漢詩 「竹里館より菫(すみれ)里庭」
先月が五言絶句だったので、今月も五言絶句で挑戦します。もちろん、長ければ長いほどできる自信がないからです。お手本も必要です。
今回のお手本には、王維を選びました。
王維とは?
王維(701~761)。太原(山西省)の人。詩文のほか書や音楽にもすぐれ、特にその山水画は南宗派の始祖と仰がれる。また熱心な仏教信者でもあり、「詩仏」と呼ばれる。玄宗に仕え、安禄山の乱の時に賊軍の捕虜となり、強迫されて安禄山政権に仕えたため、乱の後で処罰の対象になったのを危うく免れ、尚書右丞として没した。そのため「王右丞」とも呼ばれる。
原文と書き下し文
竹里館 王維 (おうい)
独坐幽篁裏 独り坐す 幽篁の裏
弾琴復長嘯 琴を弾じ 復た長く嘯く
深林人不知 深林 人 知らず
明月来相照 明月 来りて相い照らす
〔韻字〕嘯、照
【竹里館】輞別荘の一部で、輞川二十景の一。本詩は、王維がこの別荘の風景を詠じた「輞川集」二十首の連作の中の一首。
幽篁:奥深い竹林。 長嘯:口をすぼめ声を長く引いて歌う。
現代語訳
《竹里館》
たったひとり、奥深い竹林のなかにすわって、琴をひき、また声を長く引いて歌う。この深い林の中に私がいることは、誰も知らない。月の光が訪れて、私を照らすばかり。
つくってみた
菫里館 猫様とごはん
独坐花壇上 独り坐す 花壇の上
毟草復長嘯 草を毟り 復た長く嘯く
深草人不知 深い草 人 知らず
戯雨来相照 戯雨 来たりて相照らす
たった独り、虫の羽音しか聞こえない花壇の上に座っている。草をむしりながら、口をすぼめてゆったりと鼻歌を歌う。こんな日にガーデニングをしている人がいるなどとは、誰も思わないだろう。戯(そばえ)雨が降っていて、水滴も咲いている花も光っている。
戯雨:日が照っているときに降る雨のこと。日照り雨。
すみれを見つけてきて、庭に植えました!