「窓辺の猫」第四十六回 動物病院の待合室
段ボールで寒さを凌ぐのは、人間が考えだしたことなのでしょうか。
あるいは梱包材をそのように利用しているほかの動物を見てマネするようになったのでしょうか。
なんだかこんな話題を前にもnoteでしたような気がします。
先日、動物病院に行ってきました。
土曜日の午前9時半前。
郵便局に用事があり、その帰りに猫の目薬を処方してもらおうかと思ったのです。
飼っている猫を連れて行くときにはいつもは事前に電話しています。
病院が開くのは9時半から。早めに駐車場で待っていれば、空いているかなと楽観的に考えていました。
ところが、駐車場は1台分しか空いておらず。
予約だけでもして帰ろうと中に入ったら、猫を連れた家族が3件。奥には診察台で点滴をしているワンちゃんの姿も見えました。
しばらく様子を見て、話が無理そうなら帰ろうと待合室の椅子に座ると、隣には洗濯ネットに猫を入れたご家族。
30代の私の父より少しお若いくらいの男性がスポーティーで着こなしのセンスに長けた服装で座られていました。
いつもなら自分から近くの人に声をかけるなんてしません。
しかし、新たに猫たちの避妊手術を考えている身として、男性とその奥様らしき人と獣医さんの会話が気になってしまいました。
「1匹ですか。いや、5匹分お願いします(ノミ・ダニの薬)」
(5匹も飼っている方なら、猫の保護も経験豊富だろう・・・)
猫のノミ・ダニ薬の他、ほかの薬も処方されていたようですが、それを興味津々にのぞき込むのはマナー違反でしょう。
下を向きつつも気になって、獣医さんが診察室の方に再び入っていかれた間に話しかけました。
「猫を診せにこられたんですか?」
「いやあ、家に5匹いるんですよ。最初は1匹だったんですけどね。家の庭に来てかわいそうでしょう。子猫を生んだんです。家の中に入りたがるんですよ。それで避妊手術して、5匹ですよ」
「うちにも4匹庭に来ているんですよ。それで、避妊手術を相談していて」
「そうですか。ごはんをあげちゃいけませんよ」
ー釘を刺されてしまいました。やはり、5匹飼うというのは相当大変なことなのでしょう。大体うちはすでに二匹いるので、4匹家に入れてしまったら、6匹になってしまいます。
我が家は母屋の他に父が手を入れている蔵(小屋)があり、流しもついていて、電気も通っています。しかし、父の秘密基地扱いでテレビやソファなどの家具家電など日々ものが増えています。片づけてしばらく経過観察する分には問題ないですが、4匹も世話を父に任せるわけにはいきません。
というか、最初は飼わないと言っていても、しばらくいれば絆されるんですよね。
私は今クラウドファンディングに挑戦していますが、成功しなくてももはや避妊手術だけはやろうと思っています。とにかく、増やさないこと。
猫同士は喧嘩も激しく、テリトリーが近いと喧嘩が増え、怪我も負います。
待合室では、もうおひとりに声をかけました。
「耳カットされているんですね」
やはり、洗濯ネットに猫を入れた私の母より若いくらいのご婦人で、急に声をかけて不審がられてしまったのか、あまり会話は弾みませんでした。
「はい、まあ。今日はどうされたんですか」
「いや、猫の避妊手術を考えてまして」
来た目的は違うのですが、何となく先ほどの会話の流れ上、そういう説明をしてしまいました。
「飼っている猫じゃないんでしょう」
「はい、まあ。でも、ずっといるので。大きな猫と毛の長い猫でとても目立つんですよ」
「はあ」
女性は腑に落ちたような、よくわからないような相槌を打ちました。お互いマスクをしているので、表情はよく分かりません。単に人見知りの方だったのかもしれません。私はコミュニケーションが苦手ですが、初対面だから緊張するということはないので、割と目的があれば人と話すことはできます。
それにしても、土曜日の午前9時台に、洗濯ネットに入った猫が3匹に、点滴のワンちゃんが1匹。診察台のワンちゃんは急患だったのかもしれません。日を改めようと、声をかけずに出ると、駐車場空き待ちの車が1台いました。
私が子供の頃に飼っていた(母が飼った)犬2匹もお世話になっていた病院です。それからもう30年近いので、獣医さんも私の両親に近いお年だと思います。
農家が多く、動物病院の数はそれなりにある地域だと思います。
大型の家畜の診察もされるので、狂犬病のワクチン接種時期でもあり、動物病院の忙しい時期なのかもしれません。
もう少し早く猫たちの避妊手術を決断して、この時期に重ならないようにすればよかったと思いました。
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