは一歩ずつ前に進んでいるのに、ボクだけ進めていない。そんな不安を抱く。そして突如として、不安に出会う。
ビビバスと出会い、絵名は杏に学校での瑞希を聞く。瑞希にとって初めての恐怖。ニーゴの皆にボクの事がバレるかもしれないという。
でも、杏はごく普通な答えを出してくる。知っている瑞希と知らない瑞希を織り交ぜながら。瑞希と杏は高校からの友達で、ちゃんと話してはいない。でも、杏は瑞希の理解者であるということは明白だ。
学校では瑞希の性に関しては、言っている。でも、普遍的な多数派の海の中での瑞希は希少なのだ。いわゆる見世物状態になっている。でも、クラスメイトの好奇心は悪なのか。
悪は存在しない。でも、善意もない。ただの興味関心の対象であるのが瑞希だ。だから、事前に性別を言えば瑞希にとってクラスメイトが大切になる前にいつでも退却できる準備をしているのだ。
ただ、受け取る順序が変われば話は別だ。
瑞希にとってニーゴメンバーは「孤独な仲間」だちだった。でも、時が経つにつれリアルでも会うようになり、メンバーが悩み解決の糸口を探す、仲間の為に行動することによって、瑞希にとってニーゴメンバーは孤独な仲間たちではない存在になっている。そして、本心を打ち明ける状況に瑞希だけが孤独になっている。
瑞希はニーゴメンバーを信じてる、信用している。でも、信頼はできていない。何故なら、ニーゴメンバーは過去と向き合い、今と戦い、未来を望んでいる。
・信用は過去の実績やデータから信じることができるかを確認する作業。
・信頼は未来の成功に向けて信じることができるか。
それが、瑞希のドキドキが止まらない理由だ。瑞希にとっても今までの事(=過去)は関係ないと自分自身を信用している。でも、未来を信頼できていない自分自身に嫌気がさしてくるのだ。
結果、未来を信頼できていないのであればその未来自体の思考を放棄すれば良いという答えを導き出した。瑞希は、信頼を忘却したのだ。しかし、そんな瑞希に歪みが生じる。
信頼を忘れた瑞希は、信用が欠けていく。ボクの今日の行いは問題なかったよね。ボク、ちゃんと楽しめたよね。と確認作業が入るようになる。今までの事は関係ないと言い張れるあの瑞希が。少しずつ瑞希の綻びが露わになっていく。
まるで、あの子のように
演じてきた暁山瑞希が崩壊したのだ
瑞希はこんな状況になってしまったことに「おかしいな」と漏らす。今までとは違う何かが引っかかっている感覚。
瑞希は「話せることなんてない」と瑞希が絵名に対する信頼、瑞希が瑞希に対する信用を失った初めての感覚。それに瑞希は嗚咽してしまった。そう私には見える。
瑞希は理解している。ニーゴメンバーが大事になってしまったことを。だから、瑞希自身が崩壊したのだと。
『うまくやれてた』
それは、瑞希がいつか綻んでしまうことを瑞希は理解しているということ。洗面台の時は理性すらも欠如していた、よくよく考えれば瑞希は瑞希なのだ。一番の理解者は自分自身。それぐらいギリギリの位置に居たという証明。
もし、瑞希の隠し事がバレれば。バレること自体は問題じゃない。バレた状態でバレてない状態のような空間を作ってくれることが苦しいのだ。
瑞希はわがままだ。よくばりだ。でも、私からするとそれでいいと思っている。瑞希が瑞希でいるには自分自身のペースで進めばいい。他人に合わせる必要はない。
「待ってる」
どれだけ救われる言葉だろうか、ずっと待たせておけば現状維持できると。変化が怖い。今のままの状態で一生いたい。そんな瑞希の願い。
そして、瑞希は絵名に嘘をつく。
「いつか、話せるようになったら」
瑞希は、わがままだ。よくばりだ。ズルい人だ。
でも、それでいい。今は。だって
「今の時間が1日でも、1秒でも長く続いてほしい」という願いは
信頼の修復でもあるからだ。
5.『ロウワー』
瑞希の秘め事がバレないように。祈ることは簡単。開演直前、静まる観客、大勢いる。そこに居る必要ないボクはただ立ち去る。
言うキッカケが出来たと思えば失ってまた出来ての繰り返し。瑞希は繰り返せば後ろめたさが残る。結局、言い出せないままの身体は澱む。
自分自身も溢れてしまい、一番守るべきじゃないモノを守っている。瑞希にとって大切なモノがあやふやになっている。そして発言もあやふやになっている。
瑞希が感じたモノはいつもと違う感覚。先の見えない不安に何を想えばいいの?あやふやになっているボクにどうすれば。
ニーゴの皆があやふやなら戻ってこれるように繋ぐ。ニーゴという居場所があれば、ボクにしかわからない感覚で救われるから。
のどかで静かな状況は、ボク自身変化に怯えている。心をすり減らして。でも、それはボクの勝手な妄想。楽しむことも『楽しい』と言ってしまえば『楽しい』のだ。でも、怯えるくらいなら出ていきたい。ただ、未来を信頼できていない瑞希の前ではこの場所を動けない。
お互いが疲れるなら、逃避行できるようにお互いに託して身を委ねてみようよ。もし、瑞希からこの言葉が出てるなら本当にズルいですね。
普遍的な、変わらない他愛のない日常。
それは何時まで続くのか、これからも変わらずできるのか。先が不安なら今を忘れないようにしよう。昔は良かったねと何度。
ニーゴだけが戻ってこれるように繋ぐ。ニーゴという居場所があれば、ボクにしかわからない感覚でボクが存在していることを証明して。
と訴える。
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