「窓辺の猫」第七十二回 美しい猫
どうも流されやすい飼い主です。猫たちの賢さチェックってやったことありますか? YouTubeで一時期流行ったあの壁ドンです。私は何度もやったことがあります。あれで猫の賢さを測れない。そうは分かっていても、確かめたくなる中毒性がありますね。
猫も栴檀は双葉より芳し
私は今3頭の生後3か月の子猫と生後7か月の猫の里親さんを探しながら暮らしています。
まだ小さい猫たちは先輩猫たちがよく面倒を見ています。
同じ白黒柄のアゲハ猫と比べると子猫たちは、まだまだ汚れて茶色いです。警戒心が強くて洗えていないギンちゃんはまだしも、ヤンマ猫はどれだけ外で泥だらけになっていたのでしょうか。毛足が長いせいなのか。風邪引かせないように3度目の全身洗いの予定はまだ先です。
ヤンマくんはソフトタッチで手を出してくれます。手といえば、なんだか怖々とペシペシしてくれるのです。出来心で教えた時には、普通に手のひらに手を乗せてくれたのですが、気が乗らない時にもやらされるせいか、だんだんとやり方が雑になってきました。
むくむくした毛のヤンマくんは、落ち着いた先輩猫たちに行動が似ています。周りをよく観察して、高いところが好きで、爪が当たらないように人間に触れます。
猫の性格は毛柄で決まりますか?
性格が似ているのかな?と思って来ましたが、おそらくこれはヤンマくんが老成しているから似て見えるだけかもしれないと気づきました。
アゲハ猫は子猫たちが遊んでいると張り切って参加して来ます。一方で、ヤンマくんは踏まれたくないので引くのです。後で遊んでもらえばいいやと考えています。遊んでもらう相手は私でも三毛のセミ猫でも良いようです。アゲハ猫とホタルくんが元気に戯れている様子を眺めて遊んでいる気分を味わってもいるようです。悪い言い方をすれば、ヤンマくんは子猫らしくありません。写真で見ても子猫らしく見えないんじゃありませんか。実物はむくむくのまだ1キロ台の子猫です。表情にもちょっと無邪気さが足りないかもしれません。
逃げ回ってばかりのギンちゃんと比べるとずいぶん大人っぽく見えます。
似た模様の兄弟とはいえ、だいぶ表情も違います。ギンちゃんの方が汚れているのに、なぜか拭えないヤンマくんのワイルドさ。ライオンに見えるのはやはりヤンマくんが綺麗な鼻筋をしているからでしょうか。知性のある肉食獣の風貌です。
また、知性は筋力を補うのかなとも考えています。
庭のボス猫のカエルくんは短毛で大きさは普通です。長毛だらけの周辺で一番力があるのは筋力のおかげでなく、知性のおかげかもしれません。あるいは、優しいから好かれるのでしょうか。
長毛大型だから特別賢いとは限らないとすれば、我が家の三毛もいまだボス猫の地位を保っているのは優しいよりも賢いのかもしれません。
実は、ヤンマくんはホタルくんより上手な面があります。ごはんは真っ先にホタルくんが食べます。しかし、後から食べ始めるヤンマくんはホタルくんどころか、アゲハさんにも譲りません。自分から取っ組み合わなくても、負けの姿勢を簡単に見せないのです。ホタルくんの方が飛び跳ねて離れます。あるいはやり過ぎて先輩達から指導を受けています。
ヤンマくんは慎重派なので、タンスに登ったり、回転椅子に登ったりするのはいつもホタルくんが先です。しかし、ホタルくんが使ってない時は、自分が使おうと狙っています。大丈夫かな?と何度も確認してようやく乗ります。
猫も人間もお互いを選べない
庭で生まれた子猫たちは、自分から我が家に来たわけではありません。同居人を自分で選ぶ立場ではなかったわけです。
けれども、子猫たちを見るにつけ、我が家に置くには立派過ぎる猫たちだと思っています。血統書の猫たちに劣らぬ見た目と知性。何より動きが優美です。見た目以上に、仕草に隠しきれない高貴さを感じます。
鳴き声は小さく、一方で主張を曲げない意思の強さもあります。
飼い猫の二頭なら我が家にちょうどいいというわけではありません。2匹が来たのも成り行きです。けれども、子猫たちがあまりに美猫なので我が家が背景として合わないんじゃないかと感じています。美醜を気にしないつもりでも、ヤンマくんが膝に乗る人間として私は役不足だと落ち込みます。引き立て役にもなれないのです。
果たして、この子猫たちにはどんな未来が待っているのでしょうか。薄幸の美男にはなってほしくないです。ドラマのない猫生になりますように。