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この庭で猫たちは生きられない

 11月私は何をして過ごしただろうか。何もしていなかった。けれども、猫たちには関わっていた。9月から猫たちを5頭譲渡した。5月から考えると6頭だ。しかしまだ子猫がいる。見出し画像のカゲロウ君はまだ1歳になっていないけれども、既に5キロある巨猫だ。自分より小さいボス猫のカエル君に喧嘩で負けて、目を負傷してしまった。おまけに片耳折れ。骨に異常が出ないか気にかかる。これからこの子はどうやって生きていくのだろう。カゲロウくんがどうやって生きていくのか、それには私の生き方も関わっているような気がする。私が何もしなければこのままだ。
 私の今の現状は、正しさの結果ではない。正しい正しくないか判断しながら生きてはおらず、ただなんとなく選択してきた結果である。ただなんとなくが良い結果に転べば嬉しいし、間違ってしまえば落ち込む。それだけのことだ。

 幸せな家猫になれる猫となれない猫の分岐点はどこにあるのだろうか?私が考える猫たちにとっての幸せというのは家猫になれるかどうかである。猫のトイレの粗相で悩む飼い主さんと言うのはとても優しい人たちだ。新しくやってくる猫のためにケージだけでなく、トイレもあれこれと考えて1つと言わず、2つぐらい新しく買ってもらったりするのである。
 ペットを捨てる人がいると、たまにニュースでは見るが、ニュースになるほど滅多にないことでもある。猫を外に出して飼う人はもっといるだろうけど、それだけで全国ニュースになったりはしないだろう。ただいかんせん、避妊と去勢手術はしてほしい。これは切なる願いだ。

 我が家の三毛猫は、仲が良かった子猫のギンちゃんがいなくなって、3日経っても4日経ってもまだ帰ってくるんじゃないかと探している。猫たちが順番にもらわれていって、最後に残った子猫のギンちゃんが特別可愛かったようである。私が庭に出したんじゃないかと疑ったらしく、何度も玄関に出ようとして、とうとう4つの扉を突破して、この数日の間に庭に1度脱走してしまった。晴れた日は、布団だとか大物の洗濯物を干したくなるので、扉の出入りが多くなるのだ。三毛のセミ猫はそれを知っていて狙っていた。

ショゲ猫先輩。

 すっかりしょげている三毛猫を、今はまだ励ましようもない。時間が薬だ。ギンちゃんのお母さんのハチさんは今膀胱炎で薬を飲んでいる。まだまだ家猫生活に慣れていないので譲渡の話が来たが断らざるを得なかった。

 雌猫は気難しいとか繊細だとかは言いたくない。けれども、雌猫のほうに手をこまねいているのが現実だ。どうも長毛のメス猫のチョウさんの体調が芳しくないような気がするが、捕獲器に入ってくれなくて、触れるのに直に捕まえることもできず、結局大雨が降った日からは数日見つからず、どうにもできない。ボス猫のカエル君は、雨の日は蔵をねぐらにしておとなしくしている。かえるくんは本当にいい子である。飼いやすい温厚な猫であると思っている。外に置いておくと、他の猫の面倒を見て群れるので、それもあって、外に置いておきたくない。カゲロウくんともすっかり喧嘩をしなくなった。カゲロウ君はカエルくんの軍門に下ったようだ。

 けれども、外に大きな猫が増えると、ハチさんが怖がる。父猫のカエルくんほど、ハチさんは肝が座ってないのだ。チョウさんはどうだろうか。雌猫にしては体格が良く機敏なので、危険を回避してうまくやってはいるようだ。

 とは言え、外生活はそろそろ限界だろう。かえるくんが面倒を見るので、私がこのプロジェクトを始めなかったら、関わった13頭どころではなく、今頃もっと多くの猫が我が家の庭で生活していたはずだ。見た目の整わないことはともかく、荒れ庭が見た目だけではなく、内実ともに荒れ模様になっていただろう。

 猫が孤独を好むとは思わない。外暮らしの猫は全く気楽でない。家猫になるためにも外で生まれると何回も関門にぶち当たる。最初に現れたり病院通いが続いたりケージに慣れなければいけなかったり、せっかくその家の人間になれても、他の家にもらわれて、その環境で暮らせるようにならなければいけないのだ。

 それでも我が家の庭にいるよりはずっと良かった。だから、もうそろそろかえるくんたちも、家猫になる覚悟を決めてもらいたい。

すぐ寄って来るけどたまに威嚇するカエルくん。
怖がりのハチさん。
セミ猫とギンちゃんのツーショット。

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猫様とごはん
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