日記 20240908SUN
お土産にいただいたお菓子「伊豆乃踊子」をおやつにする。日本の名作菓子、ですって。となると、読み直さねばならぬような心持ちになり、古い文庫本を引っ張り出してきた。
私の「踊子」は中学生の頃に買った古書である。初めて神保町の古書店街に連れて行ってもらったとき、よりどり3冊だったか、5冊だったような気もするが、店先のワゴンから選んだ。百円だった。夢のような場所だと思った。
古びて傷みもあったけれど、表紙が気に入ったのと、解説が三島だったので選んだような記憶がある。視覚情報は強い。他に何を選んだのか正確な記憶は薄らいでしまっているのに、踊子の表紙絵だけは初めての神保町の記憶とくっきり結び付いている。
奥付は昭和45年61刷。新潮社である。この本が初めて店頭に並んだ日、まだ川端は生きていたのだな、と思う。誰かが手に取り、買って帰った時には?どんな人が所蔵していて、川端の、その一報を受け何を思っただろう。
いつ、どういった経緯で整理され、古書店のワゴンに流れ着いたのか。
ワンオーナーだろうか?もっと渡り歩いた?
そんな取り留めのない思考が邪魔をして、読み返しの感想をうまく掬い上げられなかった。全然まとまらない。
現在の踊子文庫(同じ新潮社バージョン)は、こんな感じ。
やっぱり、愛着のある自分の本が好きだな。
お菓子は、とても美味しかった。もう半世紀以上も前から存在するらしい。胡桃の入った、白餡のお饅頭。ごちそうさまでした。
夕刻より雨。
「伊豆の踊子」は、主人公が早い雨脚に追いつかれる場面から始まる。実際、物語はその前から始まっているのだけれども。
注意報が出ていたが、雷は鳴らなかった。