2024.7.23 東京でエネルギーの基本を学ぶ講座を行いました
2024年7月23日(火)、元吉本興業マネージャー・大谷由里子さん(志縁塾代表)が主宰されているオンラインサロン「ビジネスタレント育成大学」の定例会にて、「大人の科学談義〜今さら聞けない?エネルギーの基本の「き」〜」というテーマで、一般の大人の方向けに1時間ほど講座を行いました。
この講座では中学校3年の理科で学ぶエネルギーの内容をもとに、参加者の皆さんとエネルギーの中身、エネルギー利用の現状と問題点などについて学んで参りました。
エネルギーって何?
拡大解釈になりますが、エネルギーとは物体を動かしたり、様々な現象を引き起こしたりする能力(単位はJ:ジュール)と定義し、様々な切り口から分類のしかたが変わることを説明しました。
形態による分類
運動エネルギー・位置エネルギー・電気エネルギー・熱エネルギー・化学エネルギー・核エネルギー・光エネルギー資源の由来による分類
再生可能エネルギー・化石燃料エネルギー・原子力エネルギー
※化石燃料エネルギーと原子力エネルギーをまとめて枯渇性エネルギーという。加工の有無による分類
一次エネルギー・二次エネルギー
エネルギーの変換と保存
エネルギーは様々な形に変換されますが、その総量は変わらず保存されます。
これをエネルギー保存の法則といいます。
ただ、エネルギーはすべて変化されず、一部は熱として逃げていきます。
そのため、エネルギーの変換効率が重要視され、以下の式でまとめられます。
<式> エネルギー変換効率〔%〕= 利用されるエネルギー / もととなるエネルギー ✕ 100
だからといって、エネルギー保存の法則と矛盾しているわけではありません。
利用されたエネルギーと逃げていった熱の量を足し合わせると、もととなるエネルギーの総量とつりあい、エネルギー保存の法則が成り立っています。
<式> もととなるエネルギー = 利用されるエネルギー + 逃げていった熱
また、中学校・高校の理科では学ばない内容ですが、エネルギー密度についても触れ、再生可能エネルギー・化石燃料エネルギー・原子力エネルギーの特徴を比較しました。
ちなみに、エネルギー密度とは、単位重量(1g、1kgなど)あるいは単位体積(1Lなど)当たりで有効に取り出せるエネルギー量をいいます。
エネルギー資源
資源とは様々な目的のために利用可能な材料で、その中でもエネルギーを生み出すものをエネルギー資源といいます。
地球上の資源の存在量について、埋蔵量・究極可採埋蔵量・確認可採埋蔵量・可採年数といった指標で表されることを説明しました。
中学校・高校の教科書では可採年数のみが扱われています。
文献によって値は違いますが、石炭が約153年、石油が約50年、天然ガスは約53年、ウラン(原子力発電のもと)は約99年、金属資源は種類によりますが約20〜55年という可採年数になっているようです。
エネルギーの利用
現在、エネルギー資源の多くは電気エネルギーに変換されていますが、この理由と問題点について参加者の皆様方と一緒に考えました。
その上で、現在行われている発電方法の長所と短所、コージェネレーションシステムといったエネルギーの有効活用が現在の中学校の理科などで扱われていることを紹介して参りました。
参加者の皆様からのコメント
講師の印象
親しみやすい印象です。
受講生と同じ目線に立てる、威張っていない先生。
先生だ!授業だ!
明確。
とてもまじめな印象を受けました。
難しいこともわかりやすく教えてくれそう。
講座で印象に残ったところ
日本の中学生が、学校の授業に真剣に(自分ごととして夢中に)なれると、日本の未来は明るいと感じました。
エネルギーの勉強と自分の生活で使うエネルギーを結びつけて考える時間となった。
久しぶりに学校の授業受けた感じで楽しかった。話し方と声がはっきりしていて、わかりやすい。
最後のフリー質問にも、丁寧に答えていたところ。
エネルギーといっても切り口によって分類が異なる。
講座に関するご要望・改善点
日本(国内企業)が持つ、エネルギーを生み出す能力は、先進国の中でどのような位置にあるか分かると、聴衆にとって自分ごとに置き換えやすいと思います。東北の震災(3.11)の後、ウクライナの問題もあり、エネルギー問題は、原発の稼働・運用を含め岐路にあると感じます。
今回は、定義とか分類の基本のところだったので、難しいかもですが、現実の社会の事象とかと結びつけて理解できるとより面白いと思いました。
是非、また他のテーマでの講義を楽しみにしています!ありがとうございました。
振り返り
参加者の皆様からのコメントにありましたように、一般の大人の方向けの学び直しでは、現実の社会情勢と結びつけて考えることが重要だなあと改めて認識しました。
今回の講座では社会情勢についてあまり触れられませんでしたが、今後、社会問題と結びつけて内容を深めた講座を開催する予定でいます。
資源・エネルギーの問題は自然科学と社会科学の双方の知識を織り交ぜて考えないといけない問題だと思います。
特に現在の日本は、エネルギー資源の99.5%を国外からの輸入に依存している現状です。
ちょっとご想像してみてください。
もしも社会情勢の変化によって、エネルギー資源の輸入ができなくなってしまったら、私達の生活はどうなってしまうでしょうか?
現在、社会情勢が混沌としていますが、エネルギー資源の確保は私たちの生活に直結する問題にもなります。
その問題を正しく考えるために、自然科学の知識・考え方を学び直すことは非常に重要だと考えています。
今後開催する「大人の科学談義」では、自然科学の知識・考え方から日常・社会で起こっている問題について考えることを重視していこうと思います。
今回ご参加いただいた皆様方、まことにありがとうございました。
大谷由里子さんのホームページ
今回の講座をご提案いただいた大谷由里子さんは、講師の育成や様々なプロデュース活動をされています。
ご興味のある方は、こちらのサイトにアクセスしてみてください。
理科教育力向上ラボ
弊社では2019年より、一般の方向けの理科の学び直し講座を個人的に開催してきました。
また、授業づくりでお悩みの高校の先生方向けにコンサルティング・個別指導も2022年8月より「理科教育力向上ラボ」という屋号を立ち上げ、大人の理科の学び直しの推進活動を本格的に行っています。
「ご自身のお仕事に関連した理科の知識を学び直したい」といったご相談をこれまで数多くお受けし、単発講座や、高校の教科書を使って体系的に学び直す講座を開催しています。
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ここまでご覧いただきありがとうございました。