ストリートサッカー
スペインに来てから約10ヶ月、コロナの影響でチーム練習が無くなる中、それに代わって対人練習や試合、スペイン人との交流をする場になったのがストリートサッカーでした。
道路で試合をやっている訳ではないので、一般的にイメージされる意味でのストリートサッカーではありませんが、そこに集まった人達でチームを作り試合をする、という意味でそう呼ばせてもらいます。
僕がスペインで最初にストリートサッカーをしたのは来てすぐ、地面がコンクリートの小さなフットサルコートでやった時のことでした。
来る前から、公園などでスペイン人達とサッカーをやれたらいいな、と思っていたのでとても嬉しかったのを覚えています。かなりの頻度で参加し、夕方からボールが見えなくなるまでボールを蹴っていました。
壁はスプレーアートでうめつくされていて、海外ドラマで見たことあるようなところだし、やけに上手いおじさんもいるし...と、とにかく「スペイン人とサッカーやるの面白いな〜、なんか海外っぽい」といった感じで、新しい環境に魅了されていました。
少し経ってから、他にもサッカーができるグラウンドがあると聞き行ってみました。コロナの影響でチーム練習がない、ということもあり中学生から大人まで多くの人が集まり、試合をやっていました。
みんな基本的に1チーム分(7〜8人)の仲間を連れてくるか、数人で来て足りない分を集めるのですが、僕は一人で来ていたので人数が足りなそうなチームを探し、拙いスペイン語で「入れてくれ」と頼むのです。
仲間と来ていることがほとんどなので、もう人数がいっぱいでなかなかチームが見つからない、ということも珍しくはないのですが、試合をやりたいという一心で、日々そんなことを繰り返していました。
多くの人が集まるとは言えいつも来るメンツは大体同じなので、徐々に顔見知りが増えて来る訳です。ありがたいことに、前に一緒に試合をした人や、よく会う人たちのグループに入れてもらうことも増え、とても嬉しかったことを覚えています。
ある日、そのグループの人が「あいつはバルサのカンテラ(育成年代のチーム)でプレーしてるやつだよ」と教えてくれたのですが、正直、最初は疑っていました。後に本当だと分かったのですが、なんだかとても不思議な感じでした。
小さい頃から憧れ続けたチームのカンテラでプレーしている人が同じコートでプレーしていることを知り、驚きや彼に対するリスペクト、でも負けられないな、という気持ちやら色々な感情が混ざり合っていました。
他にも、育成年代のトップリーグでバルセロナと良い試合をするような強豪チームの選手もちらほら来きます。そういったトップレベルの選手達と試合をするのは楽しいし、貴重な体験だな、と感じています。
こういった経験は、僕のストリートサッカー愛なるものを一層深める要因になりましたし、無論、ここに来た大きな目的の一つでもあります。
↪︎スペインの伝統的なクリスマスのお菓子。中には柔らかいグミのようなものがぎっしりと詰まっていて、かなり甘かったです。
ストリートサッカーが僕に与えてくれた影響は大きかった、と思っています。
というのも、上で言ったようなトップレベルでプレーしている、年齢の近い選手達を目にしていると、早くそのレベルでプレーしよう、とか、かっこいいな、と、そこに対する想いが強くなって来るのです。
また、スペイン語の面でもメリットは多くありました。まず、強制的にスペイン語が聞こえて来ますし、みんながサッカー中によく使う言葉も覚えていきます。
何より、話さないと何も始まらない、という環境で多くの時間を過ごしたことは大きかったと思います。まだ速すぎて聞き取れないな、言いたいことが言えないな、ということに気付き、もっと勉強が必要だ、と再認識するのです。
とは言っても、ストリートサッカー。誰でも参加できるので全員のレベルが高い訳ではないのです。そう言った理由からか、ほとんどの日本人の選手はストリートでの試合に積極的に参加はしません。
それでも今の僕にとって、ストリートサッカーから得られるものは多く、常に課題はあるので自分のプレーにフォーカスしていれば周りはそこまで問題ではない、と思っています。
これはスポーツに限らず、何をやるにしても大事なことな気がします。
↪︎ スペインのクリスマスのお菓子を何か食べたい、という願いが叶いました。
練習が再開された今でも、休みの日には多くの人が集まり試合が行われていて、顔見知りも増え、一緒に試合を見にいくような友達もできました。
色々な場で、スムーズにコミュニケーションをとれるように、これからも気を抜かずスペイン語の勉強をサッカーと共に頑張って行きたいと思います。