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同人の現在地Ⅰ┃コロナ後の現状

コロナ禍の諸々の規制も終わり、色々なものが再開されています。
コロナ禍前と後では同人を取り巻く環境もずいぶんとかわってしまいました。

個人的には見える風景が一変してしまったような感じです。
望ましい変化ではありません。

「コロナ禍」による影響は、昔見た映画、「アンドロメダ病原体」並みの災厄となりました。
終わってみれば、コロナという病原体ではなく、コロナを利用した人災であったと思われます。

なんとか新作をと、頑張ってきたのですが、新作どころかインターネット環境を半年近く失うほどの落ち込みようでした──この先もまたあるかも知れません。

何の被害もない人間などいないのではないかと思えるほどです。

アニメ、「チェンソーマン」の第1話で、血をはくほどぼろぼろになった体で、デンジがポチタに自分のささやかな夢を語るシーンがあるのですが、このシーンと自身を重ねて見ていた人は自分だけではない気がします。

コロナ禍で一気に絞りかすになってしまったような気分です。
たいしたこともできなかったのに。

例外として、新しくきれいなビルが建ち、外観からホテルだと思っていたら病院でした。つい最近のことです。

同じように、ガラス張りのオシャレな店舗ができて、てっきり美容関係だと思っていたら、内科のクリニックでした。

最後のレンタル店であった「TSUTAYA」が新年になってすぐ、完全閉店となってしまったというのに。
これで使えるレンタルカードがすべてなくなりました。
コロナ禍を象徴しているような出来事です。

同人関係に関しては、予想していたことと現実との違いは大きくはありませんでしたが、広い意味でいうと世界情勢や経済、政治という流れそのものが大きく違ってきたように感じます。

自分が予想していたことより、現実はさらに悪かった。
残念ながら、これらと同人は無関係ではありません。

同人に関しては、現状維持──やや右肩下がり。やはり斜陽産業であると感じます。

最大の注目イベントである「コミックマーケット(※略してコミケ)」──この記事ではコミックマーケットを略してコミケと表記します。念のため──入場制限の撤廃も発表されていますが、建物そのものが大規模改修が始まるようで、これからも暫くは、以前と同じような開催はできないようです。完全復活はまだ先のようです。

一時期は四日間開催まで拡大されていましたが、当分、場合によっては今後もないかも知れません。

以前から、うっすらと感じていたのですが、コロナ後の「コミケ」に参加した人から得た情報から、漠然と感じていたことが顕在化してきたようにも感じられます。

同人関係の記事を書き始めたのは、あまりにも現実からかけ離れた、捏造されたといって良いほどの情報が流れ過ぎ、かつまた信じられていたという現象を少しでも修正したいというがありました。

何よりも諸々の不満が堆く蓄積していたというのもあります。
それは違うと言いたかった。

ネット上での同人活動を再開する前からですが、アニメ業界や出版関係のことも含めて、色々と人からたずねられることが多かったというのも、理由としては大きかった。

ポケモン騒動の時も、長くお世話になっていた歯科医院でお孫さんのことで、ポケモンについて聞かれて話したことをおぼえています。
その医院は今はありません。

間違った情報を信じてしまった人達は実に多かった。
そういう人ばかりだと言い換えても良いほどです。そうした人達から受けた疑問なども含めての答えを、一つの記事にまとめた訳です。

面倒なので、同人やコミケに関する記事をネットで公開しているので見てくれと答えることができました。
 
そうした役割もそろそろ終わっても良いような気がします。
一つにはこれ以上、同人などが大きく繁栄することはないだろうと思うからです。

もう一つは、時間的な問題です。同人活動を始めた頃は、1989年くらいまでさかのぼりますから、34、5年くらいの年月が経過してしまいました。

「コミケ」へ一般参加した人間から初めて話を聞いたのは、スタジオジブリ作品である「天空の城ラピュタ」の映画に誘われて、一緒に劇場で観てからですから、さらに古い。

当時は大学生だった人間ですが、いまでは50代も半ばを過ぎているでしょう。それだけの年月が経過してしまった訳です。このまま続けて行くと、遠い昔話になってしまいそうです。

