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林間学校(前編) 〜洒落にならない怖い話・不思議な話〜
これは僕がビアガーデンでアルバイトをしていた時に、同じくキッチンでアルバイトをしていたK君から聞いた話である。
彼は普段から真面目でジョークは言うものの、くだらない嘘はつく人物ではないため、ある程度は本当に起こった事だと思う。
キッチンの片付けが終わって、賄いを食べてる時の雑談から彼がS県出身である事をその時に初めて聞いた。
そして、S県の思い出を色々話す内に彼は思い出したように話し始めた。
「そういえば、小学生の時に不思議な事があったんですよ」
そう言うと、彼は少し首を傾げ
「いや、怖い話なのかな」
と言い直した。
僕は昔からオカルトや怖い話が好きなので、すぐに食いついた。
「聞きたい。話してもらえる?」
と言うと、彼は数回頷き話し始めた。
「小学生の頃に林間学校ってありますよね。それでS県の少年自然の家に行ったんですよ。山の中に建ってるんで、学校からバスで行くんですが遠足ではないんでお菓子も持っていったら駄目だし、あまり気乗りはしなかったように思います。
その上、山道を走るのでカーブも多くてクラスの乗り物酔いの酷い子はバスの前方で酔いに苦しんでいましたね。1時間半くらいかけて自然の家に着いた頃には、自分のクラスだけでも数人はぐったりとしていました。僕も多少酔いましたが、山の澄んだ空気を吸っているとすぐに持ち直しました。着いたらすぐにクラス毎に分かれて、部屋の割り振りが説明されて、一部屋に八人くらいずつ分けられて部屋の号室を教えられ、部屋に荷物を置きにいきました。部屋には大きめの2段ベットが二つ置かれていて、僕は下の段でしたね。荷物を置いたらすぐに施設の前に集まりオリエンテーリングの説明がありました。四人ずつのグループになって、渡された地図を頼りに施設周りを散策しながらチェックポイントを周り、獲得ポイントをグループ毎に競う内容で、少し奥まった場所程ポイントは高いのですが、チェックポイントに到達するまでに時間がかかるため、近くのチェックポイントを複数行った方が効率が良かったようです。施設の周りは自然が豊かで、山道は一歩入ると暗く湿度も高く、なんとなく怖いなという感覚はありました。そういう場所にもチェックポイントはありましたが、グループ行動ということや他のグループもいるため、幾分かは恐怖は和らぎ、冒険している様な非日常感にワクワクも感じましたね。
結局、僕のグループは途中で迷ってしまってあまりポイントを回れなかったのですが。
オリエンテーリングの後は、部屋に戻って30分くらい休憩してから、飯盒炊爨ができる場所に集合。
既に16時も過ぎていて、クラスを半分に分けてカレーを作るのですが、洗い場があまり広くないので、僕たちの班は作り始めるのが遅くなり、カレーを煮る時間が短くなり具材が固かったな」
とここまで話すと彼は苦笑いしていた。
僕の時はご飯係がご飯を焦がして、焦げた味のするカレーを食べた記憶が彼の話しを聞いて甦った。
彼は一息つくと、また続きを話し始めた。
「そして、飯盒炊爨の後はキャンプファイヤー。定番ですよね。施設の方が組み上げた木材に火をつけると徐々に火が燃え上がっていき、やがて大きな炎となりました。あんな大きな炎見るのも初めてだったのと、暗い中で火の明かりに照らされた友達の顔や小さな火の粉がパチパチと音を立てて飛ぶ様子は幻想的でした、まるでジブリの世界だなと感じましたね。キャンプファイヤーは歌を歌った様な気もしますが、何をしたかは良く覚えてないです。そして、トイレ休憩の後に、肝試しとなりました」
彼の話を聞いていると、頭の中にその時の様子が浮かんでくる様だ。コーヒーを飲む彼に僕は
「そこで何か起こったんだね」
と聞くと、彼は少し考えてから、
「そう‥ですね。うん。少しニュアンスは違う様な気もしますが」
と少し濁してから、続きを話し始めた。
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