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ありがとう歯磨き粉【2025/2/21】

  • 自宅から徒歩2分のところにあるドラッグストアに足を運んだ。朝9時30分を回ったところだと言うのに、思いの外、お客さんが入っている。

  • 僕のお目当ては「歯磨き粉」。ここ数日は、容器を振って、絞って、捻ってなんとか使ってきたけれど、ついにその努力が通用しないまでになってしまった。あんなにふくよかだったフォルムが、こんな薄っぺらい姿になって。役目を果たし切った歯磨き粉をみると、いつもなんだか切ない気持ちになる。

  • 店の自動ドアをくぐり、真っ直ぐ進んだ先の突き当り。ちょうどそこにオーラルケア商品が並んでいた。この分かりやすいところに置かれているのは、それだけ需要が高いからだろうか。

  • ざっと商品棚を眺めていると、すぐに歯磨き粉コーナーが見つかった。最初に目に留まった歯磨き粉。それは偶然にも愛用しているメーカーのものだったから、なんだかおかしくて、心の中でにんまりしてしまった。もし、僕がマスクを付けていたら、その下で笑みをこぼしていたことだろう。

  • 他に買いたいものはなかったから、目当ての商品を手にとって、そのままレジに向かった。ピッ。248円です。言いながら、店員は手際良く会計シールを貼る。僕が財布から小銭を出そうとすると、それを制するように言った。「3番でお願いします」。ああ、そうか。精算は、自分一人で行うのか。そういえば、だいぶ前に来た時も精算機で、会計をするシステムだった気がする。人手不足とか効率化のことを考えると、きっと機械に任せた方がいいんだろうな。実際、セルフレジも増えてきているし。

  • 無事に買い物を終え、意気揚々と自宅へ帰る。手洗いとうがいを済ませるついでに、洗面所の定位置に新品の歯磨き粉を置いた。まだラベルも剝がされていないし、外装のメタリックな部分は光り輝いている。新入りの代わりに、古株を手に取る。ずっと使ってきたからだろう、僕の手に馴染む。触り心地が、さっきの子とは違う。

  • 部屋のゴミ箱に、古くなった歯磨き粉を捨てる。今日はゴミ回収の日で、さっきゴミをまとめたばかりだったから、他には何も入っていない。

  • 大きな袋の中に、たった一つ入れられた歯磨き粉。自分の役割を全うした自分自身を誇っているように見えた。小さくなった歯磨き粉を前にして、僕は新しいヤツもちゃんと最後まで使い切ろうと思った。そして、さらに新しい子を使い始めた時にも、それを綺麗に使いたいと思う。

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