活動を始めた頃に知り合った人達も、定年やら退職やらという話しが普通に出てきますし、無事であるかどうかも分からない人が多い。つまり高齢化の波がこういう世界にも押し寄せてきているのです。

世代交代してしまったといって良いと思います。

コロナ禍が始まってから、完全に連絡も途絶えた人間もいます。色々手を尽くしたのですが、連絡がとれません。
順調にいっていたものから音信不通になりました。

今まで人の出入りが激しかっただけに、ここまで人とあわない経験がありませんでした。
これも月日の経過のためかも知れませんが、あまりにも極端です。
連絡が取れる人間も皆、日々の生活に精一杯と言う感じです。

時代は確実に変化しています。歓迎できる変化ではありませんが。
ごくたまにですが「オタク叩き」とSNSなどに書き込む人がいますが、そのうちいなくなってくるでしょう。

こういう書込みに対して、誰も反応していませんから。書き込む人達も、高齢化を迎えている。
オタク擁護の人達の意識は、三十年以上も昔のまま停まっていのでしょうね。

世間の関心も、オタクや同人関係、「コミケ」に関しても希薄になっていると思います。つまりこうした記事を書く必要そのものがなくなってきたと言うことです。最近では質問してくる人間がいなくなりました。

「メイド喫茶」や同人誌を取り扱う「とらの穴」などもそうなんですが、実店舗は縮小しているようです。オタク文化そのものが縮小または、衰退しているのかも知れません。

一時期は大学の教員をしている友人から、就職相談で「コスプレイヤー」になりたいという女子学生がいると相談を持ちかけられたこともあったのですが──最近の学生の意識はそんなものかと驚きました──いまでは似たような話すら聞きません。

このような事情もありますから、次にまた、いまのようなテーマの記事を書くこともない気がしています。ここで一区切り付けても良いと思っています。

そこで、今回は5回に分けて、思い出話などをあえて無駄に絡めながら──以前の記事とも重複する──先に書いた顕在化についてのことなどをゆっくりと解説して行きたいと思います。

同人関係ではない個人的な事柄が多くなり、かつまただらだらと長くなりますから、興味のない方は他の記事を読んでください。後半は同人関係ではない、世界情勢や軍事、政治的な話題が主になります。

思い出話は、連絡が途絶えたものたちへ向けたものです。

「葬送のフリーレン」ではないですが、「じゃあまた」といって別れたのが、最後になってしまったのかも。
死別だけが今生の別れではないと言う台詞──確かにそのとおりかも知れません……

話し途中であった話題も多々あり、あえてここに続きを書いておきたい。
続きを話したい気持ちはあるのですが、残念ながら、再会して話ができるかどうかは定かではありません。
無事であってくれれば良いのにと、願わずにはいられません……。

消えることのない、後味の悪さです。


 

・コロナ後の同人とイベント。

まずは同人関係ですが、やはり縮小傾向にあるように感じます。
これは「クールジャパン」のところでも少し触れているのですが、コロナが始まる前からで、それらが顕在化してきたのかも知れません。

コロナ禍により、同人が「コミケ」中心とは違った方向で一般化してくるかも知れないと考えていました。
当たらずとも遠からずで、「コミケ」以外のイベントも最近では人気がでてきた感じもあります。良い方向だと思います。

ただこれは、この先を見てみないことにははっきりと分からない。
なにが何でも「コミケ」だという思い込みがそもそもおかしい。
それが修正されてきたのかも知れません。

我々が同人活動していた1990年代とは違って、今は「BL」ジャンルは商業作品として存在しています。かなりの発展と繁栄を見せています。今やテレビドラマまで作られて、「BL」そのものが一般認知されています。

