シダフィエルの嘆きールシフェルさまへ(再掲加筆)
見えないままがよかった。
触れるものを感じなければよかった。
声を聞かなければよかった。
何も知らなければよかった。
私をそのままにしておいてほしかった。
滅びを願うあの方の心が分かる。
どうせ失う愛に惹かれ、
苦しむ「女」をいたわった故に、
己の全てと共に神の愛を失って、
殺せと言う願いすらも聞き入れられず、
永遠に至る穢土の支配を命じられた。
残虐のすべてを引き受けて、
膿崩れたすべてを支配しながら、
腐り果てたすべてを愛し、
汚穢のすべてから憎まれた、
ルシフェルさま。
あなたが呪った世界が分かる。
穢れた肉塊だらけの世界の中に、
穢れた肉体を持って生まれてきた。
星よ、千の槍になって私を貫いてほしい。
太陽よ、その破滅の熱波で私を焼いてほしい。
すでに千に万に穿たれ、血膿だらけのこの肉体、
際限なく痛めつけられ、切り刻まれた血まみれの心。
どこまで裂かれても死ねない怨嗟。
悲鳴しか生まれない喉笛。
救いなどほんの少しも願ったことなどない。
滅べ。
滅せ。
永遠の命などくそくらえだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?