日記 20240811SUN
本日「世界スティールパンの日」とのこと。
暑い季節に聴きたくなる音、といえば、私は一番にスティールパンを挙げたい。「どうしてここから音が!?」「何故、これで音階を綴れる……?」という不思議に満ちた、トリニダード・トバゴ発祥、ドラム缶で作られた楽器。友人が奏者で、自前のパンを触らせてもらったことがあるのだけれども、音階が順番に並んでいなくて難しかった。
初めてスティールパンを知るきっかけになったのは、アガサ・クリスティ「カリブ海の秘密」だろうと思う。敬愛するミス・マープルものである。作中に「スチール・バンド」が登場するのだけれど、その音色は彼女の好みには合わなかったようで、なかなか辛辣に評している。ちょっと残念。
夢中になってクリスティを読み始めたのは小学生のころのこと。同じ年頃になった甥っ子は、ミステリーは好まないらしい。「すぐに犯人が分かっちゃうからー!」だなんて、何を生意気な。君が楽しんでいた「おしりたんてい」とは、ちょっと違うんだぞ。
スティールパンは、洋楽はもちろん、日本の楽曲にも随分と昔から取り入れられているようなので、初めて音を聴いたのがいつなのかは、まったく見当もつかない。
オリジナルでもパン用アレンジでも、素敵な曲は沢山あるけれども、何より一番好きなのは「Pan for Carnival」である。スティールパン、と聞いて思い出すのはこの曲だし、何しろよく頭の中で流れている。耳に残る。
野外ライブで、音の抜ける広い空の下で聴くと最高なんだけどな。目の前に青い空と海、白い砂浜が広がるような気がする。カリブ海に連れて行ってくれる。
ゴールデン・パーム・ホテル滞在中のミス・マープルが好んで飲んでいたのはライム・ジュースだった。コロナビール用にと思って買ったライムがあるのを思い出して、絞って炭酸で割り、ベランダで飲む。好きな曲をかける。行き交う車の走行音が、潮騒みたいに聴こえてくる。寄せて、返す。
今日は終日、スティールパンの曲をBGMにして過ごした。
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