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葛藤
この話を書いているのは7月2日。
明日から新札が発行される。
7月10日までに銀行に払い込みに行く必要がある私は、ここ何日もいつ行こうかと悩んでいた。
ついでに職場の現金をおろしたいのだ。
当然ながら、2日までに行けば福沢諭吉(以下、諭吉)である。
3日からは渋沢栄一(以下、栄一)である。
諭吉だって3日以降でも使えるわけだし、
なにも栄一にこだわる必要はないのだが、
自分が貰う立場になった時に栄一だったらちょっと嬉しいよな、なんて考えていた。
折しも午前中、外は豪雨であった。
今日はやめて明日…は多分新札目当ての人が多いので避けて4日に行こうかな。
それとも来週落ち着いた頃に行こうかな。
私は葛藤していた。
諭吉とは長い付き合いだが、
彼は私のもとに長く居たことはない。
個人的には諭吉よりも聖徳太子の方がイメージが強くて、いまだに1万円札といえば聖徳太子が思い浮かぶ。
そういえば岩倉具視は500円札だったし、
500円札が硬貨になった時はかなり違和感があった。
新渡戸稲造の5000円札も良かったのにな。
いつの間にか替わった樋口一葉もあまり側には居てくれなかったな。
あれ、2000円札は。
2000円札といえば、職場の旅費を2000円札で
払えないかと思い10年ほど前に銀行で聞いてみたら、もう新札はなくて、
古いお札も取り寄せとか言われて
びっくりしたことがある。
あんまり流通しなかったのは、1と5の世界に
2が入るとややこしくなるからなのだろうか。
確かに少し使いにくい印象はあった。
今の若い人は2000円札を見たことはないのだろう。
話を戻そう。
結局、雨が小降りになった中を、
私は今日銀行に行ってきた。
栄一じゃなくて、諭吉に会いに。
昼下がりの銀行はとても空いていて
行ったらすぐに受付となった。
顔見知りの窓口の方に
「今のお札(諭吉)でいいので新札ありますか?」と聞くと、
「沢山あります!」と笑って答えてくれ、
私は無事諭吉(だけじゃないけど)を連れ帰った。
しばらく栄一には会えそうもない。
(了)