妄想デート:屋根と中目黒編①
屋根:ワンツぅぅ!久しぶりやなぁぁ!
ワンツー:ごめん遅くなりました、コーヒー奢るわ
屋根:変わらんなぁぁ
ワ:えっと、候補は2つあって、南インドカレー屋か、塩パンナコッタが美味しいおしゃれレストランか
屋:えー迷うわ、ワンツーどっちがええの?
ワ:このご時世、あんまし食べながら喋れないから、回転のいいカレー屋かな、シュっとした可愛い男の子が店主だし
屋:じゃ、カレーにしよ。なんや、行ったことあんねんな。目黒よく来るん?仕事?
ワ:いや、整体みたいなやつに月一で通ってて、有酸素運動がてら中目まで歩いてたら偶然見つけて。それから何度か。狭くて落ち着くし、美味しいよ
屋:店主も気になるわ。イケメンなん?
ワ:うちの旦那ほどじゃないけどね
屋:それ、突っ込んでええやつ?
ワ:いや、ボケてませんけど?
屋:クッキングパパ言うてたやん
ワ:クッキングパパの表紙見るだけでときめくからな
屋:そういう漫画ちゃうやろw
ワ:コロナ前なんだけど、高校の同級生を助手席に乗せる機会があって。高校のときに可愛いと思ってた女子とか、イケメンと思ってた男子は誰かっていう話になって、やっぱり同じように「うちの旦那が一番のイケメンだけどね」って言ったら「ズレてる!!活断層並みのズレ!!」って言われて
屋:活断層って単語聞いたの高校の地学以来やわ
ワ:後ろの席で旦那もめっちゃ笑って「失礼じゃないですか?」って
屋:本人おったんか!えー、ガイちゃん怒らへんねんな
ワ:イケメン縄文人だからね、縄文人は平和主義なんだと
屋:優しそうやもんなぁ
ワ:よく言われるよ、優しそうな旦那さんって。ちなみに「ねえ、私のこと『優しそうな奥さん』って言われたことある?」って聞いたら、笑って答えてくれなかったな
屋:ワンツー、そこ攻めんでもええとこやで。ワンツーが優しい人間なのは屋根が知っています
ワ:屋根ぇぇぇ
屋:まだ着かへんの?
ワ:目黒より中目のほうが近いからなー
屋:そういやガイちゃん目黒に住んでてんな
ワ:よく覚えてるね。神社の近くに住んでたんだよ。車買ったばかりで、よくここまで運転してきたのよ。楽しかったなー
屋:フィットやっけ?懐かしいな
ワ:屋根に中古車屋さんまで乗せてもらったよねえ、かっこいい四駆で
屋:あれも、よう乗ったなぁ。いちご狩り行ったりしたな
ワ:身軽だったねえ。あ、車で思い出したんだけど、在宅の仕事でそういうのがあって
屋:そうそう、気になっててん、ワンツーなんの仕事してんの?
ワ:「データ入力」で登録したんだと思うんだけど、AI開発用のデータ作成っていうとカッコいいけど、それの下請けの下請けみたいなやつ
屋:車やと、自動運転とかそういうの?
ワ:そうそう、運転しながら会話も楽しめるAIみたいな。完全リモートでさ。運転席からの動画を共有しながら会話して、それを録音して納品するとか、そういうの。
屋:へー、ワンツーの会話サンプルがAIに活かされんねや。
ワ:私も、大丈夫か?と思ったけど、スカウトというか、会話が良かったので20名分お願いします、ってリクエストされたのと、返品はされなかったので大丈夫だと思う…
屋:20人と喋ったん?
ワ:そう。観光地とかを仮想ドライブしながら会話するの、このご時世だし、なんかすごく楽しい仕事だったよ。バーチャルとはいえ初対面なのに、偶然会話が盛り上がっちゃったりして。
屋:それ、引き出し多くないと難しそうやな
ワ:いや、ちゃんと会話のとっかかりになるような観光名所の資料は事前に貰ってて。例えば、上野駅を通り過ぎるところでは、美術館か、科学博物館か、京成スカイライナーか、アメ横か…盛り上がった会話はめっちゃ覚えてるなー
屋:ワンツー、脳内で妄想会話とかするもんな。向いてるやん。
ワ:会話サンプルのビッグデータを脳内活用するのが弊社の仕事です。いや、ムズ谷くんにも昔「ワンツーさんってすごい根に持つタイプだよね」って言われて、「根に持ってないよ、単に記憶しているだけ」って返したけど
屋:ムズ谷くんに言わせれば、それが『根に持つ』ってことなんやろ?
ワ:ムズ谷くん、元気かなぁ