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SARGENT AND FASHION @Tate Britian ジョン・シンガー・サージェントの肖像画に見るファッション


サージェント@Galleria degli Uffizi

 テイト・ブリテンでジョン・シンガー・サージェント展が開催された。米国人の両親のもとイタリアに生まれれ、ヨーロッパを転々としながら育ち、パリで10代の時に画家の道に入った。あえてヨーロッパで生活することを選んだ両親に育てられ、寛容な教育を受けて芸術家として、インテレクチュアルとしての才が開花したようだ。
 今回の展覧会は、彼の多大なる作品の中から19世紀後半、21世紀の初めころに描いた裕福階級や芸術家などの肖像画に焦点を当てている。当時スキャンダルとなった『マダムXの肖像』『ロクノーのレディ・アクニュー』などが代表作。印象派に影響をうけた、伝統的かつ具象的な肖像画は多くに愛されうな明白な美しさ。裕福階級のクライエントをかかえ当時はひっぱりだこだったようだ。キュレイターによれば、サージェントはクライエントの衣装やポーズなど細かく指示し、今でいうファッション撮影のような環境で肖像画を描いたという。ここに今回の展覧会のタイトルが由来している。

『マダムXの肖像』John Singer Sargent, Madame X 1883-4. Lent by The Metropolitan Museum of Art, Arthur Hoppock Hearn Fun, 1916
『ロクノーのレディ・アクニュー』John Singer Sargent Lady Agnew of Lochnaw (1864-1932) 1892 National Galleries of Scotland. Purchased with the aid of the Cowan Smith Bequest Fund 1925


 どれも美しく優雅な肖像画ばかりで、明らかに現実を改善して描いていることは明白。画家としての技術は素晴らしく、彼の才能は全く否定する余地はないが、クライアントを満足させる美化に人工的物を感じ素直に芸術作品として受け入れることに抵抗を感じさせる。肖像画の顔よりも、ドレスの質感などに見ごたえがある。とはいえサージェントは裕福階級の肖像画だけを描いていた画家ではなく、個人的には肖像画以外の作品のほうに興味が湧く。芸術家や舞踏家などとの交流もあって、彼らを描いた作品は面白い。

John Singer Sargent Vernon Lee (1881) Tate
Robert Louis Stevenson and His Wife(1885)
Crystal Bridges Museum of American Art, Bentonville, Arkansas
John Singer Sargent Ellen Terry as Lady Macbeth (1889) Tate


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