山ペンギン 2 ひろいものの蚕
イマドが蚕を拾ってきた。
某まじないを知っているオレは問い詰めたが、財宝は近くになかったようだ。
飼うと言って聞かない。
「クワが無いと飼えねえぞ」
と言ったら、お約束通り鍬を5本買って帰ってきたので、そのうちの1本でぶん殴って、後の4本を返品に行かせた。
最近イマドは腹を使ったホバークラフト状の移動で体育館などの掃除を請け負い、小銭を稼いでいる。
家にはなぜか「3780円」を毎月入れる。
この金額が何なのかは全く分からない。
一度確認はしたのだが、「3600円より多くて4000円より少ないから」
というさらに意味の分からないことを口走ったので追求はやめた。
ところでイマドに桑のある場所を教えた。
結果、真夜中も蚕の「もっしゃもっしゃ」という咀嚼音がうるさい。
だが、イマドの寝言に比べたらどうということはない。
一度など「九蓮宝燈」と口走っていて、飛び起きたこともある。
頭に来たので「海底(はいてい)」と言って殴って黙らせた。
それはそれとして蚕は繭になった。
不思議そうに見ているイマドをよそにガとなった。
夜、月の明るい日にガは飛んで行った。
しばらくイマドはその方向を眺めて寂しそうにしていた。
「仕方ねえよ。嫁さんを探しに行ったんだ。」とイマドに声をかけるとそれはそれは寂しそうに振り向いて
「大きくして食べるつもりだった。」と言いやがった。
いつぞやのお約束の鍬で殴ってそのまま眠らせた。
ちなみにガは本当に金色のキレイな嫁を連れて帰ってきた。
これがホントの・・・