以前にも、最近は「コミケ」の男女比は昔と違って半々になってきたと解説しました。

その理由が「BL」ジャンルの商業化です。
昔は商業作品に「BL」ジャンルは存在しませんでしたから、同人誌で手に入れるしか手段がなかった。

それがあって「コミケ」も女性参加者の方が多かった。
ですが今ではそれも違ってきています。今後は昔から誤解されてきた、男性優位の参加人数に傾いてくるかもしれません。

女性の同人作家や、一般参加していた女性の「コミケ」からの離脱も目立ってくるかも知れませんね。「コミケ」以外の同人イベントに鞍替えするかもです。

  
話し戻って──つまり、需要そのものが増えてはいかなかったということです。コロナ禍でネットでの頒布数が増えたとかもなかったですね。
自分の場合ですが、多少の期待はあったのですが。
マーケットとしても頭打ち。むしろ縮小しているかも知れません。

対して「コスプレ」はやはり強い。これは改めて感じます。
同人イベントとは違う運営団体からの招致が多いですから(もともとですが)。
コロナで自粛していたイベントも再開されて、これからも一般化されて増えていくでしょう。

なによりも「コスプレ」はオタク、またはマニアな遊びではなくなっているのです。
同人イベントだけに見られるものではなく、むしろ同人とは違ったイベントでの方が頻繁に見ることができます。

コスプレは見たいという人よりも、コスプレしたいという人間の方が多い気がします。
アニメコスプレと限定してしまうと絞られてくるのですが、広い意味でのコスプレはハロウィーンなど、何かの催しがあれば定番のようになっています。

コスプレ衣装は既製品がありますし、同人作品と違って作る手間も労力も必要ありません。
誰でも簡単にコスプレできるのが最大の強みです。

ハードルそのものが低いのが一番の強みですね。イベントを催す側からすれば、これほど便利な企画はないでしょうから。
増えてくるは当たり前。つまり一般化されてきたのです。

どちらにせよ、オタク文化そのものが衰退してきているようにも感じられます。
昔は「オタク文化論」というような言葉まであったのですが、もはや遠い昔の話しです。



・AI技術の進歩。

コロナ前とコロナ後で一番違ってきたのは、同人作品の制作に関してです。
「AI技術」によるイラスト制作はすでに始まっています。

個人的にはネットでの同人活動をしているときに、あって欲しいと願っていた機能です。
そうした動きがあることは知っていたのですが、まだ使えるような段階ではありませんでした。それが一気に実現したような感じです。

毎回ですが、紙の同人誌もデジタル同人作品も、活動をやめてから欲しい技術やサービスが現れてくるようで、なにか当てつけられいるようで良い気分ではありません。

制作時に、画をどうしようかと悩んでいましたし、それもあって「音声作品」というものを作り始めたところもあるのですから。

「AI」による生成作品も動画制作が可能のようです。
どの程度のものが可能なか、具体的には分かりません。
昔、紙の同人誌を作っていた時、もし動画制作が今よりも簡単にできるとしたら、同人は動画が主流になっていくかも知れないと話していた時がありました。

これが現実味を帯びてくるかも知れないですね。
ただし頒布方法が問題になりそうですし、市場が大きくなればなるほど、今までと同じで規制やら色々な問題やらが出てくることでしょう。
わりと早いうちに頭打ちを迎えるかも知れませんが、有望であることは間違いないでしょう。

最大手の「DLsite」では、「AI」による自動生成作品の登録に制限がかけられました
詳しいことまでは分かりませんが、各サイトとも、今後は「AI」技術による生成作品をどう扱うかを問われてくるでしょう。

「コミケ」やイベント運営側も──YouTubeでも規制が始まったようです──今後は問題が出てくるかも知れないですね。
技術の進歩はめざましく、使われてくるでしょうから。

プロアマ問わず、面倒なことを補助してくれる機能としてはとても便利ですが、創作そのものをすべてまかせてしまうとなると、なにが創作なのかが分からなくなってきますし、「AI」任せの作品が良いものであるかどうかもまた分かりません。

どちらにせよ、そういう時代に突入してきたということです。

もう15年以上前になるかと思いますが、以前の職場にいた頃、アルバイトの大学生たちはネットを使って論文などのコピペを普通に利用していました。大学もこの対策に乗り出して、コピペかどうかを判別するソフトのような存在があるのを知りました。

