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猫、昆虫食生活に醒む。 第1話
*noteのネタに迷走して、ネタに走りました。続きません。
我々は肉食の獣。
肉を食らっていきる運命。
血肉こそが我々の力。
なぜか哺乳類だけを食すと勘違いしている輩がいる。
我々が食すタンパク質は鳥、ネズミ、モグラに限らず。
我々に特別なタンパク質を与えるもの。
我々を豹変させる特別な命。
それは"昆虫"。
何⁈
虫なんてどこにでもいるだと!
どこだ。なんの虫だ?
蜘蛛か?
ゴキブリか?
我々にも好みがあるぞ!
何⁈
ヒグラシ!
蝉【セミ】ではないか。
寄越せ、その昆虫を。我が血肉を。
それは、吾【ワレ】のタンパク質だー!!!!!!!
ボス猫セミの庭
窓外の夕焼け。
-ふう、今日も平和ですわん?はてな?
窓に隙間がありますわね。ふむ、扉とは開けるもの。
開けといてしんぜましょう。
ガリガリ。ゴソゴソ。ガンガン。ゴンゴン。ドッタンバッタン。
-ふう。あら、網戸が外れてしまいましたわね。
景色が見やすくていいですわ〜。おや?何かしら、外れた網戸に黒いものがくっついてますわ。
シュタッ。
-待て。それは、俺が仕留めた獲物だ。
-あら、あなた見ない顔ですわね?私に喧嘩を売るっていうんですの。
-俺は影楼。間違えた。陽炎【カゲロウ】。この世の歪みさ。貴女には俺を捉えることは出来ない。
-ふん。年下が粋がりますわね。私は蝉【せみ】。儚い命を存えたものよ。貴方とは潜ってきた修羅場が違うのよ。寄越しなさい。蝉だけは譲れない。その儚い虫は吾に供されるために生きてるのよ!
シャーッ!!!
ドタバタ。
-バ、バカな。この俺が、獲物を奪われるなんて!
-ふん。口ほどにもない野良助ね。貴方なんて夜の電灯に焼かれる蜉蝣がお似合いよ!
蝉を口に咥えて自慢げなセミ。
やんのかステップで地団駄を踏むカゲロウ。
-せんぱーい。何をしてるでにゃんすか。
部屋の窓から顔を出す赤毛猫。
-あら。トンボ。ちょっと新人さんを教育してさしあげたところよ。
-ふーん。あ!蝉だ。【セミ】先輩、それ、私にくださいにゃんす。
-いいですわよ。
ポトリ。
-わあい。はむはむ。バリバリ。羽と足は先輩に残しますね。
-いらないわ。飼い主の枕にでも詰めといて差し上げなさい。
-はあい。さっすが、先輩。頭いい!飼い主さん、驚くぞー?ひっくり返った飼い主を踏んづけよ。
-な、なんだ。この図々しい赤毛猫は。それに三毛猫のおばさんは俺から奪った獲物を譲るだと。
-ふう。やれやれ。この若造はワタクシにあくまで喧嘩売りたいみたいね。
-にゃ、にゃおーん。
-お、どうした。なんだ、カゲロウ。また、俺の縄張りに来たのか。
-父さん。なんだよ。次から次とやっかいな猫が来やがって。ち、違うんだ。は、腹が減ってたんだ!それなのに、獲物をあのおばさん猫に横取りされたんだよ。
-ん?なんだ。セミさんか。相変わらず威張りんぼでらっしゃるんですか。
-退きなさい。ここは貴方の縄張りじゃないわよ。そのボス面引っ掻いてやりたくなる前に、退くのよ。
-バリバリ。あー、蜻蛉だあ。ペシッ、ハムッ。先輩、これ食べますかあ。
-いらないわ。その若造にでもあげたらどう?
シュタッ。
-カゲロウくん。トンボでも食べる?名前的にお互いに共喰いだねー。
-こ、怖いよ。こっちくんな!近くで見たらこの猫、父さんよりデカイ。と、父さんにだって、勝てたことないのに!
-やれやれ。カゲロウは相変わらず怖がりだなあ。さっき蛇を狩って、その辺においといたからトンボと蛇でも食ったら出てけよ。お前はお前の縄張りを持て。
-く、弱虫の俺を追い出すなんて。と、父さんはどうすんだよ。腹減ってんじゃないのか。
-俺はその辺のカエルでも狩って腹を満たすさ。あと、ここの飼い主もちょろいから何かありつけるかも。
-くー。もらってやらあ。トンボも蛇も食らってやらあ!見とけよ?いつかあんたらにお裾分けできる最強のボスになって帰ってきてやるからな!
-ふふふ。楽しみにしてますわ。昆虫のオードブルをお願いね。
-ヤモリがほしいにゃんす。
-俺は蛇がいいが、贅沢は言わない。カエルでいいぞ。夏なら簡単だからな。
-ああ。蛇でもハリネズミでも任せとけ。美味い内臓を持ってくっからっと。さて、長居は無用だ。ご馳走になった。あばよ。
-ああ、達者で暮らせよ。
-父さんもカエルみたいに干からびるんじゃねえぞ。
走り去る黒縞の後ろ姿。
(完)
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