ゆうま

理学療法士/整形外科クリニックで勤務しております。 回復期病院、急性期病院、クリニックを経験し、運動器分野に興味を持ちました。 認定理学療法士、骨粗鬆症マネージャー取得に向けて勉強中。 論文を通して得た知見を発信していきます。 記事のリクエストや質問お受けしております!

ゆうま

理学療法士/整形外科クリニックで勤務しております。 回復期病院、急性期病院、クリニックを経験し、運動器分野に興味を持ちました。 認定理学療法士、骨粗鬆症マネージャー取得に向けて勉強中。 論文を通して得た知見を発信していきます。 記事のリクエストや質問お受けしております!

最近の記事

距骨骨軟骨損傷

本日は距骨骨軟骨損傷についての記事を書きます. ◎本日の要点・距骨骨軟骨損傷は変形性足関節症に移行するRisk factorの一つであり,外傷歴に関わらず認められるものである. ・足関節捻挫後の遺残性疼痛に距骨骨軟骨損傷が関与している場合がある. ・特徴的な所見がないため,画像所見による診断が中心である. ◎はじめに ☑︎距骨骨軟骨損傷は,軟骨下骨の障害により,骨軟骨片が剥離あるいは軟骨下骨嚢腫が発生する疾患で,日常診療でもしばしば遭遇する. (中佐 智幸 ほか:MB

    • 三角靭帯の解剖

      本日は三角靭帯の解剖についてです. ◎この記事の要点・三角靭帯は前脛距部,脛舟部,脛踵部,後脛距部に分けられる. ・三角靭帯の強度は強靭ゆえに靭帯損傷よりも内果の裂離骨折の形態をとることが多い. ・三角靭帯のなかで最も強靭な靭帯は脛踵部であり,脛踵部の損傷後は靭帯の伸長(Elongation)により外反扁平足が続発する場合がある. ◎はじめに 足関節捻挫の合併症として,三角靭帯損傷が挙げられます. 脛腓間の不安定性には遠位脛腓靭帯のみならず,三角靭帯が関与すると 報告さ

      • 脛腓間不安定性について

        本日は脛腓間不安定性についての記事です. ◎この記事の要点・足関節骨折の分類としてLauge-Hansen分類やAO分類が用いられている. ・AO分類は腓骨骨折の高位により,タイプ分けされており,腓骨骨折がより高位に位置するTypeCでは脛腓間不安定性を伴う症例が多くなりやすい. ・骨間靭帯や骨間膜の損傷程度に影響され,特に足関節より近位5cm以上が  脛腓間不安定性に影響を及ぼす. ◎はじめに 脛腓間の不安定性は,足関節捻挫の遠位脛腓靭帯損傷後に生じる合併症のひとつと

        • 遠位脛腓靭帯損傷〜脛腓間不安定性〜

          本日は遠位脛腓靭帯損傷(シンデスモーシス損傷)による脛腓間の不安定性についての記事です. ◎この記事の要点・足関節捻挫におけるシンデスモーシスは1〜20%と少なくない. ・シンデスモーシスを構成する靭帯には前下脛腓靭帯,骨間脛腓靭帯,後下脛腓靭帯,下横脛腓靭帯が挙げられるが,これらの靭帯を切離しても脛腓間の開大はわずかであった. ・三角靭帯を切離して初めて脛腓間の開大と距骨の外側移動を認めた. ◎はじめに 足関節捻挫の合併症として多いものとして,遠位脛腓靭帯損傷があるこ

          遠位脛腓靭帯損傷〜解剖と疫学〜

          本日は遠位脛腓靭帯損傷についての記事を書きます. ◎この記事の要点・遠位脛腓靭帯は前下脛腓靭帯,骨間脛腓靭帯,後下脛腓靭帯,横靭帯で構成. ・遠位脛腓靭帯損傷では前下脛腓靭帯損傷に加えて,三角靭帯損傷を伴うことが多い. ・遠位脛腓関節への寄与率は前下脛腓靭帯が35.5%と最も高い. ・遠位脛腓靭帯損傷は重度の足関節内反捻挫と同様の症状を呈することが多い. ◎解剖 遠位脛腓靭帯は AITFL:前下脛腓靭帯 PITFL:後下脛腓靭帯 TL:横靭帯 IOL :骨間脛腓靭帯で構

