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猫がベッドを譲らない

誕生日にプレゼントした猫ベッドを先住のセミ猫が気に入っている。
中に空洞があってかまくらのように使ってほしかったのだが、結局ぺシャンコにして上に乗っかってベッドにしている。

2WAY仕様の意味がないが、気に入っているのだからそれでいい。
しかし、セミ猫はそれをトンボ猫に貸さない。
トンボ猫がそのベッドに入ってみおうとしたところ、パパパパパーンとセミ猫の激しいジャブが飛び出した。
その猫パンチにすっかり怖気づいたらしく、代わりにそれまでセミ猫がベッドにしていた段ボール箱を拝借している。
それが猫のサイズにちょううどいいのだ。

トンボ猫は人間用のソファがお気に入りだ。
以前はセミ猫がソファで寝て、母の膝を時折借りたりしていたが、最近は母の膝はトンボ猫が占領している。
どうしてもセミ猫が使っている場所を自分も使ってみたいらしい。
こうしてパソコンを打っている間、セミ猫はパソコンデスクの端に置いた新しい猫ベッドで私がパソコンキーを忙しなく打つ音を聞いてうとうとしている。
トンボ猫がどうしてもセミ猫と同じようにパソコンデスクの上にいたがるので、セミ猫の隣に段ボールベッドを置いてやった。
落っこちそうであぶなっかしいが、猫だから受け身は取れるだろう。
セミ猫はベッドから一度も落ちたことはない。
トンボ猫は後ろ足が悪くてどんくさいから心配したが、デスクの上の箱から頭を出してこっちをずっとうかがっているから大丈夫だろう。
ちょっと体調が悪くて寝込んでいるが、その分猫たちが優しくしてくれる。
ちょっとかまってほしいだけかもしれないけれど、よくこちらをのぞき込んでくる。
先日はセミ猫が寝ている私のほっぺを舐めてくれた。
セミ猫は滅多に人を舐めない。それも大抵手だけである。
ちょっと感動した。舌がざりざりして痛かったけれど、猫も人を労わる気持ちを持っているんだなと思った。

一方、遅寝遅起きのトンボ猫がなんの気まぐれか朝の4時過ぎに枕もとでふうふう言って起こしてきた。
うちの猫たちは人間が寝ている時、乱暴にしてはいけないと思っている。
自分たちが寝ている時にあまり触られたくないからだろうか。
セミ猫ならごはんをくれと朝晩うるさくニャーニャー鳴くが、トンボ猫は野良生活が過酷だったのか、声帯がやられており大きい声が出せない。
鳴いてもよく聞こえないが、鼻息荒くよく口を動かしているので、何か話しかけているのかもしれない。

それにしてもnnoteのネタに詰まっているのに、早起きするとすることがない。書くことがないのに、早起きしたら、結局こうして猫の話に終始している。
冬は猫の観察が面白いのだろうか。
私がパソコンのキーを打っている隣で、猫ベッドの中、グーグー寝ているのもいいが、さびしい朝には猫が人間の言葉を話せたらいいなと思うものである。

ーと、ここまで書いておいて、そのまま記事としてnoteにあげるか悩んでいたが、変化があった。
トンボ猫がセミ猫が使っていない隙にベッドを奪ったのである。しかし、それも一晩だけ。翌日には、ソファのこれまでの定位置に戻っていた。
セミ猫は私の近くならどこでも、寝床を変えるが、私の金魚の糞のごとくついて回るトンボ猫は近くに寝ることにこだわりはないようである。

最近は母の膝がお気に入りで、セミ猫はベッドを使わない日は私の枕の横で寝ている。私が寝ているときは、私を独占したいのだろうか。トンボ猫がポーンと飛んできて、間に入ったが、寝ぼけた顔をしたままセミ猫はどかなかった。トンボ猫は仕方なく布団に入ってきたが、居心地がよくなかったようで、すぐに出ていった。

二匹とも使うなら、二匹分ベッドがあっても良いような気がするが、もう冬も終わる。恐らくトンボ猫はセミ猫が寝ている場所がよく見えるだけなのだろう。そして、取ってみるけど大したことはないと思うのか、ずっと奪うのは気の毒だと気を遣うのか。

猫が猫を気遣うということはあるようだ。寝ているセミ猫にちょっかいをかけにやっぱりポンと飛んできたが、セミ猫が眠たそうなので、すごすごと私のひざ元にやってきたということが何度かある。

セミ猫はごはんもおもちゃも最初は譲っていたが、今は自分が食べ終わるまで待っていろという態度だ。くっついて寝たりはしないものの、二匹とも争いを好まないのでだんだんと気の置けない間柄になってきたようだ。
ただ、セミ猫が以前より鳴くようになったので、人間にも気を遣ってほしいのかなと思っている。自分を優先してもらえないのは誰だって嫌なものだ。きちんと相手にしてくれるか試しているような気がする。

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