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遠位脛腓靭帯損傷〜解剖と疫学〜

本日は遠位脛腓靭帯損傷についての記事を書きます.

◎この記事の要点

・遠位脛腓靭帯は前下脛腓靭帯,骨間脛腓靭帯,後下脛腓靭帯,横靭帯で構成.
・遠位脛腓靭帯損傷では前下脛腓靭帯損傷に加えて,三角靭帯損傷を伴うことが多い.
・遠位脛腓関節への寄与率は前下脛腓靭帯が35.5%と最も高い.
・遠位脛腓靭帯損傷は重度の足関節内反捻挫と同様の症状を呈することが多い.

◎解剖

Kevin A. Hao et al:Intraoperative Assessment of Reduction of the Ankle Syndesmosis;2022:Current Reviews in Musculoskeletal Medicineより引用

遠位脛腓靭帯は
AITFL:前下脛腓靭帯
PITFL:後下脛腓靭帯
TL:横靭帯
IOL :骨間脛腓靭帯で構成されています.
☑︎脛腓間の安定性には,前下脛腓靭帯,後下脛腓靭帯,横靭帯,三角靭帯が関与しています.(Park JC et al:Bull NYU Hosp Jt Dis.2009;67(1):39-44)

◎疫学

☑︎遠位脛腓靭帯損傷(シンデスモーシス損傷)では,三角靭帯と前下脛腓靭帯が損傷することが多い.後脛腓靭帯は組織強度が高いことから,最後に断裂することが多いとされています.(Ogilvie-Harris DJ et al:Arthroscopy.1994;10(5):558-560)

☑︎各靭帯の遠位脛腓関節への安定性寄与率は,
前下脛腓靭帯:35.5%
後下脛腓靭帯(深層):32.7%
後下脛腓靭帯(表層):8.7%
下腿骨間膜:21.6%であると報告されています.
(Ogilvie-Harris DJ et al:Arthroscopy.1994;10(5):558-560)

☑︎3つの靭帯すべてが断裂すると,脛腓間は7.3mm広がり,距骨外旋は10mm増加する.(Xenos JS et al:J Bone Joint Surg Am.1995;77(6):847-855)

☑︎遠位脛腓靭帯損傷では,三角靭帯の少なくとも一部に加えて,上記の靭帯の一つが損傷する.
(Xenos JS et al:J Bone Joint Surg Am.1995;77(6):847-855)

☑︎遠位脛腓靭帯損傷は,重度の足関節内反捻挫と同様の症状を呈することが多い.
(David A Porter et al:Open Access Journal of Sports Medicine.2014;5:173-182)


以上になります.最後までご覧いただきありがとうございました.

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