          遠位脛腓靭帯損傷〜解剖と疫学〜

          足関節捻挫の合併症

          本日は足関節捻挫の合併症についての記事です. ◎この記事の要点足関節捻挫の合併症として, 1.足関節外側靭帯損傷 2.遠位脛腓靭帯損傷 3.三角靭帯損傷 4.距骨骨軟骨損傷 5.変形性足関節症 6.腓骨筋腱脱臼 7.足根洞症候群が挙げられる.その総論を下記に記載. 足関節捻挫の合併症として,以下の7つが挙げられています. 1.足関節外側靭帯損傷 ☑︎足関節捻挫の77%は内がえし捻挫であり,内がえしに制動する足関節外側靭帯の損傷が生じる場合がある.初期対応は保存療法が主流

          足関節捻挫の合併症

          足関節外側靭帯を触診する上での知識

          本日は足関節外側靭帯を触診する上での必要な知識について記載します. 足関節捻挫の病態解釈に必要な知識は上記の記事をご覧下さい.  足関節内反捻挫における靭帯損傷は前距腓靭帯,踵腓靭帯に多いとの記事を記載しました. 足関節内反捻挫後の理学療法においては,上記組織の圧痛所見や不安定性を評価することが重要です. 教科書上では, ☑︎前距腓靱帯:外果前方から起始し,距骨頸の外側に付着する.  ☑︎踵腓靭帯:外果遠位より踵骨の外側面に付着すると記載されています. (林 典雄:運動療

          足関節外側靭帯を触診する上での知識

          足関節捻挫〜靭帯損傷が多い理由〜

          本日は足関節捻挫についての記事を書いていきます. 足関節捻挫において,前距腓靱帯と踵腓靭帯損傷が多いとの記事を記載しました. 本日は何故靭帯損傷が多いのか?についてです. LL :足関節外側側副靭帯 DL:三角靭帯 PTT:足底筋腱 PLT:長腓骨筋腱 上記は組織強度を示したもになります. この図から,三角靭帯や足関節外側側副靭帯は長腓骨筋腱や足底筋腱に比較して組織強度が低いと報告されています. よって,足関節内反捻挫では,組織強度がより低い三角靭帯や足関節外側側副靭

          足関節捻挫〜靭帯損傷が多い理由〜

          足関節捻挫〜踵腓靱帯損傷の疫学〜

          本日は足関節捻挫における踵腓靱帯についてです. ☑︎足関節捻挫の約90%が前距腓靱帯損傷であり,そのうち50〜75%に踵腓靱帯損傷を合併すると報告されています. (Edama Mutsuaki et al:Surgical and Radiologic Anatomy.2019) これには解剖学的構造が関与していると考えられています. ☑︎踵腓靱帯は前距腓靱帯と腓骨付着部で連結すると報告されています. 上記の矢印は踵腓靱帯と前距腓靱帯の連結部分を指します. 踵腓靱帯は

          足関節捻挫〜踵腓靱帯損傷の疫学〜

          足関節捻挫の病態解釈〜前距腓靱帯〜

          本日は足関節捻挫の病態解釈について記載しようと思います。 前距腓靱帯に着目して記載します。 ◎足関節捻挫について ☑︎足関節内反捻挫で最も多いのは前距腓靱帯(以下,ATFL)損傷であり,約90%を占める. ☑︎足関節外側側副靭帯で最も多いのは,ATFL損傷であり,さらなる外力が加わることで,踵腓靭帯(以下,CFL)が損傷する. ☑︎ATFL損傷のうち,50〜75%がCFL損傷を合併する. 以上のように報告されています.足関節内反捻挫損傷で最も多いのはATFL損傷とい

