鏡
悲しい人。ね。
それだけ。
ダブルバインド、ダブルスタンダードと言われても、理解できないのでしょう。何度も何度もあなたに伝えたわ。様々な表現で、ときにはストレートに。
あきらめ。
あなたをあきらめているの。あなたから言われる言葉についても。だから、何を言われても傷つかないように、そうねと言うだけ。
ねぇ。寂しいのでしょう。
疲れるから余裕のあるときにしかこちらからは話さないわ。そんな目を向けて威嚇しないで。今私に言った言葉全てあなたのことそのままね。今度から唯一の抵抗として、あなたに鏡を向けようかしら。
まずはポケットに隠せるサイズの、軽くて美しいとびっきりの鏡を探さなきゃね。
そんなことを考えながら、緩む口元。お風呂上がりのあなたは冷蔵庫をのぞいたあと私を見た。また始まりそうね。笑ってしまう。もう大丈夫。私は強い。明日からの楽しみができたんだもの。
全て跳ね返してあげる。
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