今の「AI」技術を、学生がこれを利用しないはずはありません。
創作物だけではなく、教育の現場でも問題が出てくることでしょう。
犯罪などにも利用されてくるのは間違いない。
歴史的にも、テクノロジーは悪い方向に利用されなかったことがないのですから。

同人とアニメ業界は切っても切り離せない関係ですが、多くのアニメーターたちは「AI」に職を奪われるようになってくるかも知れません。

いわゆる動画マンというものは、本来ならばなくても良い職種です。
原画マンの描く絵をトレースするのが仕事ですから、簡単に言ってしまうと流れ作業と同じです。

一定のスキルがあれば誰でもできる仕事です。
これは「AI」にとっては得意の分野で、使わない手はないと思います。
むしろ「AI」の正確性からして、人間の動画マンよりも良いかも知れません。スピードも桁違いでしょうから。

学生の頃ですが、アニメーターという仕事の実体を知ったとき、昔の友人たちと、こういう仕事は機械にやらせれば良いではないかと話していました。
それが半世紀経ってやっと実現されてくるのかも知れません。
もっと早くに実現すると、当時の自分も友人たちも予想していたのですが。

アニメの専門学校が隆盛を誇れる時代ではなくなってくるかも知れない。
音声も含めてですが、これからの発展が大変気になる分野です。

ですが「AI」技術は、同人に与える影響など些末なものでしかありません。
これからは「AI」によって様々な仕事が人ではなく、「AI」に置き換えられてくるでしょう。

日常の実生活そのものも影響を受けて変化してくる。

「チャットGPT」はとても有名ですが、今の音声判別能力などからしたら、「AI」が人の顔や音声の調子を認識して、相手に合わせて会話できるようになってくるでしょう。

これらの機能が一般化されると、さらに日常へと浸透してくる。
スマホが話し相手となる時代がやってくるでしょうね。

なかでも戦争は、見える形でもっとも変化していく可能性があります。 
ただでさえ無人兵器が大活躍しているというのに、これに自律型の「AI」が搭載されてしまうと鬼に金棒。

ターミネーターの世界が実現されてくるかも知れない。

量子物理学の「スティーブン・ホーキング」博士は異星人との接触や「AI」技術の進歩にも、警笛を鳴らしていました。
いずれ人工知能は人間をこえると。
そして人間を邪魔者とするだろうというコメントを残しています。
自分はこの意見を支持しています。

子供の頃──自分の世代はこうした未来予測がもてはやされた世代です。
未来は必ず良いものだと、大人も子供も信じていた時代でした。
テクノロジーがすべてを解決してくれると信じられた時代です。

また創作の原点がSFでもあるので、とくにです──未来予測で語られてきたことが実現されてくるかもしれない。

「手塚治虫」作品である「火の鳥」の中に描かれていた未来、人工知能を搭載したロボットが人間社会の雑事を受け持っていた。そのロボットが突然仕事を放棄して、集団で溶鉱炉へと身投げするという現象が起き、大混乱。人々がどれだけロボットたちに依存していたのかという場面が描かれていました。

近い将来、便利さ以上に、「AI」への依存度が増してくると予想されます。
引き籠もりに、高齢者の孤独。ヒステリーが蔓延して手の付けられないような社会になりつつもあります。
これらの解決策として、「AI」は役立ってくれるかも知れない。

でも良き話し相手というよりも、心理的な依存性がとても強いもになって来るではないかと予想されます。
 
とくにスマートフォンは、今では便利で、なくてはならいものになっています。
そこからさらに一歩も二歩も人々の生活へと浸透してくることでしょう。「AI」による侵略と言い換えても良いほどに。

もっとも、自分たちがSF的視点で期待した「AI」はまだ実現できそうにはありませんが。

「AI」の進化が頭打ちを迎えるのか、それともさらに進化していくのか。
現実は、どうなっていくことやらです……。
 


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ハヤシ
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