          足関節捻挫の病態解釈〜前距腓靱帯〜

          前十字靱帯損傷〜女性に多い理由とは〜

          本日は前十字靭帯損傷が女性に多い理由についての記事を書いていこうと思います. 性差については前回の記事をご覧になって頂ければと思います. ◎疫学 ☑︎女性アスリートは,男性に比較してACL損傷のRiskが3倍である. (Kelvin R et al:Cureus.2021より) ☑︎同じスポーツで比較した場合,女性選手の方が男性選手に比較して受傷が多い. (Moses B et al:Res Sports Med.2012より) 以上のように,ACL損傷について女性の

          前十字靱帯損傷〜女性に多い理由とは〜

          前十字靱帯損傷のRisk factor〜性差〜

          本日は,前十字靭帯損傷のRisk factorについての記事を書こうと思います. 今回は性差に着目します. ◎はじめに ☑︎女性は,男性に比較してACL損傷リスクが3倍である. (Kevin Rodriguez et al:Anterior Cruciate Ligament Injury: Conservative Versus Surgical Treatment.Cureus 13.2021より) ☑︎スポーツ活動において,女性選手の方が男性選手に比較して多い.

          前十字靱帯損傷のRisk factor〜性差〜

          胸腰筋膜〜リクエスト記事〜

          「胸腰筋膜」に関する記事のリクエストがありましたので、本日はそちらの記事を書こうと思います. ◎解剖 胸腰筋膜は,胸部と腰部の固有背筋を包んでいる筋膜のことを指します. (由留木 裕子 ほか:腰背部痛における胸腰筋膜の関与.総合福祉科学研究 第10号.2019より) 胸腰筋膜は3層構造をしていると報告されており, 1.Posterior layer:固有背筋を覆う 2.Middle layer :腰方形筋と固有背筋の間に存在する 3.Anterior layer :腰方

          胸腰筋膜〜リクエスト記事〜

          前十字靭帯損傷〜受傷機転について②〜

          前十字靭帯損傷の受傷機転についての記事 第2弾です. 以下の写真は,前十字靱帯損傷の瞬間を捉えたカメラの写真です. (model-based image-matchingという機械を使用) 前回の記事では,56%の症例においてcontact損傷が多いと記載しました. 他の論文では,非接触型損傷が70%を占めるとされています. (Hideyuki Koga et al:Mechanism for Noncontact Anterior Cruciate Ligament I

          前十字靭帯損傷〜受傷機転について②〜

          前十字靱帯損傷~サッカーにおける受傷機転〜

          本日は前十字靱帯損傷(ACL)についての記事を書こうと思います. ◎疫学 ☑︎サッカーにおけるACL損傷は,1000試合中0.06〜10人の割合で発生する.   なかでもプロ選手の受傷率が高い. (Bjordal JM et al:Epidemiology of anterior cruciate ligament injuries in soccer.Am J Sports Med.1997;25:341-345) ☑︎回復にはプロ選手で4ヶ月,一般選手であれば6~

          前十字靱帯損傷~サッカーにおける受傷機転〜

          小児の運動器疾患〜概論〜

          縁があって,小児の運動器疾患を担当させて頂く機会が増えましたので,小児の運動器疾患に関する記事を書いていこうと思います. ◎年代別 スポーツが原因で受診した症例の年齢分布によると,小学校入学の7歳から増加し,17歳が最も多く,次いで16歳,18歳の順で,中高生の患者が多くを占めていた. ◎競技・受傷関節別 競技別にみると,サッカーが最も多く,次いでバスケットボール,野球の順で傷害発生率が高かった. 関節別にみると,男女ともに膝関節が最も多く,次いで足関節,手関節の順

          小児の運動器疾患〜概論〜