アントワネットが好きなのに
タイトル見たら分かる、これから書く話。
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マリー・アントワネットが好きである。
子どもの頃にベルサイユのばらを読んで
好きになった。
オスカルよりもアンドレよりも
マリー・アントワネット(以下アントワネット)が好きである。
アントワネットが好きな理由は、
ハッキリ言って生まれながらのお姫様だからである。高貴な生まれ育ち、それは子供時代の私の憧れだった。立ち居振る舞いも言葉遣いも何もかも美しい。頭の上に船を乗せてもその品の良さは変わらない。
私はエリザベートもエカテリーナ二世も好きだけど、やはりアントワネットには叶わない。
ベルサイユのばらだけではなく、
ツヴァイクや他の人の書いた本も何冊も読んだ。
映画も観に行ったりした。
いつかの美術展で髪の毛や靴を見た時は
本当に感動したものだ。
アントワネットが好きなので
20数年前にフランスに行った際は
もちろんベルサイユ宮殿に行った。
アントワネットの寝室も鏡の間も見た。
ここでアントワネットが夜な夜な踊っていたのかと思うと
私も一緒に舞い踊りたいくらいに感慨深かった。
ツアーに参加したので、あまり時間がなくて、
プチ・トリアノンには行けなかったのが本当に残念だった。
ショップでグッズがあったら買おうと思ったけれど、大した物が無かったので
アントワネットがバラを1輪持っている絵ハガキを
1枚だけ買って帰った。
忘れるはずもない、大切な思い出である。
なのに
なのに
あのオリンピックの開会式だよ!!!!
確かにアントワネットは頭のいい王妃ではなかったかもしれない。
でもお金を沢山使って民衆から憎まれたと言われているけれど、実際はアントワネットが嫁いでくる前から王室にお金はなかったし、
「パンが無いならお菓子を食べればいいじゃない」なんて言ってないし、
他国から嫁いできて、本人なりにフランスに馴染もうとした、子どもを思うひとりの優しい母親だったのに。
民衆からしてみれば、金食い虫の王妃に見えたのだろうが。
わかるけど。わかるんだけど。
それでもあの首持って歌うなんてないわ。
しかも、投獄されていたコンシェルジュリーで!
これってなんでルイ16世じゃないの?
オーストリアから嫁いできたアントワネットを
スケープゴートにするのはあんまりではないか。
しかもその後の血しぶきみたいなのなんなん!
あの開会式を見て
怒りを通り越して呆然とした私は
感覚の違いに今もモヤモヤしている。
これも多様性なのだろうか。
そしてフランス人にとってのアントワネットの存在を思い知らされたような気もしている。
皆に愛されているとは思わなかったけど
その扱いは酷過ぎではないか。
やっぱり革命の時に逃げようとしたのがいけないのか。
でもそれはアントワネットだけじゃない。
きっとこの話をアップする頃は、
オリンピックは終わっているだろうけど、
これからパリオリンピックの事を聞く度に
私はアントワネットの赤い首を思い出すだろう。
なんかな、なんかな、なんだかなーー。
アントワネットが好きなのに。
(了)
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