Yuko Takano
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ヨルゴス・ランティモスの新作映画『憐れみの3章』KINDS OF KINDNESS by Yorgos Lanthimos感想
5月にカンヌ映画祭でプレミアとなったヨルゴス・ランティモスの最新作が現在イギリスで一般公開となっている。『哀れなるものたち』が公開されたのがほんの昨年の事て、こんなに早く新作が届けられるのは嬉しい。詳しい背景は不明だが、『哀れなるものたち』が豪華な映像満載で堂々の大作であるのに対して、本作は作家性の高い比較的低予算(とはいえスタジオ・レベルでの範囲においての)作品に映る。 いつもながらキャストが豪華。常連陣、エマ・ストーン、ウォルム・デフォー、ジェシー・プレモンス、マーガ
Minoru Nomata”Continuum”@White Cube Mason’s Yard 野又穫展ロンドンのホワイト・キューブで開催
野又穫さんの新作展『Continuum』がロンドンのホワイトキューブ・ギャラリーのメイフェア店で開催されている。氏にとっては2022年に続きiイギリスでの2度目の展覧会となる。オープニングにあたり、日本から野又氏もロンドン入り、7月9日には観客を相手にトークをイベントが開催された。2023年に東京のオペラ・シティーで同タイトルの展覧会が開催されていえることを踏まえれば、本展はそれをロンドンに持ち込んだ形となるのだろうか。加え2024年作もあるので、新旧作を本展のためにセレク
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SARGENT AND FASHION @Tate Britian ジョン・シンガー・サージェントの肖像画に見るファッション
テイト・ブリテンでジョン・シンガー・サージェント展が開催された。米国人の両親のもとイタリアに生まれれ、ヨーロッパを転々としながら育ち、パリで10代の時に画家の道に入った。あえてヨーロッパで生活することを選んだ両親に育てられ、寛容な教育を受けて芸術家として、インテレクチュアルとしての才が開花したようだ。 今回の展覧会は、彼の多大なる作品の中から19世紀後半、21世紀の初めころに描いた裕福階級や芸術家などの肖像画に焦点を当てている。当時スキャンダルとなった『マダムXの肖像』『
TOM HARDY, AUSTIN BUTLER &JODIE COMER in”The Bikeriders" by JEFF NICHOLS
60年代シカゴのバイク族の誕生と栄光、そして悲劇 米カウンターカルチャーの貴重な1ページに目を向ける映画 米国南部の深部に目を向ける名作を生み出だしてきたジェフ・ニコルス監督の新作は、60年代後半バイク族の隆盛とそれにまつわるメンバーの軌跡を追う。フォトジャーナリスト、ダニー・リオンズの同タイトル写真集(1968年)に収められた写真とインタビューをもとに監督自身が脚本化した力作。原作はリオンズがシカゴ郊外の町で結成された世界最古のバイク・クラブである(設立1935年)ア
Isabelle Huppert "MARY SAID WHAT SHE SAID"@Barbican Theatre 11 May 2024
多くの映画に出演し、フランス映画界の最前線で活躍するベテラン俳優イサベル・ユペール。カンヌ映画祭もまじかの5月10日から3日間、ロンドンの舞台に立った。"MARY SAID WAHT SHE SAID"は、16世紀を生きたスコットランド女王、エリザベス1世によって断頭台に送られ44歳の命を閉じたメアリー・スチュワートの人生の最終章を描く独白ドラマだ。中世ヨーロッパの歴史は多くの国の王族の複雑な権力争いによって色塗られているが、その時代に翻弄され生きたメアリーの人生は多くの