初出勤の日のお弁当
自分がお弁当を作っていて思い出すこと
小学校中学校は学校給食ですが、高校生になると給食はなくなるのでお弁当持参。母は毎度通学時に、お弁当を作ってくれました。
人参しりしりやきんぴら牛蒡、スパムとニガウリの炒め物、卵焼きは海苔を挟んで渦巻きだったり、シラスが入っていたりほうれん草が入っていたり。もちろん冷凍食品のコロッケや、チーズインはんぺんなんかもうまく使いながら作ってくれていました。お弁当の隅にちょこっと金時豆の甘煮が入っているのは箸休めだそうで、ランチの最後にホッと一息でき、気持ちが和みました。キャラ弁が登場することはありませんでしたが、お弁当のうまく盛ってある詰め方は、小さな箱においしい世界が現れていました。
母のおかげで、お弁当がなくてお腹が空いて困ったなーという記憶はなく、ありがたいことだなと振り返り思っています。
私が25歳の時に転職をして初出勤の日、出発する私に母は「持ってきなさいね〜」と言って、お弁当を詰めていました。
それを見ていた父親が「もう弁当作って持たせる年じゃねぇだろうにー!」と言い、私も少し戸惑ったのですが、母は「今日は初めていく会社の初出勤だからよ、今日だけよ」と答えていました。
彼女なりの「がんばってねー」の思いがお弁当という形になってたくさんの愛が詰まっていたのでした。
今ではすっかりお弁当は自分で作るようになり、「毎日朝に作れば傷まないのよ」と高校生の時に母が言っていたのを覚えていて、材料は前日に切っておき、朝に炒めたり揚げたりしています。
味は、完コピまではいかないけれども、小さなお弁当箱に私も及ばずですが小さな世界を作って楽しんでいます
食べてしまえばなくなってしまうけど、心に残るおいしい食べ物の記憶、作り手の思いも知らずと食べているのだとつくづく思うのでした